表紙 ------------------------------------------------ 100年先も誇れるまちを、みんなで 人口減少、少子・超高齢社会を迎えても、 持続的に発展できるまちを目指して ------------------------------------------------  わが国は、今まさに人口減少、少子・超高齢化など、これまで経験したことのない時代を迎えようとしており、空き家などの増加や生産年齢人口の減少など、私たちの暮らしにもさまざまな影響を及ぼすことが予想されます。  このような中、本市が子どもから高齢者まで安心で便利に暮らせる魅力あるまちとして発展していくためには、これから私たちの暮らしに影響を及ぼすさまざまなことに思いを巡らせながら、市民の皆さんと一緒に考え、一丸となってまちづくりに取り組んでいく必要があります。  そこで本市では、将来にわたって市民生活の質を維持・向上できるよう、100年先も持続的に発展できるまちを目指します。そのために、平成62年を見通した長期的なまちづくりの方向性と、将来の人口の展望について示した「宇都宮市人口ビジョン(以下、地方人口ビジョン)」と、同ビジョンの着実な実現に向けた、今後5カ年の目標や具体的な施策をまとめた「宇都宮市まち・ひと・しごと創生総合戦略(以下、地方版総合戦略)」を策定しました。 2・3ページ 現状 ------------------------------------------------ 本市の現状や人口の推移 ------------------------------------------------  本市の総人口は、平成27年10月に約51万8,000人となり、増加が続いていますが、平成29年にピークを迎えた後、人口減少に転ずるものと見込まれます。また、現在の状況が続くと、平成62年には、人口が45万人を下回る見込みです。 年齢別人口  本市の、老年人口(65歳以上)の構成比は、平成27年の23.6パーセントから、平成62年には約40パーセントへ高まる一方、年少人口(0〜14歳)は、13.7パーセントから約10パーセントへ、生産年齢人口(15〜64歳)は、62.7パーセントから約50パーセントへと、それぞれ低下する見込みです(3ページ図1)。特に40歳代以下の人口が減少することで、出産・子育て世代の減少が懸念されています。 合計特殊出生率  1人の女性が、生涯に産む子どもの数を表す指標である合計特殊出生率は、本市では、近年、上昇傾向にあり、全国、県よりも高い水準となっていますが、人口が減らないと言われる出生率である「人口置換水準(2.07)」とは、依然として大きな差があります(3ページ図2)。   転入・転出動向  県内市町間では、本市への転入者が多くなっていますが、県外では、特に東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)への転出者が、転入者に比べて1000人ほど多い状況となっています(図3)。 人口の変化が地域の将来に与える影響  現状の人口動向で推移した場合、将来、市民生活や地域社会、地域経済などに対して次のような影響が生じることが想定されます。 市民生活への影響 子どもの減少による同世代・世代間交流の減少(人格形成への影響)。 公共交通利用者の減少による、運行頻度の低下やバス路線の撤退などサービスの低下。 地域社会への影響 人口減少や高齢化の進展、晩婚化・非婚化による単身世帯の増加によって起こる、地域コミュニティの分断や希薄化。 生産年齢人口の減少に伴う、市税収入減など。 地域経済への影響 企業などでの人材確保の困難化。 農業従事者の減少や高齢化の進展による、本市農業・農村の衰退。 図1 基本となる人口推計と年齢3区分別人口の推移 H22 年少人口72,851 生産年齢人口337,975 老年人口100,913 H27 年少人口70,762 生産年齢人口324,771 老年人口122,227 H32 年少人口66,863 生産年齢人口315,363 老年人口135,531 H37 年少人口61,831 生産年齢人口309,339 老年人口141,724 H42 年少人口56,440 生産年齢人口301,923 老年人口146,302 H47 年少人口53,533 生産年齢人口288,023 老年人口152,044 H52 年少人口52,050 生産年齢人口266,937 老年人口161,083 H57 年少人口50,463 生産年齢人口249,791 老年人口164,874 H62 年少人口48,037 生産年齢人口236,190 老年人口165,368 単位 人 図3 本市から転出者が多くなっている地域の内訳 東京圏71パーセント 名古屋圏4パーセント 大阪圏3パーセント 国外20パーセント その他2パーセント 4・5ページ 取り組み ------------------------------------------------ 100年先も持続的に発展できるまちを目指して ------------------------------------------------  本市の人口の見通しを推計すると、平成29年にピークを迎え、その後は減少していきこのままの状況が続くと、平成62年には、45万人を下回るものと見込まれます。  