令和3年度施政方針

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ページID1026467  更新日 令和6年3月8日

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 令和3年第2回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第18号から第34号までの令和3年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算につきましての大綱を御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 我が国におきましては、昨年から世界的に猛威をふるい、深刻な状況にある新型コロナウイルス感染症を一日も早く収束させるため、感染が急速に広がっている地域を対象に「緊急事態宣言」を発出するとともに、ワクチン接種や医療体制の確保を始め、飲食店への営業時間の短縮要請など、感染拡大防止に向けて全力で取り組んでいるところであります。
 さらに、感染拡大防止策の徹底に取り組みながらも、ポストコロナ時代を見据え、経済成長の原動力となる脱炭素社会の実現に向けた取組の推進や「デジタル革命」を通した経済の活性化などを進めるとともに、引き続き、東京一極集中の是正による地方創生や子どもから高齢者まで全ての人が安心できる社会保障への改革などに取り組み、「安心」と「希望」に満ちた社会を実現することとしております。

 このような中、本市におきましては、市民の生命や暮らしを守ることを第一に、新型コロナウイルス感染症対策として、医療機関と連携したPCR検査体制の整備や救急医療を安定して提供するための支援を始め、中小企業等へのきめ細かな支援など、感染拡大防止と社会・経済活動の両立に最優先で取り組むとともに、令和元年台風第19号の甚大な被害を踏まえ、浸水被害の軽減に向けた早急な対応として、即効性のある「田んぼダム」の普及拡大など、総合的な治水・雨水対策にスピード感を持って取り組んでいるところであります。

 私は、こうした喫緊の課題である市民の「安全・安心」の確保に最優先で取り組むことはもちろん、本格化する人口減少、少子・超高齢社会におきましても、AIやICTなどの先進技術をまちづくりに取り入れながら、100年先も持続的に発展し、今を生きる市民と、未来を生きる市民が豊かで幸せに暮らすことができるまちの実現に、これまで以上に取り組む必要があると認識しております。

 このため、新年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会・経済活動の両立に、引き続き、最優先で取り組んでまいります。特に、感染対策の要となるワクチンの接種につきましては、私を本部長とする「新型コロナウイルスワクチン接種実施本部」の下、国や県、市医師会などの関係団体と緊密に連携・協力を図りながら、まずは、3月に開始される医療従事者の方々への接種を着実に進め、4月以降、高齢者を始め、ワクチンが必要となる方々が速やかに接種できるよう、万全な体制を整備してまいります。
 また、台風などの自然災害の被害に備えるため、現在、策定を進めている「(仮称)総合治水・雨水対策推進計画」に基づき、市民や関係者と連携しながら、河川流域全体で流域治水に取り組むなど、総合的な治水・雨水対策をより一層強化してまいります。
 そして、こうした喫緊の課題に取り組みながら、本市が目指す、持続的に発展する都市の礎となる「NCC」の形成を着実に推進するため、LRTやバス、地域内交通が連携した、誰もが移動しやすい環境の整備を始め、本市の魅力と活力を高め、市全体の成長をけん引する中心市街地の活性化や、日常生活に必要な機能の誘導などによる暮らしやすく魅力ある地域拠点の形成を進めてまいります。
 さらには、「NCC」をまちづくりの基盤としながら、市民の生活の質の向上や社会・経済活動の活性化をこれまで以上に図ることができるよう、本市が進めてまいりました「スマートシティ」の取組を、子育てや教育、福祉など、市民にとってより身近な分野に拡充するなど、あらゆる分野におきまして、AIやICTなどの様々な先進技術を効果的に活用するとともに、「SDGs」への貢献の視点を取り入れながら、子どもから高齢者まで、誰もが豊かで便利に安心して暮らすことができ、夢や希望がかなうまち「スーパースマートシティ」を実現してまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。

 本市における自主財源の根幹である新年度の市税収入は、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度当初予算から76億円を超える減収となり、加えて社会保障関係経費については、引き続き高い水準で推移するものと見込んでおります。
 本市といたしましては、こうした中にありましても、今を生きる市民と未来を生きる市民が豊かで幸せに生活できるまちを実現していくためには、これまで培ってきた財政力を発揮し、市民の生命や暮らしを守ることを第一としながら、市内外から選ばれる高い都市力を備え、将来にわたる成長力を確保できる基盤づくりに取り組んでいくことが必要であると認識しております
 このため、新年度の予算編成に当たりましては、誰もが豊かで便利に安心して暮らすことができ、夢や希望がかなうまち「スーパースマートシティ」の実現に向け、まずは最優先で新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会・経済活動の両立に取り組むとともに、「第6次宇都宮市総合計画」に掲げる6つの「未来都市」の具現化に向けて、「まちづくりの好循環」につながる施策・事業やまちづくりの基盤となる「NCC」の形成に資する施策・事業に優先的・重点的に取り組むこととしたほか、行政事務の効率化や公民連携の推進などによる「行政経営基盤の強化」に取り組むことといたしました。 

