平成28年度施政方針

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ページID1002174  更新日 令和6年3月8日

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 平成28年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第18号から第34号までの平成28年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算につきましての大綱を御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 世界経済の不透明感が増す中、我が国の経済につきましては、大都市や大企業を中心に景気の緩やかな回復基調が続いておりますが、地方や中小企業、そして、個人におきましては、景気回復を十分に実感するまでには至っておりませんことから、今後は、我が国全体に「経済の好循環」を着実に波及させていくことが求められております。
 こうした中、国におきましては、少子・超高齢化、人口減少社会という長年の課題に挑戦し、地方創生の更なる深化を図るため、国民の誰もが能力を発揮でき、充実した生活を送ることができる「一億総活躍社会」の実現に取り組むとともに、アジア・太平洋地域に自由で公正な経済圏を構築いたしますTPPにつきましても、協定締結を契機として、我が国の力強い経済を実現できるよう、農業を始めとした総合的な政策を実施していくこととしております。

 このような中、本市におきましては、平成27年10月に「宇都宮市人口ビジョン」を策定したところであり、このビジョンで示しました本市の将来人口の展望は、今後、減少に転じるものの、平成62年におきましても約50万人台を維持する一方、人口構造につきましては、年少人口と生産年齢人口が減少し、老年人口が増加することにより、高齢化率が約40パーセントになるものと見込んでおりますことから、人口減少、少子・超高齢社会の到来を見据えた持続可能なまちづくりが、なお一層重要になるものと考えております。
 このため、「第5次宇都宮市総合計画」に掲げました「みんなが幸せに暮らせる」、「みんなに選ばれる」、「持続的に発展できる」まちの実現を着実に推進するとともに、「宇都宮市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、市民一人ひとりの結婚・出産・子育ての希望をかなえ、少子化の流れを変えるとともに、本市の活力を維持するための定住と東京圏からの移住の促進、そして、少子・超高齢社会に的確に対応できる「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成に重点的に取り組んでいくことが必要であります。
 また、市制120周年、市町合併10周年を迎える節目である新年度におきましては、環境にやさしく、子どもから高齢者、障がい者などの誰もが安全で快適に移動でき、外出によって健康が増進され、人や企業、コミュニティなどの活動や交流が活性化される「交通未来都市 うつのみや」を掲げ、その第一歩を踏み出す重要な年として、本市が将来にわたり繁栄していくためのゆるぎない基盤を築いていけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、子どもから高齢者までの全ての市民が、生涯を通じて心身ともに豊かな生活を送ることができる「子育て・健康づくり」、将来のまちづくりを担う豊かな人間性を備えた人材をあらゆる分野で育成する「人づくり」、さらには、本市の特色ある地域資源を活用した賑わいの創出や、市民の日々の生活と圏域全体の発展を支える「魅力ある地域づくり・経済の活性化」をなお一層、推進してまいります。
 また、本市の目指す都市の姿であります「ネットワーク型コンパクトシティ」を実現するため、市民の身近な場所に、買い物や医療などの日常生活に必要なサービスや機能を備えた地域拠点や、風格と魅力を有し、市域全体の成長を牽引する高次な機能を備える都市拠点などの「拠点形成の促進」に取り組んでまいります。
 さらに、東西基幹公共交通でありますLRTを始め、鉄道・バス・地域内交通・自転車などの多様な交通手段を組み合わせ、階層性と高い利便性を有する「総合的な交通ネットワークの構築」に取り組んでまいります。
 そして、これらの基本的な考え方に基づくまちづくりを進めていくことにより、本市に人や企業、地域団体などの多様な主体が集い、活発に交流・活動し、その活動が次世代につながっていく「まちづくりの好循環」をなお一層、広げてまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識のもと、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。

 まず、本市におきましては、企業収益の拡大や収納対策の強化などにより、市税が増加傾向にあり、平成26年度決算では、6年ぶりに900億円を超えるとともに、市債残高が減少するなど、財政の健全性や安定性が着実に向上しております。
 新年度におきましても、緩やかな景気回復に伴い、市税収入の増加が見込まれておりますが、この景気回復を確実なものとするとともに、少子・超高齢化の進行が見込まれる中にありましても、本市が目指すべきまちを実現できるよう、持続可能な財政構造の構築に、なお一層努めていく必要があります。
 このため、新年度の予算編成に当たりましては、地域経済の活性化や、今後の人口減少社会にありましても、持続的に発展できるまちの実現に資する施策・事業を優先化・重点化することとし、合わせて、自主財源の積極的な確保や、中長期を見据えた行財政改革を徹底することといたしました。