そこで、地方人口ビジョンでは、市民アンケートなどから得られた本市の希望出生率(子どもを産みたいと思う人の希望が叶った場合の出生率)1.72を、平成42年までに実現し、その後、平成62年までに、人口が減らないと言われる出生率2.07を実現することや、本市と東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)での人口移動の均衡が図られることなどにより、平成62年においても約50万人の人口となる見通しを示しました。  その上で、地方版総合戦略では、人口の長期的な見通しの実現に向け、人口の「自然動態」・「社会動態」・「都市基盤」の3つの視点で目指すべき将来の方向を示し、取り組みを進めていきます。 地方人口ビジョン 平成42年までに希望出生率1.72を実現し、平成62年までに人口置換水準2.07を実現する 平成62年までに本市と東京圏の人口移動の均衡を図る など 長期的な人口の見通し 平成62年人口50万人維持 実現に向けた取り組み 自然動態 市民の結婚・出産・子育ての希望を実現する  少子化傾向に歯止めをかけ、少子化の流れを変えるためには、市民の結婚・出産・子育てへの希望を実現するとともに、若年層をはじめとした市民の経済的な安定を図っていくことが重要です。具体的には、結婚につながる出会いの場の創出、安心して妊娠・出産・子育てをすることができる環境づくりなど、切れ目のない支援に取り組みます。  また、高齢者が地域の中で活躍できる仕組みづくりを推進するなど、子育て世代以外も含めた、地域全体で子育ち・子育てを支援する体制の整備に取り組みます。 主な取り組み 家族観・結婚観を醸成するPR活動の充実。 妊婦健康診査の実施。 こども医療費助成制度の拡充。 保育施設などの第3子以降の保育料免除事業の拡充。 高齢者の社会参画の仕組みづくりの推進。 社会動態 人口の定着と東京圏からの流入人口の増加を図る  将来にわたって本市の活力を維持していくため、幅広い分野での「人づくり」を進め、また、地域産業の活性化を図り、市内で安定した雇用を創出することで、市内からの流出人口を抑制し、本市への定着を進めていきます。  また、本市の魅力発信や、本市への移住を希望する住民を積極的に受け入れる体制の整備などにより、新たな人の流れをつくることで、特に転出者数が転入者数を大きく上回っている東京圏からの流入人口の増加を図ります。 主な取り組み 企業立地の促進。 若者の正社員化を促進する支援策の拡充。 本市に定住し、就職してくれる若者のUJIターンの促進。 返還免除型育英修学資金貸付制度の実施。 東京圏における本市への定住・企業誘致などの促進。 都市基盤  人口規模・構造の変化に適合したまち、ネットワーク型コンパクトシティを実現する  人口減少、少子・超高齢社会にあっても、将来にわたって市民生活の質を維持・向上し、持続的に発展できるまちを実現するために、今後の人口規模・構造の変化に適合した都市の姿である、「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成を進めます。具体的には、本市のこれまでの成り立ちや、歴史や文化など、それぞれの地域が持つ個性を生かした各種拠点の形成や、誰もが自由に移動できる交通ネットワークの構築、自然環境の保全などに取り組みます。 主な取り組み 都市機能などの適正な誘導推進(立地適正化計画の策定)。 中心市街地活性化の推進(低未利用地の有効活用)。 魅力ある景観づくり事業の推進。 誘客促進に向けた観光キャンペーン事業の実施。 LRTの整備。 6・7ページ 私の見方 ------------------------------------------------ 横の連携強化が人口減少対策の第1歩 ------------------------------------------------ 人口減少が都市に与える影響  人口減少が都市の未来に与える影響は、さまざまなものがあります。中心市街地の空洞化はさらに進み、商業が衰退し、まちに活気がなくなるとともに、空き家が増加するなどの問題も出てきます。また、交通面では、利用者の減少によって、バス路線など公共交通の維持が難しくなるなど、いろいろな問題が出てくると思います。そうならないためにも、将来のビジョンを明確に持って、適切な施策を打っていく必要があります。  まず、地方版総合戦略の1本目の柱「市民の結婚・出産・子育ての希望を実現する」に向けて、子育てについて考えてみると、子育て世代がどこに住むかは、周りの環境がとても重要になってきます。