平成27年度施政方針

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ページID1002175  更新日 令和6年3月8日

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 平成27年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第18号から第34号までの平成27年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算につきましての大綱を御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 我が国におきましては、人口減少が、今後加速的に進むことが予測される中、東京圏への人口集中の是正を始め、若い世代の就労や結婚、子育てに対する希望の実現、地域の特性に即した地域課題の解決など、人口減少の克服や地域経済社会の維持が喫緊の課題となっております。
 現在の我が国の経済につきましては、これまでの経済政策などによりまして、景気の緩やかな回復基調が続き、経済の好循環が動き始めておりますが、個人消費等に弱さが見られており、今後は、経済の好循環を地方の隅々まで波及させていくことが求められております。
 こうした中、国におきましては、消費喚起や地域経済の活性化を目的といたしました「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」とともに、我が国の人口を1億人程度に維持するための長期的な展望を示す「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と、その実現に向けて、今後5年間で取り組む政策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を昨年12月に閣議決定し、地方におきましても、国の多様な支援の下、地方版の人口ビジョンと総合戦略を策定するよう要請するなど、国と地方が一体となり、地方創生に総合的に取り組むこととしているところであります。

 このような中、現時点における本市の将来人口につきましては、平成29年をピークに、減少傾向に転じ、平成42年には総人口が約50万人となり、人口構造につきましても、年少人口と生産年齢人口が減少する一方、老年人口が増加するものと推計しており、社会保障関係経費の増加への対応や、まちの活力の維持向上に向けた取組がなお一層重要になるものと考えております。
 こうしたことから、新年度におきましては、全ての市民が夢や希望を持って幸せに暮らせ、将来にわたり持続的に発展できるよう取り組み、特に、今後迎える「人口減少社会」や地域経済の活性化などに適切に対応するため、結婚から子育てまでの切れ目のない支援により、出生数の増加などを図る「自然増」、まちの魅力や働く場の創出などにより、本市への定住人口や交流人口の増加などを図る「社会増」、そして、将来の人口構造の変化に対応した「都市基盤の形成」に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、少子化の流れを変え、人口の維持・増加を目指し、子育てサービスの充実を始め、結婚観の醸成など、結婚から出産・子育てまでの一貫した支援や、将来のまちづくりを担う豊かな人間性を備えた人材を育成する「人づくり」、そして、子どもから高齢者までが生涯を通じて現役で活躍するために不可欠な健康寿命の延伸につながる「健康づくり」に取り組んでまいります。
 また、本市が市内外の人々から選ばれ、定住人口や交流人口の増加を図れるよう、市民の日々の生活を支える働く場の創出や、自転車を始めとする本市の魅力を活かした観光振興などによる「経済の活性化」と、地震や台風、集中豪雨などの自然災害に強く、高い地域防犯力を備える「安全・安心なまちづくり」を推進してまいります。
 さらに、これらの取組を進めるために欠かせない都市基盤の整備に向け、本市のまちづくりの基本理念であります「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成をなお一層進めるため、風格と魅力を備え、本市全体の活力向上を促進する都市拠点や市民の日常生活を支える地域拠点などの「拠点形成の促進」、LRTを始め、バス・地域内交通・鉄道・自転車などによる「総合的な交通ネットワークの構築」に重点的に取り組んでまいります。
 そして、これらの基本的な考え方に基づくまちづくりを進め、本市に人や企業、地域団体などの多様な主体が集い、活発に交流・活動し、その活動が次世代にもつながっていく「まちづくりの好循環」を目指してまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明いたします。

 本市におきましては、これまで、健全で安定した財政力を培ってまいりましたが、今後、少子超高齢化の進展が見込まれる中にありましても、目指すべきまちを実現していくためには、「持続可能な財政構造」の構築に、より一層努めていく必要があります。また、緩やかな景気回復に伴い、新年度も市税収入の増加が見込まれておりますが、さらに、景気回復を確実なものとしていく必要があります。
 このため、新年度の予算編成に当たりましては、自主財源の積極的な確保や資産の適正管理などの行財政改革を徹底するとともに、今後の人口減少社会に適切に対応できますよう人口の「自然増」、「社会増」や「都市基盤の形成」など、「まちづくりの好循環」を創出する施策・事業を優先化・重点化し、行政資源配分の適正化を図ることとしたところであります。
 また、人口減少対策、地域経済活性化策につきましては、地方創生の早期実現に向け、先行的な取組を支援する国の経済対策を活用し、平成26年度補正予算として、本議会に提案いたしました事業と一体的に取り組むことといたしました。
 そして、これらの施策・事業の推進に当たりましては、投資的経費の積極的な確保や交流人口の増大、消費の喚起などに努め、地域経済の力強い回復を支えていくことといたしました。

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額1,893億1,000万円に対しまして、4.0パーセント増の1,969億円を計上したところであります。

