1ページ ------------------------------------------------------------ これからの宇都宮のまちのカタチ ネットワーク型コンパクトシティ ------------------------------------------------------------ Network(ネットワーク)型 Compact(コンパクト) City(シティー)  これから本格的な人口減少や、少子・超高齢化時代を迎えようとしています。  このような中にあっても、誰もが安心で便利に暮らすことができ、魅力あるまちとして発展していくため、本市では、将来目指すまちの姿として「ネットワーク型コンパクトシティ」という考えかたの下、人やさまざまなまちの機能がそれぞれの地域の拠点に集まり、拠点同士が公共交通や道路などで結ばれた、暮らしやすいまちを目指しています。 2・3ページ ------------------------------------------------------------ コンパクトなまちづくりに 向けて ------------------------------------------------------------ 人口減少や少子・超高齢化時代に向け、本市に 合ったコンパクトなまちのカタチを考えます。 ネットワーク型コンパ クトシティの必要性  本市の総人口は今はまだ増えていますが、現時点では、平成29年にピークを迎え、その後減っていく「人口減少時代」になると予測しています(左の図1)。また、人口を年齢別に見ると、65歳以上の高齢者の割合は増え続ける一方で、働き盛りの人口や子どもの割合は減ると予測しています(左の図2)。  こうした人口減少や少子・超高齢化により、私たちの生活はさまざまな影響を受けることが懸念されます(左の表)が、このような人口減少・少子超高齢化が進む見通しの中でも、市民の誰もが、住み慣れた地域で安全で快適な暮らしを送るためには、これからも市内の各地域を維持し、発展させていく必要があります。そして、このようなまちを実現するためには、都市の機能や人口を各地域の拠点に集めるコンパクトシティの形成が必要であると考えています。 本市が目指す 人口減少社会に合った まちのカタチ  これからのまちづくりに当っては、各地域において、市民の日常生活を形作る大きな要素である「住まう」「働く・学ぶ」「憩う」ために必要な、さまざまな機能が整備された「拠点」を形成しながら、市民がそれらの機能をしっかりと利用できるようにするため、「交通」によってつながり、環境にも配慮した「ネットワーク型コンパクトシティ」を形成していきます。これらの「拠点づくり」「ネットワークづくり」により、コンパクトなエリアにおいて日常生活が便利になり、生活の質やまちの価値・活力を高めることができるものと考えています。 これまでのまちのかたちで人口減少が進むと・・・ 市内の大学生との意見交換で浮かび上がった人口減少による懸念 市民の日々の 活動は・・・ 電車やバスの利用者が減り、運行本数が減ることで、移動の選択肢が少なくなり、郊外に広がった病院やお店などに出かける時に不便になってしまいます。 働き手が減ることで、企業や工場が撤退・移転する恐れがあり、遠くの職場への通勤や大都市への引越しが必要になってしまいます。 財政状況の悪化により、公共施設の維持が難しくなり、学びの場などが少なくなることで、暮らしを豊かにするための機会が少なくなってしまいます。 身近な地域の 環境は・・・ 住宅地などの密度が低くなることで、近所の人との関わりが薄くなり、地域コミュニティのつながりが弱くなってしまいます。 空き地・空き家が増えたり、道路・橋などの維持が難しくなったりすることで、安心・安全な日常生活を送ることができなくなってしまいます。 身近なお店の閉店やイベントなどが縮小されることで、まちの魅力やにぎわいなどが失われてしまいます。 宇都宮市まちづくりシンポジウム 日時 3月21日(土曜日・祝日)午後2時〜4時。午後1時30分開場予定 会場 県総合文化センター(本町)内容 「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成に向け、市長による基調講演や有識者を招いてのパネルディスカッションを通して、これからの都市構造の考え方や本市の進める取り組みへの理解を深める その他 会場に駐車場のご用意はありません。ご来場の際は、公共交通機関をご利用ください。