宇都宮は緑が多く、公園の数も充実していて、子育ての環境はいいと思います。  一方で、共働き世帯が多くなっている時代ですから、子どもを預ける保育所などの存在が欠かせません。  しかし、ただ数があればいいというわけではなく、住まい・勤め先・子どもを預ける施設、3者の位置関係が重要になってきます。位置関係は、市全体として捉えるよりも、人口の推移や動向を踏まえ、ブロックに分けて整備していく必要があります。  このようなきめ細かな対応が、1本目の柱の実現への第1歩だと思います。  次に、地方版総合戦略の2本目の柱「人口の定着と東京圏からの流入人口の増加を図る」について、産業面から考えてみます。  金融機関・大学も含めた人材育成や中小企業の技術開発への支援など、今ある企業へのケアも大切ですが、人口減少対策が一挙に進むという点では企業誘致が魅力的です。宇都宮は、企業立地の促進や中小企業支援対策などの取り組みに力を入れていて、事業者にとって立地しやすい都市だと思います。宇都宮が企業立地に恵まれている都市だということを、いかに外に向けて発信できるかが重要です。またそれと同時に、学生に向けて市内企業の求職情報などを迅速に発信し、卒業生に地域にとどまってもらう工夫も必要です。  そして、地方版総合戦略の3本目の柱「人口規模・構造の変化に適合したまち、ネットワーク型コンパクトシティを実現する」に向けては、まず、地域の持つ歴史や文化など、それぞれの地域が持つ個性を生かしながら、都市の機能や人口を各地域の拠点に集めるコンパクトシティを形成すること、そして、LRTを含めたその拠点を交通でつなぐネットワークを形成することが重要です。  これらの取り組みを活力があるこの時期に行い、それぞれの地域の特性を生かしながら、持続的に発展する都市を目指していく必要があります。 宇都宮に誇りを持ちそれぞれの立場でできる取り組みを 宇都宮が持続的に発展していくまちになるために  今回の地方人口ビジョンと地方版総合戦略の策定に当たり開催された「宇都宮市人口減少対策検討懇談会」では、さまざまな立場の人たちから多様な意見が出ました。  人口減少対策については、いろいろと方法があると思いますが、大切なことは、「産官学金労言(産業界・行政機関・教育機関・金融機関・労働団体・メディア)」に住民を加えた、それぞれの立場の人たちが、オール宇都宮という意識を強く持ち、横の連携を強化していくことです。  平成62年に人口50万人を維持するというのはかなり厳しい数字ですが、それぞれの取り組みを一丸となって継続していけば不可能ではないと思います。 ------------------------------------------------ 一人ひとりが暮らしやすいそれが人の集まるまちになる ------------------------------------------------  人口減少、少子・超高齢社会と聞いて、まず初めに不安に思うことは、子どもが少なくなって自分が通っていた小学校や中学校がなくなってしまったり、普段利用しているバスが、利用者が減ることによって路線が減ってしまったりするのではないかということです。  そんな中、将来について、「結婚・出産・子育て」という場面を想像すると、仕事をしていく上で、育児休暇などが取れるのか、取りづらそうな雰囲気はないかということが気になります。私も含め、そういう不安を抱いている学生はたくさんいると思うので、大学などでも、経験者の話を聞く機会があればいいと思います。ライフスタイルのモデルがいれば、結婚・出産・子育てについて具体的にイメージする機会も増えると思います。また、交通面では、宇都宮は車がないと生活しづらいところがあるので、将来、車がなくても生活しやすい都市を目指すために、バスの利便性の向上や自転車環境の整備も必要だと思います。 大学と市が連携し若年層への円滑な情報提供を  今回、「宇都宮市人口減少対策検討懇談会」には、若年層の他地域への流出抑制が必要だと思い参加しました。市内の若年層が他地域へ流出する理由は、市内企業の情報や採用の情報を得ようとしてもなかなか得られず、情報が豊富な首都圏などの他地域に就職してしまうためだと考えます。そこで、大学と市が連携して、市内の企業情報や採用情報、就職活動の現状など、お互いが持っている情報を、専用のホームページやSNS(ソーシャルネットワーキングサ ービス)などさまざまなツールを使い発信すれば、学生が就職活動に必要な情報を得る機会が増えると思います。こうした取り組みが市内の若年層の他地域への流出抑制につながり、人口減少対策に一役買えるのではないかと思います。  宇都宮は都会でもなく、田舎でもなく、住むにはちょうどいいまちだと思います。私たち市民が、自分たちのまちは自分たちで作るんだという積極性を持って、身近なところからまちづくりに取り組むことが、宇都宮が持続的に発展していくために必要なことだと思います。 