 次に、特別会計についてでありますが、主なものを御説明いたします。
 まず、国民健康保険特別会計におきましては、県内市町間において保険財政の安定化を図るための拠出金などが増加いたしますことから、15.4パーセント増の606億円余、介護保険特別会計におきましては、高齢化の進展に伴い保険給付費などが増加いたしますことから、前年度比6.2パーセント増の278億円余を計上いたしました。
競輪特別会計につきましては、前年度に計上した特別競輪の開催経費が減となりますことから、前年度比20.8パーセント減の144億円余を計上いたしました。
 また、土地区画整理事業につきましては、鶴田第2土地区画整理事業特別会計ほか3つの特別会計におきまして、前年度比7.5パーセント減の38億円余を計上いたしました。
 最後に、下水道事業会計につきましては、公共下水道雨水幹線の整備や老朽下水管の更新に伴いまして、前年度比6.2パーセント増の237億円余を計上いたしました。

 この結果、一般会計と特別会計を合わせた予算の総額は、前年度の当初予算総額3,384億8,446万3千円に対しまして、3.8パーセント増の3,514億8,988万4千円を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第5次宇都宮市総合計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 第1は、「安全で健康な笑顔あふれる暮らしを支える」についてであります。
 まず、「健康寿命の延伸」といたしましては、インターネットやコールセンターを活用した集団健診の予約受付体制を整備し、受診率の向上に取り組むほか、特定健康診査におきましてヘモグロビン・A1C検査を必須化するなど、糖尿病の発症・重症化の予防に取り組んでまいります。

 次に、「高齢者や障がい者の生活の質の向上」につきましては、高齢者等地域活動支援ポイント事業におきまして、新年度からポイント交換を開始するほか、認知症対策として、早期発見・早期診断のための「認知症初期集中支援チーム」の設置に向け取り組んでまいります。
 また、障がいのある方の相談支援体制を強化するため、その中核的な役割を担う「基幹相談支援センター」を設置してまいります。

 次に、「子育て支援の充実」につきましては、「子ども・子育て支援新制度」の円滑な実施により待機児童の早期解消を図るとともに、本市独自の保育料軽減や発達支援児を受け入れる保育所等に対する助成を拡大するなど、安心して子どもを産み育てることのできる環境づくりに取り組んでまいります。
 また、「ひとり親家庭支援手当」を創設するとともに、就労・子育て支援を拡充し、ひとり親家庭の自立支援の充実に取り組んでまいります。

 次に、「安全で安心な暮らしの確保」につきましては、空き家等の対策として、地理情報システムを活用した情報管理を行うとともに、自治会が設置する防犯カメラへの助成などの防犯対策や、危険ドラッグ等の薬物乱用防止対策に取り組んでまいります。
 また、大雨等による被害対策といたしまして、調整池の整備や急傾斜地対策などの取組を強化し、市民生活の安全確保に努めてまいります。

 第2は、「学ぶ意欲と豊かなこころを育む」についてであります。
 「信頼される学校教育の推進」につきましては、小中一貫教育を推進するとともに、様々な不登校の状態に合ったより柔軟な指導を行うため、既存の2施設を統合した新たな「適応支援教室」の開設に向けた施設整備に取り組んでまいります。
 また、一条中学校の移転改築や、小・中学校の校舎・体育館の耐震化を推進するほか、返還を免除する奨学金制度を創設するなど、教育環境の充実に取り組んでまいります。

 次に、「市民文化・都市文化の創造」につきましては、平成29年度のリニューアルオープンに向けた文化会館の大規模改修に取り組んでまいります。

 第3は、「快適な暮らしを支える」についてであります。
 まず、「環境にやさしい社会の形成」につきましては、「住宅用太陽光発電システムの設置」に対する助成など、温室効果ガスの削減に取り組むほか、効果的・効率的なごみ処理体制を構築するため、新たな中間処理施設や最終処分場の整備を計画的に進めてまいります。

 次に、「上下水道の整備」につきましては、引き続き、高品質な水道水の安定供給や、公共下水道の整備などによる生活排水の適正処理、浸水被害の解消に向けた雨水対策、下水汚泥消化ガスを有効活用した発電事業などに取り組んでまいります。

 第4は、「豊かな暮らしを支える活気と活力のある社会を築く」についてであります。
 まず、「商工業の振興」につきましては、企業の立地や定着に対する助成、高度化設備導入に対する支援を行うほか、中小企業への資金融資や信用保証料の助成、商店街への活性化支援などに取り組んでまいります。

 次に、「農林業の振興」につきましては、農産物の付加価値と生産性を高めるため、梨やトマトの選果施設の整備に対して助成を行うほか、産・学・官連携による農業技術の高度化への支援や、意欲ある担い手の確保、貸出農地のマッチングなどに取り組んでまいります。

 次に、「魅力ある観光と交流の創出」につきましては、台湾を始めとした海外からの誘客事業や首都圏等におけるキャンペーンなど、国内外での観光セールスの強化に取り組んでまいります。