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額1,969億円に対しまして、4.3パーセント増、当初予算といたしましては、過去最大となります2,053億円を計上したところであります。

 また、13の特別会計の予算額1,156億1,980万3千円と3つの企業会計の予算額394億9,431万円を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額3,514億8,988万4千円に対しまして、2.5パーセント増の3,604億1,411万3千円を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第5次宇都宮市総合計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 第1は、「市民の安全で健康な笑顔あふれる暮らしを支える」についてであります。
 まず、「子育て支援の充実」につきましては、保育施設の整備や保育所等の受入拡大への助成などにより、定員の増加を図るとともに、保育士・保育所支援センター事業を実施し、保育士を確保するなど、待機児童の解消に取り組んでまいります。
 また、「こども医療費助成」の現物給付の対象を中学生まで拡大するとともに第3子以降の保育料無料化の対象世帯を拡大するなど、誰もが安心して子どもを生み育てられる環境の充実に取り組んでまいります。

 次に、「保健・医療の充実」といたしましては、がん検診の未受診者への個別勧奨を強化し、受診率の向上を図るほか、医療と介護、福祉の関係機関との連携により、住み慣れた家や地域で適切な医療・介護サービスを受けられる地域療養支援体制の構築に取り組んでまいります。

 次に、「高齢者や障がい者の生活の質の向上」につきましては、特別養護老人ホームなどの高齢者入所・通所施設やグループホームなどの障がい者居住施設の整備を促進するとともに、障害者差別解消法を踏まえ、点字や手話などの活用を拡大するなど、障がい者への配慮をより推進し、高齢者や障がいのある方が安心して暮らすことができる環境づくりを推進してまいります。

 次に、「安全で安心な暮らしの確保」につきましては、空き家等の対策といたしまして、金融機関等との連携・協力により、空き家の解消・活用に取り組むとともに、特殊詐欺被害防止対策といたしまして、電話機に設置する特殊詐欺撃退機器の貸出しなどに取り組み、日常生活の安全・安心の確保を図ってまいります。

 第2は、「学ぶ意欲と豊かなこころを育む」についてであります。
 「信頼される学校教育の推進」につきましては、小中一貫教育を推進するとともに、タブレット型パソコンを計画的に導入し、ICTを活用した授業の充実を図ってまいります。
 また、一条中学校の移転改築や、小・中学校の校舎・体育館の耐震化を完了させるとともに、トイレの洋式化を計画的に進めるなど、教育環境の充実に取り組んでまいります。

 次に、「市民文化の創造」につきましては、文化会館の大規模改修に取り組むほか、「歴史文化基本構想」を策定し、大谷石など、本市の歴史・文化の保存活用指針を定め、「日本遺産」への登録を目指してまいります。

 第3は、「快適な暮らしを支える」についてであります。
 まず、「環境にやさしい社会の形成」につきましては、新たに太陽光発電システムと連携した蓄電設備等の設置に助成するなど、家庭における低炭素化を促進するとともに、新たな最終処分場や中間処理施設などの整備を計画的に進め、効果的・効率的なごみ処理体制を構築してまいります。

 次に、「上下水道のサービスの質を高める」につきましては、上下水道施設の耐震化や浸水被害の解消に向けた雨水対策などに取り組むほか、水道100年・下水道50年の節目を迎え、記念事業などを実施してまいります。

 第4は、「豊かな暮らしを支える活気と活力のある社会を築く」についてであります。
 まず、「地域産業の創造性・発展性の向上」につきましては、本市に立地する企業に対しまして、建物の建替への助成や緑地面積率の緩和などにより、本市への定着を促進するほか、大谷石採取場跡地の冷熱エネルギーを活用した夏秋いちごの生産や保冷技術等の調査を行うなど、大谷地域の資源を活かした産業振興に取り組んでまいります。

 次に、「商工業の振興」につきましては、資金融資や信用保証料の助成など、中小企業への金融支援に引き続き取り組むほか、中心市街地におきまして、低・未利用地の利活用に向けました調査に取り組んでまいります。

 次に、「農林業の振興」につきましては、TPPを見据え、本市農業の競争力を強化するため、畜産農家と地域の関係者で構成する「畜産クラスター協議会」などが取り組む、地域ぐるみでの営農体制づくりを推進するとともに、農業者と販売店等のマッチングや銘柄豚の試食販売会等の開催への支援などにより、宇都宮産農産物のブランド力の向上と国内外への販路拡大に取り組んでまいります。
 さらに、乳幼児を持つ家庭や小・中学校1年生に宇都宮産米を配布するなど、農産物の地域内での消費拡大に取り組んでまいります。
 また、イノシシなどの有害鳥獣を組織的に捕獲する実施部隊を設置し、農業被害の軽減を図ってまいります。