問い合わせ 政策審議室 電話 632-2117 4・5ページ ------------------------------------------------------------ ネットワーク型コンパクトシティの 実現に向けて ------------------------------------------------------------  それぞれの拠点がまちの機能を補い合うとともに、相乗効果で都市全体の魅力を高め、100年先も持続可能なまちを目指します。 都市拠点 高度なまちの機能や 魅力が集積している 都市拠点のイメージ イベント・交流の場や文化的な施設など、にぎわいや生活の質を高める場が集まるまち。 行政機関や居住・医療などのさまざまな施設が集まるまち。 駅前から店舗やビルが建ち並ぶ「中心市街地」らしい風格あるまちなみ。 産業拠点 高度な産業・研究開発、 流通業務機能などが集積 している 基幹公共交通 公共交通として高水準のサービスを提供。 地域拠点 特色あるまちの 機能が充実している 地域拠点のイメージ 駅やバスターミナルがあり便利に公共交通を利用できるまち。 生活に必要な機能がコンパクトに集まるまち。 拠点周辺の居住地との移動がしやすく、地域生活の中心となるまち。 農産物直売所や交流施設など、自然・農業と身近に触れ合えるまち。 観光拠点 豊かな自然や歴史・文化など憩いの場となる資源が充実している 地域内交通・支線公共交通  地域をカバーする公共交通づくりを進めるとともに、隣り合った拠点へ移動する需要に応じた公共交通ネットワークをつくる。 幹線公共交通 行政機関・病院・学校などの市民生活に必要な施設へのアクセスを支援し、市民の利便性の向上を図る。 コンパクトシティの核となる 拠点づくり  市中心部の「都市拠点」(約320ヘクタ―ル)と、周辺部の14の「地域拠点」(核となる施設などを中心とした一定のエリア)の2層の拠点をつくり、それぞれの拠点の結びつきや役割分担により、市民生活に必要な機能を満たせるまちをつくります。  また、「都市拠点」に接し、市街地の成り立ちや、コミュニティの関わりなど、強い関連性を持つ周辺の地域を「都市拠点圏域」とします。 「産業拠点」「観光拠点」をつくり、市内の経済活動を活発化するとともに、市民の憩いの場所を提供します。さらには、近隣市町との広域的なつながりの中で、存在感や中枢性を維持していきます。 誰もが自由に移動できる 交通ネットワークづくり  市民生活を豊かにし、活発な産業活動や来訪者の増加を促すため、市内全域での軸となる交通から身近な生活を支える交通まで、使う目的によって適したものを選ぶことができる公共交通ネットワークの構築を図ります。バランスの取れた交通ネットワークをつくることで、過度に自動車に依存することなく、誰もが自由に移動できるまちをつくります。 市民とつくるネットワーク型 コンパクトシティ  市の取り組み以外にも、日ごろの市民の皆さんによる次のような身近な取り組みがネットワーク型コンパクトシティの実現には必要不可欠です。 各層の負担を軽減した生活しやすい地域づくり 高齢者や子ども・子育て世代を地域で見守るコミュニティの活動。 移動しやすい環境の確保 電車・バスなどの公共交通の利用。 地域の伝統・文化の保全 地域の活動や行事への参加・協力。 買い物環境とにぎわいの確保 身近な商店街やまちなかの店舗・商業施設などの利用。 産業・人材育成と活力・魅力ある誇れる宇都宮づくり 地域の企業やスポーツチーム、各種イベントなどを盛り上げる活動(製品などの利用、参加・協力)。 日常生活に必要な施設や居住が集約したコンパクトなまちづくり 住み替えのタイミングなどに合わせた都市拠点・地域拠点への居住。 注 Light(ライト) Rail(レール) Transit(トランジット)(次世代型路面電車システム)。 6・7ページ ------------------------------------------------------------ 自分で「選べる」まち それが未来の宇都宮 ------------------------------------------------------------ 早稲田大学理工学術院 教授 森本 章倫(あきのり)さん ネットワーク型 コンパクトシティの必要性  これまでの人口増加社会でのまちづくりでは、まちを広げていくことは必然でした。しかし、今後の人口減少社会では、その都市に見合ったコンパクトなまちにしていかないと、都市経営がうまくいかなくなります。これは、都市の規模に関わらず、今後、日本全体が取り組んでいく必要のあることです。  また、超高齢社会の進行もネットワーク型コンパクトシティが必要である理由の一つに挙げられます。高齢になると、一般的に車の運転能力が低下し、事故率も上昇します。運転免許を返納しても生活しやすいまちをつくる必要があると思います。また、高齢になると家屋の維持管理が難しくなり、後々空き家になってしまう可能性もあります。 