令和2年度施政方針

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ページID1023166  更新日 令和6年3月8日

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 令和2年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第17号から第33号までの令和2年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算につきましての大綱を御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 我が国の経済情勢につきましては、台風などの自然災害や新型コロナウイルス感染症などによる経済活動への影響が懸念されておりますが、一方で、半世紀ぶりに我が国で開催される夏季オリンピック・パラリンピック競技大会による経済効果が見込まれていることなどから、それらの経済効果を持続的に発展させていくことが求められているところであります。
 こうしたことから、国におきましては、「Society5.0時代」における生産性の飛躍的な向上や、誰もが生きがいを持ち活躍できる「一億総活躍社会」の実現、自然災害からの復興や国土強靱化、地方の定住・交流・関係人口の拡大に向けた地方創生の推進、持続的な発展を目指す「SDGsの実現」など、あらゆる分野において未来を見据えた改革を進めていくこととしております。
 このような中、本市におきましては、令和元年台風第19号に伴う自然災害により、田川・姿川流域を中心に甚大な浸水被害が発生したところでありますが、市民・関係者の皆様の御協力をいただきながら、早期復旧に向けた取組を進めてきたところであります。
 また、進展著しいAIなどの先進技術の利活用により、社会課題の解決や新たなサービスの創出を図る「スマートシティ」を推進するなど、未来を見据えた新たな挑戦をスタートしたところであります。
 さらに、このような取組に加えまして、今後は、より一層の災害に強いまちづくりや少子・超高齢化、生産年齢人口の減少などへの対策がますます求められておりますことから、私の4年間の任期の集大成となる本年は、「今を生きる・未来を生きる市民が豊かで幸せに生活できるまち」の実現を目指し、未来を切り開いていくことのできる取組をこれまで以上に強化していくことが、私の使命であると認識しております。
 
 新年度におきましては、このような認識の下、まずは、令和元年台風第19号による被害の検証を踏まえ、「総合治水・雨水対策基本方針」をいち早く策定し、この方針に基づき、新年度の出水期までに効果を発揮できる即効性のある先行事業に着手するとともに、計画的な河川・下水道の整備による雨水を「流す」対策、市域全体で雨水を「貯める」対策、浸水発生後の被害軽減に向けた「防ぐ・備える」対策の3つの対策に市民と一体となって取り組み、「災害に強く、安全・安心で強靱なまち」の実現を図ってまいります。
 また、本市の公共交通の軸となるLRTにつきましては、JR宇都宮駅東側の着実な整備と駅西側の早期事業化に向けて取り組むなど、「誰もが安心して移動できる公共交通ネットワークの構築」を図るとともに、JR宇都宮駅東口地区や大谷地域、さらには、市民に身近な地域の拠点など、「地域の特性を生かした拠点整備」により、本市が目指す人口減少・人口構造の変化に対応した都市構造である「ネットワーク型コンパクトシティの形成」を進めてまいります。
 さらには、こうした都市構造の強みを生かし、「高齢者が生き生きと暮らせるまちづくり」や「全ての子どもが夢を持って成長していける社会の実現」、「障がいの有無にかかわらず安心して生活できるまちづくり」など、全ての人が暮らしやすい「地域共生社会」の創出に向けた取組を進め、「人生100年時代」に対応したまちづくりをより一層推進してまいります。
 このような、誰もが幸せに安心して暮らせる持続可能なまちを実現するためには、市民、団体、事業者などが一丸となった「協働のまちづくり」が不可欠でありますことから、安全・安心の分野において自治会を始めとする地域の皆様との連携の強化や、「SDGs」の達成に向けた市内事業者や団体の皆様と一体となった取組の促進、「スマートシティ」の実現に向けた、日本でも有数の知見と技術を持った大学や事業者との実証実験などに取り組むとともに、こうした多様な主体の強みを生かしたまちづくりがあらゆる分野に広がるよう取り組んでまいります。

