平成31年1月新春記者会見
(注意)このページは、定例記者会見のもようを広報広聴課がまとめたものです。
日時・会場
平成31年1月4日(金曜日)午前9時30分から
宇都宮市役所3階・特別会議室
発表事項
平成31年新春記者会見
明けましておめでとうございます。
市民の皆様におかれましては、希望にあふれる新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。
年頭に当たり、平成に次ぐ新たな時代を迎える本年が皆様にとって明るく、幸多き一年となりますよう、心からお祈り申し上げたいと存じます。
本年は、改元を迎える節目の年であり、この歴史的に意義深い年に市政を預かる者として、その職責の重大さを実感しております。本市の「平成」の歩みを振り返りますと、平成元年4月には本市が文教都市として大きく成長するきっかけとなる私立大学3校が同時に開学するとともに、翌年には「自転車のまち」のルーツとなります「世界選手権自転車競技大会」を開催するなど、平成の幕開けを飾りました。その後、「市制100周年」を迎える平成8年には、全国に先駆けて「中核市」へと移行するとともに、北西部地域における振興の一翼
を担う「農林公園ろまんちっく村」のオープンなど、様々な都市の機能が創出され、未来につながる都市環境の構築により、全国有数の都市として、存在感が高まってきたところであります。私が市長に就任した平成16年以降でありますが、人口減少の到来や人口構造の変化に対応するためのこれからの都市の構造として、我が国の先駆けとなった「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成を掲げ、再開発事業の推進やオリオン市民広場の整備などによる中心市街地の活性化、雀宮駅の周辺整備など、身近なエリアに住まいや利便施設が集約した拠点づくりに取り組むとともに、これらを結ぶ地域内交通やバス路線の充実などによるネットワークの強化により、将来の発展の礎となる骨格の強いまちづくりを進めてまいりました。また、子ども医療費助成の充実や子ども発達センターの整備などの子育てしやすい環境づくりや、県内で初めて導入した小中一貫教育による学力の向上など、次代を担う人づくりにも積極的に取り組んでまいりました。さらには、平成19年に旧上河内町・旧河内町と合併し、北関東初の50万人の中核都市になるとともに、都市の魅力の向上や産業の発展に伴い、この10年で観光入込客数は100万人増加し、製造品出荷額は約2割増加するなど、経済面におきましても本市は着実に成長し、現在に至ったところであります。そのような中、昨年は、平成の幕開けから、長年の念願でありました総合的な公共交通ネットワークの要となるLRTが着工を迎えるとともに、21世紀のまちづくりをリードするJR宇都宮駅東口地区整備が動き出すなど、「ネットワーク型コンパクトシティ」の核となる2大事業が大きく前進し、新たな時代を切り拓く一歩を踏み出した一年でありました。また、本市の貴重な産業・文化資源である「大谷石文化」が日本遺産の認定を受け、さらには、子育ての切れ目のない支援などにより、「共働き子育てしやすい街ランキング2018」において初めて全国1位になるなど、先駆的な取組により、全国に誇れるまちとして評価された年でありました。
こうして、平成に次ぐ新たな時代を迎えるに当たり、私は、改めまして、先人から現代を生きる私たちに引き継がれたまちづくりの多くの成果を着実に後世へとつないでいかなければならないと想いを強くしたところであります。今後、確実に進行する人口減少・超高齢社会におきましても、市民一人一人を始め、団体、事業者、行政など、まちづくりの全ての主体が、個性や能力を最大限に発揮し、互いに助け合い、力を合わせて、協働のまちづくりを進め、「第6次総合計画」に掲げた将来の都市像である「輝く人の和 つながるまちの環 魅力と夢の輪 うつのみや」を目指してまいります。そのような中、私は特に、今後の暮らしや学び、働き方など、社会全般の在り方に大きな変化をもたらす2つの時代潮流に的確に対応していかなければならないと考えております。まず、1つ目の潮流は、「人生100年時代の到来」であります。明治時代には40歳代であった平均寿命は、現在は80歳代となり、近い将来、100歳に達すると見込まれております。人生100年時代は、私たちの自由に使える時間が増え、自己実現や社会貢献の機会などの様々な可能性が広がりますことから、誰もがいつまでも健康に暮らし、人とのつながりを大切にしながら、人生の生きがいとなる夢に向かって、学び、挑戦できる環境づくりを進めてまいります。また、もう1つの潮流は、「Society5.0」という言葉に代表されます、情報通信技術の飛躍的な進化への対応であります。21世紀初頭のIT革命以降、私たちの生活は、情報通信技術の普及とともに豊かになってまいりました。