結核
結核は日本と世界の重大な感染症です
新型コロナウイルス感染症の結核への影響
新型コロナウイルス感染症の影響により、健診の延期や受診者自身による健診控えが生じ、結核患者の発見が遅れている可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症は、状況に応じて、副腎皮質ステロイド剤の投与が必要となりますが、免疫機能が低下するため、副腎皮質ステロイド剤による結核発病リスクは、2.8~7.7倍となっています。
結核は、昔の病気と思われがちですが、令和3年に結核を発病した患者数は、全国で11,519人に上り、わが国の重大な感染症となっています。
結核は空気中の結核菌が身体の中に入ることによって、主に肺に炎症を起こす病気です。
結核は注意をしていればそれほど怖がる必要はありません。まずは結核について正しく理解しましょう。
1 結核とは
結核は、重症の患者がせきやくしゃみをした時に、空気中に飛び散る結核菌を周囲の人が吸い込み、身体の中に取り込まれることで感染します。これを空気感染といいます。
通常は、結核に感染しても身体の免疫機能が働いて、菌の増殖が抑えられ発病することはありませんが、免疫力が低下したり、免疫機能が働かなかったりすると結核菌が活動を始め、せきやたん、発熱などの症状が現れます。この状態を発病といいます。
10人が結核に感染した場合、発病するのは1人か2人と言われています。感染から発病までの期間はひとそれぞれですが、結核菌はとてもゆっくり増殖するため、早くても感染から発病まで2か月から6か月程度かかるのが特徴です。
もしも、結核に感染し、発病しても、たんの中に結核菌がいない軽症の場合は、ほかの人にうつす恐れがなく、外来治療が可能です。重症の結核の場合、入院治療が必要になりますが、きちんと薬を飲むことで完治します。
2 結核の現状
現在、日本の結核の状況は、外国出生者などの若い世代にも患者が増えている、働き盛りに受診の遅れが多い、高齢化が進んでいる、大都市部に集中し国内の地域格差がある、薬の効かない多剤耐性結核が増えているといった特徴があります。
高齢者は、若いころに結核の流行を経験し、すでに感染している人が多く、体力や抵抗力が低下したときに、眠っていた結核菌が目を覚まして発病するケースが増えています。市の結核患者新規登録者の年齢を見ても、70歳以上が半数以上を占めており、高齢者は特に注意が必要な病気です。
3 早期発見が重要です
結核は、せきやたんが出る、微熱が続く、食欲がない、体重が減少するなどの症状が現れます。それらの症状は、風邪の症状と似ているため、見過ごされてしまうことがあります。そのため、上記の症状が2週間以上続く場合、結核の可能性も考慮して、早めに医療機関を受診しましょう。
また、結核を早期に発見するために、年に1回は住民健診や職場健診で胸部エックス線検査を受けましょう。定期的な受診により、自覚症状のない早い段階で発病を発見することができます。
4 予防方法
抵抗力の低い乳幼児が、結核を発病すると重症化しやすいので、接種の時期になったら計画的にBCG接種を受けましょう。
また、体力や抵抗力が低下すると、結核に感染したり発病しやすくなるため、無理なダイエットや不規則な生活は避け、日ごろから健康に留意しましょう。
5 もし結核を発病したら
現在は、数種類の薬(多剤併用療法)を6か月から9か月程度服用することで完治するようになりました。
しかし、症状が消えたからと治療の途中で服薬をやめてしまうと治りません。また、その薬が効かない耐性菌を作り出してしまいます。医師から指示された期間は必ず最後まで薬を飲むことが重要です。
保健所では、確実な服薬のために、服薬支援を行っています。心配なときには、いつでもご相談ください。
6 自分や家族、周囲の人が結核と診断されたら
保健所では、結核を診断した医師からの届出をもとに、患者さんに対して結核医療費の公費負担制度の説明や服薬支援、家族や周囲の方に対する接触者健康診断などを行っています。
患者さん自身は、突然結核と診断され、長期に渡る入院や外来治療を迫られ、動揺されていると思います。また、家族や職場など周囲の人に感染させてしまったのではないかと不安を抱かれていると思います。
周囲の方が、結核について正しく理解してくださることで、患者さんは治療に専念でき、その後、順調に今までの生活に戻ることができます。患者さんも周囲の方も、心配なことがあるときには、いつでもご相談ください。
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宇都宮市保健所 保健予防課
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