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額2,130億円に対しまして、7.5パーセント増の2,290億円を計上したところであります。
 また、13の特別会計の予算額1,160億円余と3つの企業会計の予算額460億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額3,724億円余に対しまして、5.0パーセント増の3,910億円余を計上したところであります。

主な施策・事業

 次に、「主要な施策」につきまして、「新型コロナウイルス感染症への対応」と「第6次宇都宮市総合計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 初めに、「新型コロナウイルス感染症への対応」についてであります。
 まず、「感染拡大防止のための取組」といたしましては、新型コロナウイルスのワクチン接種を実施するとともに、PCR検査センターの運営や行政検査の実施などによる検査体制の充実、市有施設や本市で実施するイベント等における感染予防対策の徹底に取り組んでまいります。
 また、「市民生活を守るための取組」といたしましては、生活困窮者に対する相談・支援体制の充実や路線バスの運行便数の確保などに取り組んでまいります。
 さらに、「事業活動のための支援」といたしましては、中小企業への資金支援の実施や企業や就労者がテレワークしやすい環境づくりなどに取り組んでまいります。

 次に、総合計画施策体系の第1といたしまして、「子育て・教育の未来都市」についてであります。
まず、「全ての子ども・若者を健やかに育成する」につきましては、結婚後の新生活に必要となる住宅賃借費用等への支援を実施するとともに、年間を通した待機児童ゼロの継続的な実現に向けた教育・保育施設の整備促進や、こども医療費助成の高校3年生相当までの対象年齢の拡大、ゆうあいひろばの遊具更新や新設など、結婚から子育てまで切れ目ない支援の充実に取り組んでまいります。

 次に、「確かな自信と志を育む学校教育を推進する」につきましては、AI型学習ドリルソフトの活用によるモデル事業の実施や就学援助世帯などへのモバイルルータの貸与による家庭の通信環境整備への支援の実施などにより、ICTを活用した授業を推進するとともに、全ての小学校体育館への令和4年度の空調機器導入や学校施設の長寿命化改修の実施などによる教育環境の充実に取り組んでまいります。

 次に、「誰もが生涯を通じてスポーツを楽しむ社会を実現する」につきましては、北西部地域体育施設の整備に向けた基本設計の実施や令和4年度の「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」を見据えた競技別のリハーサル大会の開催などに取り組んでまいります。

 第2は、「健康・福祉の未来都市」についてであります。
 まず、「健康づくりと地域医療を充実する」につきましては、より利便性の高い「集団健診予約システム」への更新やオンラインによる健康講座の開催など、更なる健康寿命の延伸に向けて取り組んでまいります。

 次に、「高齢期の生活を充実する」につきましては、高齢者の外出支援事業の自己負担を廃止するとともに、「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るため、地区連合自治会全地区への第2層協議体の設置やケアプラン作成支援AIの導入検証に取り組むなど、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう取り組んでまいります。

 次に、「障がいのある人の生活を充実する」につきましては、グループホームなどへの体験的宿泊支援事業の実施やタクシー料金助成事業の拡充など、障がいのある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境づくりを推進してまいります。

 次に、「身近な地域の福祉力を高める」につきましては、タブレット端末を活用した保健福祉拠点の連携強化による相談・支援体制の充実を図り、誰もが安心して自立した生活を送れるよう取り組んでまいります。 

 第3は、「安全・安心の未来都市」についてであります。
まず、「危機への備え・対応力を高める」につきましては、豪雨や台風の到来に備え、河川等の整備や公共施設における雨水貯留施設の整備、「田んぼダム」の普及促進などに取り組み、総合的な治水・雨水対策を推進してまいります。
 また、地域における自主防災活動や災害時要援護者への避難支援に対する補償制度の導入、被災・り災情報の一元的な管理などが可能な「被災者台帳管理システム」の導入など、地域防災体制の充実に取り組んでまいります。

 次に、「市民が主役のまちづくりを推進する」につきましては、魅力ある自治会づくりの取組や市民活動団体が行う事業への支援を拡充するなど、市民協働によるまちづくりを推進してまいります。

 次に、「日常生活の安心感を高める」につきましては、自治会等が設置するLED防犯灯への助成のほか、殺処分ゼロを目指し、動物愛護管理センターの機能強化を図る施設の改修・増築を実施するなど、日常生活の安心感を高めるための環境づくりを推進してまいります。

 次に、「相互理解の促進による共生社会を形成する」につきましては、市内や本市企業への就職に興味のある首都圏の学生などを対象に、仕事と子育てが両立した本市での暮らしをイメージできるインターンシップ事業をオンラインにより実施するなど、男女共同参画の推進に取り組んでまいります。