宇都宮らしいネットワーク型 コンパクトシティ  コンパクトシティには、「一極集中型」と、拠点が複数ある「クラスター型」があります。一極集中型は、周囲に山や川があるなど、土地の利用に制約があり、結果的に周辺に広がらない都市です。宇都宮は平野が広がり、「宮環(宇都宮環状道路)」に代表される道路交通網がしっかりと整備されています。こうした地域の強みを生かした、クラスター型のコンパクトシティが宇都宮にふさわしい形でしょう。 宇都宮にLRTを導入する 意義とは  それぞれの交通手段には、それぞれの適切な役割りがあります。宇都宮でいえば、車の他に新幹線、JR、私鉄、バスなどになると思いますが、都市の規模を考えると、私鉄とバスの他にもう一つ交通手段が必要だと思います。宇都宮の交通は、JR線など南北方向には非常に強いのですが、東西方向にはあまり強くないことが特徴です。そこで、もう一つ必要な交通手段がLRT(次世代型路面電車システム)です。しかしLRTはあくまでも交通手段の一部です。その他の電車・バスなどの公共交通機関との連携を総合的に考えていくことが、ネットワーク型コンパクトシティの実現には重要です。  また、LRTを導入することで、住宅や店舗・病院などのロケーションマネジメント(立地誘導)をするきっかけにもなります。ロケーションマネジメントとは、人がどこに住みたいかという時に、少しだけ選択肢を増やしてあげることです。一般的にそれぞれのライフステージにおいて、住む場所を選ぶという節目は3・4回程度あると思います。その時に、「土地取得費用補助がある」「LRTがあって便利そう」という理由で住む場所を選び、より利便性の高い場所へ移り住んでくれれば良いのです。明治時代や江戸時代にさかのぼってみても、移動が便利なまちが発展してきました。交通が整備された便利なまちであることは、宇都宮が「選ばれるまち」となる上でとても重要だと思います。 車から公共交通機関への 意識転換  公共交通を整備し、その利用を促していくからといって、車を利用すべきではないと言っているわけではありません。例えば、「酒席の場に参加する」「大人数で移動する」など、車より便利な時は、積極的に公共交通を利用してほしいということです。利用してくれる人が増えれば、投資できる額が増え、便数が増加するなど、どんどん便利になり、さらに利用者が増えるというプラスのスパイラルができます。  そのために、モビリティ・マネジメント(公共交通の利用を啓発する活動)を行政・民間・地域社会が協力して行うことがとても重要です。車でも公共交通でも、利用者がそれぞれより便利だと思う交通手段を選んで生活できるようになることが理想的だと思います。  ネットワーク型コンパクトシティの魅力は「選択できるまち」になることです。交通手段も住む場所も選択肢が多様にあり、自分で選ぶことができるまち、それが未来の宇都宮の姿になればいいと思います。 ------------------------------------------------------------ より暮らしやすい 中心市街地へ ------------------------------------------------------------ 宇都宮大学 吉澤 彰平さん 町田 卓哉さん  私たちは、市が行っている「大学生によるまちづくり提案」がきっかけで、まちづくりに興味を持ち、ネットワーク型コンパクトシティという考えに注目しました。  そしてこの夏に、公共交通が発達しているといわれているドイツのフライブルク市を視察しました。そこで感じた宇都宮との一番の違いは、中心市街地に車が少ないことです。特に印象的だったのは、まちを歩く人たちの話し声、演奏されている楽器などの「音」や、飲食店のおいしそうな「匂い」を思いがけず感じられたことでした。 「つくるまちづくり」でなく 「つくらないまちづくり」  私たちはJR宇都宮駅周辺の都市拠点、特に駅東側に注目しています。駅前の風景は、まちの第一印象を決める「顔」だと思います。そういう点で「宇都宮ってすごいな。過ごしやすそうなまちだな」と思ってもらえるようなシンボルがあるといいと思います。  また、交通などのハード面の充実に加え、市民が交流し、憩うことができる場があれば、市民の精神的な豊かさも高まり、より素晴らしいまちになれるのではないかと考えています。  そこで私たちは、緑が多く潤いが感じられる中心市街地の形成が必要ではないかと考えました。  駅を出て、緑が広がって見えることは、宇都宮に住むことを誇りに感じられる一種のシンボルになると思います。広場にはカフェを設け、イベントを開いたり、その管理もなるべく市民の手で行うシステムを作ったりすることで、継続的に市民同士の交流が生まれると思います。  