 次に、「魅力ある観光と交流の創出」につきましては、今年で25回目を迎えます「ジャパンカップ・サイクルロードレース」におきまして、アジア最高位にふさわしい記念事業を実施するとともに、関東地区で初めて「全日本シクロクロス選手権大会」を開催するなど、サイクルスポーツのイベントや観戦環境の充実に取り組み、「自転車のまちうつのみや」を更にグレードアップしてまいります。
 また、「2016全国餃子サミット&全国餃子祭りinうつのみや」の開催を支援し、「餃子のまち」の魅力を全国に発信してまいります。

 第5は、「都市基盤の機能と質を高める」についてであります。
 まず、「円滑で利便性の高い総合的な交通体系の確立」につきましては、LRTの平成31年度の開業を目指し、JR宇都宮駅東側の整備工事に着手するとともに、駅西側につきましても整備に係る基礎調査を実施するなど、市民に親しまれるLRTとなるよう事業を着実に進めてまいります。
 また、バス事業者の交通ICカードの導入を支援するとともに、「地域内交通」の郊外部全13地区での運行や、市街地部での生活交通の導入を促進するほか、(仮称)大谷スマートインターチェンジの整備を進め、総合的な交通ネットワークの構築を推進してまいります。

 次に、「魅力ある都市空間の形成」につきましては、「JR宇都宮駅周辺地区」の整備や、大手地区などの市街地再開発事業を推進し、都市拠点機能の高度化を図ってまいります。
 また、引き続き、「JR岡本駅周辺地区」の整備に取り組み、平成28年度に、東西自由通路や西口駅前広場の供用を開始するなど、地域拠点の充実を図ってまいります。

 第6は、「都市の自治基盤の確立」についてであります。
 「市民が主役のまちづくりの推進」といたしまして、市制120周年・市町合併10周年を迎え、市民の皆様に参加していただきながら、記念事業などを実施するほか、平成28年10月の供用開始に向けまして、上河内地域自治センターの改修を進めるなど、地域まちづくりを推進してまいります。

行政改革

 次に、「行政改革について」でありますが、本市におきましては、「第5次宇都宮市総合計画」に掲げる都市像の実現に向けた行政改革の考え方・在り方を示す「第5次行政改革大綱」に基づき、全庁を挙げて取り組んでいるところであります。
 新年度におきましても、住民票等の各種証明書のコンビニエンスストアにおける交付を始めとする「事務事業の継続的改善」、収納対策の強化や低・未利用地の処分の推進などの「行政経営基盤の強化」に取り組み、大綱の基本目標に掲げる「将来を見据えた最適な行政サービスの確立」に向けまして、行政改革をなお一層推進してまいります。

市政運営の執行体制

 最後に、「執行体制について」でありますが、市政運営や予算編成の基本方針を踏まえながら、質の高い市民サービスを迅速かつ効果的に提供できる柔軟で活力ある執行体制を整備してまいります。
 まず、「組織機構」についてでありますが、「農業王国うつのみや」の確立に向けまして、TPPを始めとした農業を取り巻く環境の変化に的確に対応するため、経済部におきまして、農業振興課及び農林環境整備課を再編し、「農業企画課」及び「農林生産流通課」を設置してまいります。
 また、ネットワーク型コンパクトシティの形成に向けまして、LRTなどの大規模な建設事業を始め、良質な社会資本の整備を着実に推進していくため、建設部におきまして、土木管理課及び地籍課を再編し、「技術監理課」及び「道路管理課」を設置するとともに、部内の用地取得担当部門を集約し、「建設用地室」を設置してまいります。

 次に、「人員体制・人材活用」についてでありますが、保育園や学校における給食調理業務や道路補修業務の外部委託を進めるなど、事務事業の見直しに取り組むことにより、職員数の適正化に努めてまいりますとともに、女性職員の育成・登用を始め、全ての職員が持てる能力を十分に発揮できる環境づくりの取組を推進してまいります。

むすび

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、平成28年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。
 本年は、私の3期目の最終年となりますことから、まちづくりの目標として掲げました「5年後の市民の幸せ、100年後の都市の繁栄」に向けまして、ただ今申し上げました施策・事業を始めとする政策の総仕上げに全力で取り組む所存でありますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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