今後、「AI」いわゆる人工知能や、モノがインターネットでつながる「IoT」などの情報通信技術の更なる進化により、市民の日常生活から企業活動などのあらゆる分野におきまして大きな変革が見込まれますことから、子どもから高齢者、障がい者、外国人など、誰もが革新的な技術のもたらす恩恵を享受できる仕組みづくりに努めてまいります。私は、こうした2つの潮流を的確に捉え、未来を切り拓く鍵となる「ICT」を上手に活用しながら、まちづくりの原動力となる「人づくり」を一体的に進め、誰もが世代や文化の垣根を越えて、共に支え助け合いながら、幸せに生活していくことができるスマートな共生社会の創出に全力で取り組んでまいります。
こうした決意の下、昨年、スタートした本市のまちづくりの羅針盤である「第6次総合計画」に掲げる「未来都市うつのみや」の実現に向けまして、「人づくり」と「まちづくり」の好循環を創出するための3つの「まちづくり好循環プロジェクト」ごとに、本年の主な施策・事業を申し述べさせていただきます。まず、1つ目の『ネットワーク型コンパクトシティが支える共生社会創出プロジェクト』につきましては、拠点化の更なる促進を図るため、2022年8月の供用開始に向けたJR宇都宮駅東口地区における立地施設の工事着工や、県内で最高層となる大手地区市街地再開発事業のビルの竣工など、都心部における機能集約を進めるとともに、郊外部における地域拠点や小学校周辺のコミュニティの維持・活性化を図るため、住宅や店舗の立地を促進する地区計画制度の活用に向けた支援を積極的に行ってまいります。また、東西基幹公共交通となるLRTにつきましては、権利者を始めとした関係者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、JR駅東側の整備を着実に進めるとともに、市民・事業者の皆様と共に沿線の魅力と賑わいの創出に向けた検討や、JR駅西側の整備に向けた具体的な検討を進めてまいります。そして、誰もが安心して、安全で快適に利用できる公共交通ネットワークの構築に向けましては、郊外部13地区全てに導入した地域内交通に続き、市街地部における生活交通の確保を図るとともに、より一層、市民の皆様に公共交通を利用していただけるよう、円滑な移動の実現に向けて、2021年春を目途に路線バスへの交通ICカードの導入と500円以内で乗れるような料金の上限設定を目指し、バス事業者との協議・調整を進めてまいります。さらに、「ネットワーク型コンパクトシティ」の強みを活かしたまちづくりを進めるため、市内39地域において、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる支え合いの充実や医療・介護の確保など、「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るとともに、各地域の特性に応じたデータに基づき、科学的根拠によるきめ細かな保健・福祉施策の展開などにより、健康寿命の延伸を目指してまいります。また、子育て、教育、福祉などの各分野間における連携の強化を図りながら、3年連続の待機児童ゼロの実現を始め、子どもの貧困対策や児童虐待防止の強化による子育て環境の充実に取り組むとともに、市民自らの健康づくりやまちづくり活動を促すためのポイント事業を実施し、地域における様々な活動の裾野を広げるなど、全ての人が生きがいを持って活動し、共生できるまちを構築してまいります。2つ目の『ICTで暮らしもまちも元気プロジェクト』につきましては、まず、市民の身近な生活の利便性向上を図るため、タブレット端末などを利用した手話通訳や外国語通訳のサービスを始め、AIを活用した問い合わせ対応の試行的な運用、申請手続きの簡素化などによる窓口サービス等の向上、さらには、SNSの活用による若者に対する情報発信力を高めてまいります。次に、これからの時代を担うICT人材を育成するため、2020年度から小学校で必修化となる「プログラミング教育」の円滑な実施に向けた準備を着実に進めるとともに、新たなサービスの創出や地域課題の解決に向けて、若者を中心とした普及啓発等によるオープンデータの利活用促進に取り組んでまいります。また、ICTの恩恵による地域産業の成長をサポートするため、中小企業におけるICT利活用の促進のほか、農業分野における生産性向上に資するICT導入の支援など、「人づくり」と「まちづくり」の両面から多様な情報通信技術の利活用を進め、一人一人が快適に暮らし、活力あるまちを構築してまいります。3つ目の『ブランド発掘・創造・発信プロジェクト』につきましては、まず、本市の観光拠点であり、魅力的な地下空間を有する「大谷」の更なる振興に向けまして、CGを駆使したプロモーション動画の活用などにより、日本遺産「大谷石文化」を世界に向けて魅力を発信するとともに、多くの方々に快適で楽しく訪れていただくための交通環境の整備を進めるなど、世界というメジャーの舞台で注目される観光地づくりを目指してまいります。