宇都宮は、とても住みやすい便利なまちだと思います。だからこそ、もう一歩踏み込んで、市民の精神的な豊かさを追求し、幸せを感じることのできるまちづくりを行うことが今後大切ではないかと思います。  公共交通の充実と共に、環境にやさしい、より暮らしやすいまちになってほしいと思います。 あなたの意見をお寄せください  市民の皆さんから、「ネットワーク型コンパクトシティ」についての意見・提案をお受けします。寄せられた意見・提案などは、施策の参考とします。なお、一部を後日、広報紙で紹介します。質問などへの回答は、直接本人あてに返信しませんので、ご了承ください。  左のはがき(切手不要)を切り取り、2月16日(月曜日)までにポストに投函してください。他のはがきや手紙・ファクス・Eメール・市ホームページのアンケート(携帯サイト含む)でも受け付けます。 送付先 〒320-8540市役所総合政策部広報広聴課 電話 632-2025、ファクス 639-0627 Eメール:u2030@city.utsunomiya.tochigi.jp 広報うつのみやプラス「ネットワーク型コンパクトシティ」についての問い合わせ先 総合政策部政策審議室 電話 632-2118、ファクス 632-5422 Eメール:u2005@city.utsunomiya.tochigi.jp アイデア通信 ネットワーク型コンパクトシティに ついて私はこう考えます。 1 ネットワーク型コンパクトシティ形成のために優先的に進める取り組みは何だと思いますか。(3つまで) ア 中心市街地の活性化 イ 地域拠点への生活利便機能の誘導 ウ 地域コミュニティの活性化 エ 生産性の高い産業の集積 オ 集客力のある観光事業の充実 カ バス路線など公共交通ネットワークの再編 キ 地域内交通の充実 ク 居住の誘導 ケ 空き家・空き地の管理・有効活用 コ 農地の維持・保全 サ 公園などの緑の拠点の維持・管理 シ 公共施設の適正配置や有効活用 ス その他 2 ネットワーク型コンパクトシティに関するご意見、ご質問について、自由にご記入ください。 8ページ ------------------------------------------------------------ 前回の広報うつのみやプラス 百人一首誕生秘話  百人一首の誕生には、鎌倉時代に宇都宮で活躍した殿様である宇都宮城5代城主宇都宮頼綱(よりつな)(後に蓮生(れんしょう)と改名)の存在が欠かせません。頼綱は、鎌倉幕府から謀反の疑いをかけられてしまい、やむを得ず出家し京都に移り住むことになりました。そして、京都で藤原定家(さだいえ)という歌人と親しくなります。当時、和歌をしたためた色紙をふすまに貼ることが流行っており、蓮生は、自分の別荘に貼る色紙を選ぶように定家に依頼。こうして選ばれたすばらしい和歌が、現在の小倉百人一首として伝えられています。 百人一首大会  平成26年11月、本市で初めて、全国かるた競技宇都宮大会を開催しました。全国大会を本市で開催することで、百人一首ゆかりの地宇都宮を全国に発信する大きなきっかけになることが期待されます。全国かるた競技大会は、一定の成績以上の人だけが昇段できる、レベルの高い競技が繰り広げられます。また、気軽に参加できるうつのみや百人一首市民大会は今年度で20回目を迎え、参加者数600人を超えるなど、日本一の開催規模を誇っています。 前回のテーマ 百人一首  前回の広報うつのみやプラス「百人一首」に対して20人の市民の皆さんから意見をいただきました。代表的なものを紹介します。 (1)百人一首のさらなる普及に必要なことは何だと思いますか(複数回答可)。 学校教育で百人一首の内容を充実させる、 12件32パーセント 地域でかるたをする場所を確保する、 6件16パーセント キャラクターを使ってPRする、 2件5パーセント 百人一首に関連するイベントを開催する、 8件21パーセント その他、 10件26パーセント その他の主な意見 中学校・高等学校で部活動を作る。学校行事などで大会を開催する(西原町・40代)。 駅東の遊歩道に百人一首に関する掲示を行なう。また、和歌の投票箱などを設置する(大和1丁目・60代)。 かるたなどで楽しく遊べることを幼い頃から教えて、苦手意識を持たせないようにする(西川田南1丁目・40代)。 蓮生の銅像を建立する(鶴田町・80代)。 (2)百人一首のまち宇都宮をアピールするために必要なことは何だと思いますか。 駅前や二荒山神社近辺の歩道に百人一首の歌・作者を印字した版を埋め込む(鶴田町・70代)。 市内で百人一首の大会をもっとたくさん開催する(中岡本町・10代)。 俳句コンテストなどとタイアップしていく(中央3丁目・40代)。 全国大会を毎年実施する(清住2丁目・50代)。