 こうした取組を通しまして、本市のまちづくりの羅針盤である「第6次宇都宮市総合計画」に掲げる6つの「未来都市」を推進し、本市が目指す将来のうつのみや像「輝く人の和 つながるまちの環 魅力と夢の輪 うつのみや」を実現してまいります。

予算編成の基本方針

 

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。

 本市におきましては、自主財源の根幹である市税収入は、法人市民税の税率が引き下げとなるものの、雇用・所得環境の改善などにより、新年度におきましても、引き続き900億円台を確保できる見込みであります。
 今後の社会環境や人口構造の変化に的確に対応し、持続的に発展できるまちづくりを推進していくためには、令和元年台風第19号に伴い、市民生活や経済活動に大きな影響が生じたことを踏まえ、災害に強いまちを実現していくとともに、市内外から選ばれる高い都市力を備え、将来にわたる成長力を確保できるよう、「未来への投資」を着実に実行していくことが必要であります。
 このため、新年度の予算編成に当たりましては、総合的な治水・雨水対策に最優先で取り組むこととしたほか、「第6次宇都宮市総合計画」に掲げる6つの「未来都市」の実現に向けて、「まちづくりの好循環」につながる施策・事業や、「スマートシティ」や「SDGs未来都市」の具体化に向けた施策・事業に優先的・重点的に取り組むとともに、「持続可能な財政構造」の確立に向けて、財源確保の徹底や中長期を見据えた行財政改革に取り組むことといたしました。

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額2,165億円に対しまして、1.6パーセント減の2,130億円を計上したところであります。
 また、13の特別会計の予算額1,147億円余と3つの企業会計の予算額446億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額3,706億円余に対しまして、0.5パーセント増の3,724億円余を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第6次宇都宮市総合計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 第1は、「子育て・教育の未来都市」についてであります。
 まず、「全ての子ども・若者を健やかに育成する」につきましては、年間を通した待機児童ゼロの継続的な実現に向け、教育・保育施設の整備促進や保育士等の確保・育成に努めるなど、子育て環境の充実に取り組んでまいります。
 さらに、要支援児童を支援する団体への助成を拡大し、児童虐待防止対策を推進するとともに、親と子どもの居場所づくり事業の実施や中学校クラブ活動費に対する就学援助の支給額の引上げ、生活困窮世帯の子どもに対する学習支援の拡充など、子どもの貧困対策を強化することで、貧困の連鎖の防止に努めてまいります。
 次に、「確かな自信と志を育む学校教育を推進する」につきましては、教育活動はもとより、地域利用や避難所利用における暑さや熱中症への対策として、全ての中学校体育館への令和3年度までの空調機器導入に向けて取り組むとともに、学校体育館の長寿命化改修を実施するなど、教育環境の充実に取り組んでまいります。
 次に、「誰もが生涯を通じてスポーツを楽しむ社会を実現する」につきましては、北西部地域体育施設整備基本計画の策定に向けた検討の実施や令和4年度の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会開催に向けた施設の整備に取り組むなど、スポーツ活動環境の充実に取り組んでまいります。

 第2は、「健康・福祉の未来都市」についてであります。
 まず、「健康づくりと地域医療を充実する」につきましては、ロタウィルスワクチンの定期予防接種の実施やAIを活用した特定健康診査未受診者に対する受診勧奨など、更なる健康寿命の延伸に向けて取り組むとともに、若年者の在宅ターミナルケア支援制度を創設するなど、充実した保健・医療サービスの提供を実施してまいります。
 次に、「高齢期の生活を充実する」につきましては、高齢者の外出を支援するバスカード等の交付における助成額を拡充するとともに、「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るため、第2層協議体の地区連合自治会全地区への設置に取り組むなど、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう取り組んでまいります。
 次に、「障がいのある人の生活を充実する」につきましては、人工内耳装用者に対し体外装置の買替費用の一部を助成するなど、障がいのある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境づくりを推進してまいります。
 また、東京パラリンピック聖火フェスティバルの実施など、障がい者の社会参加の促進に取り組んでまいります。
 次に、「身近な地域の福祉力を高める」につきましては、就職氷河期世代を始めとした社会参加に支援が必要な方へのアウトリーチ型支援の実施など、誰もが安心して自立した生活を送れるよう取り組んでまいります。 