 第4は、「魅力創造・交流の未来都市」についてであります。
 まず、「都市ブランドの確立と更なる魅力を創出する」につきましては、
SNS広告などを活用した効果的な情報発信に取り組むほか、市内でテレワークと余暇活動を体験することができる「みやテレワーケーション事業」の実施、東京圏からの移住者に対する支援金の対象拡大など、移住・定住の促進に向けた一連の取組を強化するとともに、大谷地域におきまして、旧大谷公会堂を活用した観光周遊拠点施設の整備などに取り組み、大谷地域の振興を図ってまいります。

 次に、「個性豊かな観光と交流を創出する」につきましては、「ジャパンカップサイクルロードレース」等におきまして、5Gを活用した動画の配信に取り組むほか、プロスポーツチームと連携した本市観光情報等の発信やMICE誘致の推進などによる観光セールスの強化などに取り組んでまいります。

 次に、「暮らしに息づく文化の創造・活用を推進する」につきましては、みや遺産制度による市民遺産への支援を開始するなど、本市の歴史や文化を守り、市民が宇都宮に誇りを持つことができるよう取り組んでまいります。

 第5は、「産業・環境の未来都市」についてであります。
 まず、「地域産業の創造性・発展性を高める」につきましては、これまでの企業立地の促進に加え、新たに市外のオフィス系企業のシェアオフィス利用に対する支援に取り組むほか、大谷地域における観光型MaaSなどのスマートシティの推進に係る実証実験への支援や地域情報化に係る市民や企業等の「交流・連携・発信の場」の創設などに取り組んでまいります。

 次に、「商工・サービス業の活力を高める」につきましては、道路空間を活用した賑わいを創出する社会実験を実施するとともに、釜川周辺の公共空間を活用した居心地の良い空間の創出を図るなど、中心市街地の活性化に取り組んでまいります。

 次に、「農林業の生産力・販売力・地域力を高める」につきましては、農業経営の継承等の促進や農地の荒廃の未然防止を図る守り手・支え手の確保、ICT機器を活用したスマート農業の推進など、農産物の生産体制の強化に取り組んでまいります。
 また、重要インフラ施設周辺の森林整備を実施するなど、森林の適正管理を推進してまいります。

 次に、「環境への負荷を低減する」につきましては、SDGs未来都市の推進に向けた普及啓発に取り組むとともに、再生可能エネルギーの地産地消を推進する地域新電力会社の設立や家庭における低炭素化を普及促進する補助制度の拡充など、低炭素なまちづくりに取り組んでまいります。

 第6は、「交通の未来都市」についてであります。
まず、「暮らしやすく魅力のある都市空間を形成する」につきましては、JR宇都宮駅東口地区における交流広場の整備や平出町トランジットセンターゾーンの整備に取り組むほか、JR宇都宮駅西口周辺地区の市街地再開発事業への支援やJR宇都宮駅西側の都心部における交通まちづくりプランの策定など、LRT沿線のまちづくりを推進してまいります。
また、景観資源となる大谷石建築物の保全・活用を図り、本市ならではの都市景観の形成に取り組んでまいります。

 次に、「誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークを構築する」につきましては、LRTのJR宇都宮駅東側の整備を着実に進めるとともに、駅西側におけるLRTの事業化に向けて取り組むほか、常設のオープンハウスによる情報発信など、あらゆる機会を捉え、市民理解の促進に取り組んでまいります。
 また、路線バスの上限運賃制度を導入するとともに、地域内交通への交通ICカード導入に向け取り組むなど、公共交通の充実と利用促進に取り組んでまいります。

 次に、「質の高い上下水道サービスを提供する」につきましては、安全で安心な水道水の安定供給や下水の適正処理を推進するほか、老朽管の改築・更新や基幹施設の耐震化などを進め、強靱なライフラインの構築に取り組んでまいります。

 最後に、「未来都市を支える行政経営基盤」についてであります。
 「強固な行政経営基盤を確立する」につきましては、窓口における証明手数料のキャッシュレス決済を導入するとともに、スマートフォン収納の対象拡大を図るなど、利便性の向上による収納対策の強化に努めてまいります。
 また、行政のデジタル化の基盤となるマイナンバーカードの普及促進や利活用をより一層推進しながら、AIやRPAなどのICTの利活用による行政事務の効率化やふるさと納税を活用した公共的活動への支援、公民連携事業による民間事業者等のノウハウを生かした提案促進に取り組むなど、限りある資源が持つ力や価値を最大限に発揮しながら、社会や暮らしの変化に対応した持続可能な公共的サービスの提供に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。
 これらの施策の着実な推進を図り、効果的な市政運営を実施するに当たりましては、課相当の組織として「スーパースマートシティ推進室」や都市計画課の課内室として「NCC推進室」を設置するなど、行政課題に対応した柔軟で機動的な執行体制を整備してまいります。

結び

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、令和3年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。
 私は、5期目の市政運営に当たり、本市が人や企業から選ばれる都市として日本をけん引し、子どもから高齢者まで、誰もが豊かで便利に安心して暮らすことができ、夢や希望がかなうまち「スーパースマートシティ」を実現できるよう、全身全霊で取り組んでまいりますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
 

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