あなたの意見をお寄せください  市民の皆さんから、「人口減少、少子・超高齢社会」についての意見・提案をお受けします。寄せられた意見・提案などは、施策の参考とします。なお、一部を後日、広報紙で紹介します。質問などへの回答は、直接本人あてに返信しませんので、ご了承ください。  左のはがき(切手不要)を切り取り、1月18日(月曜日)までにポストに投函してください。他のはがきや手紙・ファクス・Eメール・市ホームページのアンケート(携帯サイト含む)でも受け付けます。 送付先  郵便番号 320-8540市役所総合政策部広報広聴課  電話 632-2025、 FAX 639-0627 Eメール:u2030@city.utsunomiya.tochigi.jp 広報うつのみやプラス「人口減少、少子・超高齢社会」についての問い合わせ先 総合政策部政策審議室  電話 632-2115、 FAX 632-5422 Eメール:u2005@city.utsunomiya.tochigi.jp アイデア通信 人口減少、少子・超高齢社会について、私はこう考えます。 人口減少、少子・超高齢社会に対応するため、効果的な取り組みは何だと思いますか。(3つまで) 1若い世代の経済的な安定や結婚につながる支援 2安心して妊娠・出産・子育てができる環境整備 3働きながら子育てできる環境整備 4高齢者が健康で、活躍できる社会の実現 5安定した雇用の創出による人口の定着 6地域人材の育成など、「人づくり」の推進 7東京圏からの流入人口の増加策の推進 8本市の魅力発信による、来訪者・定住者の増加 9拠点形成と拠点間の連携・補完による都市の実現 10産業・観光の維持・発展 11利便性の高い交通ネットワークの構築 12自然環境・農地と市街地の有機的な連携 13効率的で健全な都市運営の実現 14その他 人口減少、少子・超高齢社会に関するご意見、ご質問について、自由にご記入ください。 8ページ 私の意見提案 ------------------------------------------------ 今回のテーマ自転車のまち ------------------------------------------------  前回の広報うつのみやプラス「自転車のまち宇都宮」に対して117人の市民の皆さんから意見をいただきました。代表的なものを紹介します。 (1)あなたが自転車に乗る理由は何ですか(複数回答可)。 健康に良い 91件 経済的 72件 交通渋滞に巻き込まれない 44件 趣味として 34件 その他 68件 その他の主な意見 車に乗っているときとは違う景色を見ることができる。また、新しい発見もある(西刑部町・30代)。 市街地から街の中心部まで、買物・催物などに気軽に出掛けられる。駐輪場は駐車場より選びやすい(戸祭3丁目・80代)。 (2)自転車に乗りたくなる、効果的な取り組みは何だと思いますか(複数回答可)。 その他自転車レーンや駐輪場を利用しやすくする 86件 自転車での通勤や買い物にメリットを付ける 58件 レンタルサイクルを利用しやすくする 32件 誰もが参加できる交通安全教室を開催する 28件 その他 78件 その他の主な意見 季節ごとに花を植えるなど、サイクリングロードを整備する(鶴田町・60代)。 初心者や女性が気軽に参加できるサイクリングイベントを開催してほしい。また、本当の意味で自転車のまちになれるよう、環境整備をしっかりやってほしい(駒生町・50代)。 自転車保険への加入を徹底させる。自動車並みの強制保険制度を作る(御幸本町・70代)。 ------------------------------------------------ 前回の広報うつのみやプラス 「自転車のまち宇都宮」の概要 ------------------------------------------------ 高いレベルの自転車レースを間近で体感  アジア最高位の自転車ロードレースである「ジャパンカップサイクルロードレース」が開催される宇都宮は、日本初の地域密着型プロサイクルロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」の活動拠点。Jプロツアー(ジャパンプロツアー)の開幕戦など、高いレベルの自転車レースを間近で観戦できる街です。 恵まれた環境で、自転車生活、始めませんか  自転車は、老若男女問わず楽しめる乗り物です。健康や環境への関心が高まる中、全国的にもサイクリストが増加しています。自転車を楽しみたい皆さんのため、市内で開催するイベントや、サポート施設を紹介します。 みんなが安心できる自転車のまちづくりを  地形的にも自転車利用に適した環境を持つ本市は、通勤通学で自転車を利用する人の割合も高い街です。自転車レーンなどのハード面の整備が進んでいるところですが、ルールやマナーの徹底などのソフト面の充実も大切です。誰もが安心して快適に過ごせる自転車のまちを目指すため、もう一度安全について考えてみませんか。