 第3は、「安全・安心の未来都市」についてであります。
 まず、「危機への備え・対応力を高める」につきましては、台風の到来に備え、河川護岸の強化や「田んぼダム」の試行・効果分析及び普及促進、避難情報伝達体制の強化などに先行的に取り組むとともに、中長期を見据えた対策を取りまとめた計画を策定し、総合的な治水・雨水対策を推進してまいります。
 また、地域における避難所の開設や運営の訓練実施に対する支援や消防活動へのドローン導入など、地域防災体制の充実に取り組んでまいります。
 次に、「市民が主役のまちづくりを推進する」につきましては、自治会活性化の促進に向けたモデル事業を実施するほか、まちづくり活動応援事業のポイント交換を開始するなど、市民協働によるまちづくりを推進してまいります。
 次に、「日常生活の安心感を高める」につきましては、自治会等が設置する防犯カメラへの助成を拡充するほか、殺処分ゼロを目指し犬猫の譲渡事業の強化を図るなど、日常生活の安心感を高めるための環境づくりを推進してまいります。
 次に、「相互理解による共生社会を形成する」につきましては、行政窓口におけるタブレット端末を活用した通訳支援の拡充や居住人口の増加を踏まえた外国人総合相談窓口の対応言語の拡充など、外国人住民が安心して生活できる多文化共生の地域づくりに取り組んでまいります。

 第4は、「魅力創造・交流の未来都市」についてであります。
 まず、「都市ブランドの確立と更なる魅力を創出する」につきましては、オフィス企業立地支援における女性を雇用する際の上乗せ補助など、女性の転入増加に向けた取組を推進するとともに、大谷地域におきまして、小型モビリティなどによる観光交通社会実験を実施するほか、旧大谷公会堂を活用した拠点機能の整備に向けた設計などに取り組み、大谷地域の振興を図ってまいります。
 次に、「個性豊かな観光と交流を創出する」につきましては、「ジャパンカップサイクルロードレース」におきまして、レース映像放映の通信環境向上に向けて光回線設備を整備するほか、東京オリンピックの開催に合わせて、3人制バスケットボールの国内大会及び国際大会の開催からオリンピック出場国の事前キャンプ、パブリックビューイングを含むコミュニティライブサイトの開催までを連続して実施するなど、世界レベルのスポーツに触れる機会を創出し、来訪者の増加による地域活性化に取り組んでまいります。
 次に、「暮らしに息づく文化の創造・活用を推進する」につきましては、市民や地域に愛され、親しまれている歴史文化資源を市民遺産に認定する制度を開始するなど、本市の歴史や文化を守り、市民が宇都宮に誇りを持つことができるよう取り組んでまいります。

 第5は、「産業・環境の未来都市」についてであります。
 まず、「地域産業の創造性・発展性を高める」につきましては、東京圏における活動・交流拠点を確保し、本市の魅力のPRや本市企業とのビジネスマッチングを始めとした人や企業との関係構築に取り組むとともに、産業振興の加速化を図り、本市経済の成長・発展につながるよう取り組んでまいります。
 また、オフィス企業におけるICT関連企業の高次都市機能誘導区域への立地に対する助成を実施するなど、産業集積の促進に取り組んでまいります。
 次に、「商工・サービス業の活力を高める」につきましては、製造業の小規模企業に対しICT導入を促進する伴走型支援を実施するとともに、商業者に対してキャッシュレス決済を始めとするICTの利活用を促進するセミナーを開催するなど、中小企業振興の推進に取り組んでまいります。
 次に、「農林業の生産力・販売力・地域力を高める」につきましては、ICT機器を活用した生産性向上モデル事業の支援を実施するとともに、稲作等の低コスト化のための農業用ドローンの導入に対する助成を実施するなど、農産物の生産体制の強化に取り組んでまいります。
 次に、「環境への負荷を低減する」につきましては、SDGs未来都市の推進に向けた普及啓発に取り組むとともに、再生可能エネルギーの地産地消の事業化に向けた地域新電力会社の設立準備など、低炭素なまちづくりに取り組んでまいります。