 第5は、「都市基盤の機能と質を高める」についてであります。
 まず、「魅力ある都市空間の形成」につきましては、都市機能等の適正な立地誘導に向けた「立地適正化計画」の策定や、市街化調整区域における新たな土地利用方針の策定に向けた基礎調査に取り組むほか、地域拠点の形成を図るため、駅舎橋上化など「岡本駅周辺地区の整備」に取り組んでまいります。

 次に、「円滑で利便性の高い総合的な交通体系の確立」につきましては、LRTの平成28年度の着工に向け、営業主体の確保や都市計画決定、軌道事業の特許取得、市民理解の促進などに取り組むとともに、交通利用者の利便性の向上を図るため、「ICカード導入」に向けた調査の実施や、「地域内交通」の運行地区の拡大、バス路線新設に向けた「社会実験」の実施などに取り組んでまいります。
 また、引き続き、「自転車のまち宇都宮」を推進するため、自転車専用通行帯やサイクリングロードを整備するとともに、「自転車の休憩スポット」の拡充などに取り組んでまいります。

 第6は、「都市の自治基盤の確立」についてであります。
 まず、「市民が主役のまちづくりの推進」につきましては、自治会や地域まちづくり組織が自ら活動を活発化する事業への助成を拡充するなど、地域におけるまちづくりの支援を強化してまいります。

 最後に、「行政経営基盤の強化」につきましては、社会保障・税番号制度の実施に当たりまして、「個人番号カード」を交付するとともに、このカードを活用した、各種証明書のコンビニエンスストアでの交付に向けた取組を進めてまいります。
 また、平成28年度の供用開始に向け、上河内地域自治センターや河内地域自治センターの施設整備を進めるとともに、公共施設の更新や維持管理を計画的に推進するため、「公共施設等総合管理計画」を策定し資産管理の適正化に取り組んでまいります。

行政改革の取組方針

 次に、「行政改革の取組について」でありますが、本市におきましては、これまで、「第4次行政改革大綱」に基づき、「「共創」と「選択・集中」による持続可能なまちづくりへの基盤の強化」を基本目標として、指定管理者制度の推進や事業の再編・統廃合など、積極的に行政改革に取り組み、その成果を優先度・重点度の高い施策・事業に配分することで、市民サービスの向上に努めてきたところであります。
 この大綱の基本目標は、おおむね達成されたものと考えておりますが、地方分権改革の進展など、自治体を取り巻く環境は大きく変化しておりますことから、引き続き、不断の改革に取り組まなければならないと考えております。

 このようなことから、今後の行政改革の考え方・在り方を示す「新たな行政改革大綱」を、本年3月を目途として策定を進めているところであります。
 新年度以降は、この大綱に基づき、市民、事業者等の様々な主体が相互に連携し合うネットワークを築きながら、時代に対応した行政サービスへの再構築と、それらを支える財政基盤、執行体制の構築に取り組むため、市民サービスの更なる向上に向けた「事務事業の継続的な改善」や、ライフサイクルコストの低廉化・平準化等に向けた「公有財産の適正管理」などに、全庁一丸となって取り組んでまいります。

市政運営の執行体制

 最後に、「執行体制について」でありますが、市政運営及び予算編成の基本方針を踏まえ、喫緊の課題であります人口減少対策に、推進本部を中心として全庁的に取り組むとともに、多様な行政課題の解決に迅速かつ着実に取り組むため、効果的・効率的な執行体制を整備してまいります。

 まず、「組織機構」についてでありますが、「LRTの整備」につきまして、軌道事業の特許、工事施工認可の取得や、営業主体の確保など、平成31年度の開業を目指した取組を一体的に推進していくため、総合政策部で所管しておりました専任体制を建設部に移管し、新たに「LRT整備室」を設置するなど、LRTの整備に向けてより一層強化してまいります。
 また、市民の利便性を向上させるため、本年10月の「社会保障・税番号制度」
の円滑な導入に向け、市民課におきまして、住民基本台帳システムの修正や個人番号カードの交付の準備などを担う、「個人番号グループ」を新たに設置してまいります。

 続きまして、「人員体制」についてでありますが、保育園の民営化や粗大ごみ搬入受付業務の外部委託を進めるなど、事務事業の見直しに取り組むことにより、職員数の適正化に努めてまいりますとともに、女性職員の育成・登用を始め、職員が持てる能力を十分に発揮できる環境づくりの取組を推進してまいります。

むすび

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、平成27年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。
 ただ今申し上げた施策・事業を着実に推進することにより、まちづくりの原動力であります「人間力」と、風格と実力を兼ね備えた「都市力」の向上を図り、「第5次宇都宮市総合計画」に掲げる「みんなが幸せに暮らせる」、「みんなに選ばれる」、「持続的に発展できる」まちの実現を目指し、市政運営に全力で取り組む所存でありますので、議員各位を始め、市民の皆様には、より一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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