消防団の重要性

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ページID1003398  更新日 令和6年3月8日

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大規模災害等に備えた取組み

危惧される大規模災害

 我が国は、その位置、地形や気象などの自然条件から、地震、台風、豪雨、火山の噴火などによる災害が発生しやすい環境にあります。いつ発生してもおかしくないといわれている東海地震では、阪神・淡路大震災をも上回る甚大な被害が想定され、また、今世紀前半での発生が懸念されている東南海・南海地震でも大きな被害が広範囲かつ多重的に発生すると予測されます。
 このような大規模な災害に対応するためには、国としての防災対策はもちろんのこと、地方公共団体の取組み、さらには地域の防災力を高めていくことが必要です。

那須塩原市(旧黒磯市)ブリヂストン火災(平成15年9月)

地域の防災力向上の必要性

 災害が大きければ大きいほど、常備消防を始めとする防災関係機関等自身が被害を受け、災害対応に支障をきたす場合があるうえに、救助、救援活動において迅速に対応を行ったとしても広域的な応援には時間を要することから、発災直後の初動期における地域住民相互の助け合い、人命救助や初期消火への努力が被害の軽減につながることになります。
 例えば、阪神・淡路大震災において、日頃から消防団を中心に行政機関と住民による自主防災組織との緊密な連携があった淡路島の北淡町(当時)では、激震地であったにもかかわらず、被害は最小限に抑えられました。これは、消防、警察、自衛隊などが本格的に機能する前段階などにおいては、住民自らが主役となって防災活動を行うことの重要性を示しています。

消防団、自主防災組織、NPOなどの連携による地域の防災体制の確立

 防災の視点に立っての地域づくりを推進するに当たっては、自主防災組織を始めとする地域住民が、消防局・消防署や消防団で構成する消防機関との緊密な連携を持ち、一体となって取り組んでいくことが必要です。
 特に消防団は、我が国のほとんどの市町村に設置されている歴史ある組織であり、防災面での十分な訓練と経験を積んでいることから、それぞれの地域でリーダーシップをとり、自主防災組織や住民に対する訓練指導、防災知識の普及啓発を行うことが期待されます。
 また、地域ぐるみで防災力の向上を図るためには、町内会、婦人会、PTA、青年団、商店街、学校、事業所等、地域にある様々な組織や民間非営利組織(NPO:Non Profit Organization)、ボランティア団体等が多面的に防災面で対応力を持つことが望まれ、これらの団体と自主防災組織や消防団との連携を図っていくことが有効です。
 さらに、地域社会において企業が地域の防災活動に積極的な役割を果たしている例も少なくなく、こういった企業の防災活動との連携は地域防災力の向上に大きく役立つものです。

地域密着性と要員動員力を活かし大規模災害等で活躍する消防団

地域における消防団の重要性

 消防団は、市町村の消防機関です(消防組織法第9条)。構成員である団員は、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員である一方、他に本業を持ちながら、自らの意思に基づく参加、すなわちボランティアとしての性格も併せ有しています。
 阪神・淡路大震災において、消防団は、消火活動、要救助者の検索、救助活動、給水活動、危険箇所の警戒活動など、幅広い活動に従事しました。特に、日頃の地域に密着した活動の経験を活かして、倒壊家屋から数多くの人々を救出した活躍にはめざましいものがありました。こうした活動により、地域密着性や大きな要員動員力を有する消防団の役割の重要性が再認識されました。
 その後、消防庁が、平成13年12月に、消防団を設置する全市町村及び全消防団を対象に調査したところ(以下「実態調査」という。)によれば、全国の9割にも及ぶ市町村が、消防団は非常に重要であるとしています。

消防団の現状

 経済の高度成長期以降の過密・過疎の進行などや地域社会、就業構造、国民意識の大きな変化に伴い、過疎地域などにおいては、新たに団員として参加する若年層が年々減少する一方、都市部を中心に地域社会への帰属意識の希薄化が生じ、既存の地域組織活動になじみが薄い住民が増加しています。
 団員の年齢構成は、かつて比較的若年層が中心でしたが、近年、30歳未満の団員の割合が減少する一方、40代や50代以上の割合が増加するなど、高齢化が進行しています。
 また、団員の職業構成は、かつて自営業者などが中心を占めていましたが、被雇用者である団員の割合が増加しており、昭和43年の26.5%が、平成21年には70%に達しています。
 このような団員数の減少と団員構成の変化が、消防団の運営に影響を及ぼしており、適正な規模の活力ある消防団の確保をいかに図っていくかが、各地域・市町村の切実な課題となっています。

消防団の特性とその発揮

小学生との放水訓練(防災教育)

  1. 構成員である団員は、地域の住民であることが多く、地元の事情等に通じ地域に密着した存在(地域密着性)。
  2. 団員数は、かつてより減少しているものの、なお、全国で88万5394人(平成21年4月1日現在)と、常備職員の約6倍の人員(要員動員力)。
  3. 団員は、日頃から教育訓練を受けており、災害発生時には即時に対応できる能力を保有(即時対応力)。

 消防団が、要員動員力や即時対応力という特性を発揮していくには、各地域の実情に応じた適正な団員数を確保すべきです。消防団を支援する組織を設けたり、これらと連携を図ることも大切です。また、それぞれの団員に対する適切な研修・教育訓練が欠かせません。
 さらに、活動を地域防災面に止めることなく、福祉や環境保全、芸術文化など、他の分野にも、幅を広げることにより、地域密着性がより高められます。
 このほか、外部からの環境整備も重要です。国民や企業が、災害に対して自らが自らを守ることの自覚に加え、消防団が果している指導的役割について認識を高める必要があります。学校教育などの場で地域防災や消防団に対する理解を促進することも重要です。

大規模災害時等への対応を意識した消防団活動

 実態調査によれば、新たに必要とされはじめた活動としては、「大規模災害を想定した防災訓練」との回答が大都市を中心に多く全体の51%を占めています。また、「大規模災害を想定した訓練」に重点を置くとする消防団は35%であり、「実際の火災を想定した訓練」などに比べまだ低位であるものの、政令指定都市を中心に人口規模が大きくなればなるほど回答率が高くなっています。
 これらの結果から、大都市の消防団では、阪神・淡路大震災の経験にかんがみ、常備消防との役割分担も念頭に置いた上で、大規模災害を意識した活動に取り組みはじめていることがうかがえます。
 大規模災害等の発生のおそれは、大都市部に限られません。今後は、消防団の活動を考えるに際して、いずれの地域においても、大規模災害等への対応を意識する姿勢が求められます。

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