 第6は、「交通の未来都市」についてであります。
 まず、「暮らしやすく魅力のある都市空間を形成する」につきましては、JR宇都宮駅東口地区におけるコンベンション施設の工事の着手や平出町トランジットセンターゾーンの整備に向けて取り組むほか、JR宇都宮駅西側におけるLRT沿線のまちづくり方針の策定など、LRT沿線のまちづくりを推進してまいります。
 また、旧一条中学校跡地の利活用に係る事業者の公募・選定を実施するなど、多世代が集い、交流できる空間の創出に取り組んでまいります。
 次に、「誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークを構築する」につきましては、JR宇都宮駅東側におけるLRTの整備を着実に進めるとともに、駅西側におけるLRTの事業化に向けた調査を実施するほか、常設のオープンハウスによる情報発信など、あらゆる機会を捉え、市民理解の促進に取り組んでまいります。
 また、LRTや地域内交通と連携した利便性の高いバスネットワークの構築に向けて、バス路線の再編に係る調査を実施するほか、バス事業者の交通ICカード導入への支援を実施するなど、公共交通の充実と利用促進に取り組んでまいります。
 次に、「質の高い上下水道サービスを提供する」につきましては、安全で安心な水道水の安定供給や下水の適正処理を推進するほか、老朽管の改築・更新や基幹施設の耐震化などを進め、強靱なライフラインの構築に取り組んでまいります。

 最後に、「未来都市を支える行政経営基盤」についてであります。
 「強固な行政経営基盤を確立する」につきましては、上下水道料金のスマートフォンアプリを活用したキャッシュレス決済の導入とともに、市税のクレジット収納の導入準備を行うなど、収納対策の強化に努めてまいります。
 また、あらゆる分野におけるICTの利活用を目指し、保育所等入所業務におけるAI・RPAの活用など、ICTの導入・利活用を積極的に推進するとともに、Uスマート推進協議会における官民連携の実証実験などの取組を支援し、スマートシティを推進してまいります。
 また、民間事業者との連携事業の更なる創出・推進に向け、事業者からの提案等に一元的に対応する公民連携窓口を設置するほか、行政事務の更なる効率化に向け、民間の知見を生かした業務プロセス等の検証・見直しに取り組むなど、行政改革に継続的に取り組んでまいります。
 さらに、これらの行政経営基盤の強化に向けた取組を分野横断的に進めるため、「行政経営基本方針」を今年度中に策定し、新年度以降、当該基本方針に基づき、全庁一丸となって取り組んでまいります。

市政運営の執行体制

 最後に、「執行体制について」でありますが、様々な取組を効果的に推進するため、柔軟で活力ある執行体制を整備してまいります。
 
 まず、「スマートシティ」の実現に向け、本市における取組の企画・立案機能を強化するとともに、市、大学及び事業者で構成するUスマート推進協議会が取り組む実証実験等を円滑に推進するため、政策審議室内に課内室として「スマートシティ推進室」を設置してまいります。
 また、令和4年度に開催予定の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会につきまして、本市実行委員会の運営を始め、より本格化する多くの準備事務を迅速かつ計画的に推進していくため、市長事務部局に部相当組織の「国体・障害者スポーツ大会局」を設置してまいります。

結び

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、令和2年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。
 本市が100年先まで輝き続けられる都市として日本をリードできますよう、市民・事業者等の皆様と共に汗をかき、市政運営にまい進してまいりますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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