また、本市への多くの来訪者が期待できるビッグスポーツイベントとしまして、来年の東京五輪の正式種目である3人制バスケットボールのクラブ世界一を決定する「3x3ワールドツアーファイナル」が本年11月に開催されるとともに、節目となる10回目にふさわしい有名選手の招聘に取り組み、ジャパンカップクリテリウムの記念レースを開催するなど、世界レベルのスポーツに触れる機会を創出し、国内外からの来訪者の増加による地域経済の活性化に努めてまいります。さらに、本年10月の消費税率の改定に備え、市内事業所の9割を占める中小企業への影響が最小限となるよう、国の経済対策と協調しつつ、しっかりと対応してまいります。また、現在、特別会計で会計処理を行っている農業集落排水事業などの企業会計化に向けた準備を進め、より一層の効率化を目指すとともに、使用料の在り方につきましても検討を進めてまいります。これらの取組に加え、災害に強い強靭なまちづくりは、人や企業から選ばれる都市の魅力の一つでありますことから、河川や雨水幹線の整備を着実に進め、さらに、洪水ハザードマップの周知・活用などソフト面での対策も講じながら、総合的な治水・雨水対策を推進するとともに、世界的な課題である地球温暖化対策につきまして、LRT沿線におけるエネルギーの地産地消や自立分散化に取り組むなど、環境省の「低炭素な都市づくり」のモデル地域である本市にふさわしい全国に誇れる先駆的でスマートなまちづくりを推進しながら、「宇都宮ブランド」の更なる発掘と創造、戦略的な発信を通して、多くの人が誇りや愛着を抱き、活躍できるまちを構築してまいります。
これまで、主な取組の概要を申し上げましたが、これらの施策・事業の具現化に向けまして、現在、新年度の予算編成を進めております。本市におきましては、市税収入が増加傾向にあるとともに、市債残高や基金残高など、財政運営の健全性や長期安定性を示す指標は良好な状態を維持しております。引き続き、今後の人口構造や社会環境の変化に的確に対応できる「持続可能な財政構造」の確立に努めていくことが重要であると考えております。このため、新年度におきましては、中長期を見据えた行財政改革に取り組むとともに、これまで培ってきた財政力を発揮しながら、本市が将来にわたって成長力を確保していくための積極的な投資を行い、「第6次総合計画」に掲げる「未来都市うつのみや」の実現につながる予算を編成してまいります。
以上、年頭に当たりまして、抱負の一端を申し上げましたが、新たな時代を迎える本年を起点に、100年先の時代まで持続的に発展していくためには、人の持つ可能性とICTの強みを活かしたスマートな共生社会の創出を始め、「第6次総合計画」に掲げる「未来都市うつのみや」の実現に向けた様々な取組を通し、これから始まる新たなページに、市民一人一人が幸せに暮らせるまちの絵姿を描けるよう、市民・事業者の皆様とオール宇都宮で取り組んでまいりますので、より一層の御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。
資料
質疑事項
ICTを活用した窓口サービスの向上とAIを活用した問い合わせ対応ついて(平成31年の主な取組)
記者 ICTを活用した窓口サービスの向上とAIを活用した問い合わせ対応の試行的な運用について、具体的な取り組み内容を伺う。
市長 ICTを活用した窓口サービスなどの向上については、例えば手話通訳が必要な人が来庁した際に、タブレットを活用することで、手話通訳者がいなくても質問や内容を話すことができ、どの部署でも円滑に手続きができるようにしていきたいと思います。これを活用することで、市民の利便性が高まり、ワンストップサービスにもつながる試みになるのではないかと思います。
情報政策課長 AIを活用した問い合わせ対応については、市全体の業務の問い合わせを蓄積した定型的な質問(FAQ)を活用し、文字対話型で質疑応答が可能となるものです。例えば、「保育園の入所について知りたい」と文字を打つと、文字で自動的に応対するものです。これは他の自治体でも導入していますが、本市ではLINEなどのSNSを活用しやすく、24時間365日、自動応対できるようなツールにしたいと考えています。
大谷の交通環境の整備ついて(平成31年の主な取組)
記者 観光地「大谷」の交通環境について、どのような整備をイメージしているのかを伺う。
市長 大谷はマスコミ等にも多く取り上げられ、観光入込客数が増加し、宇都宮には約1,500万人が来訪いただいているところであり、さらに宿泊客数を増やしていくため、大谷で一日観光ができるよう、さまざまな力を入れているところです。しかし、交通渋滞などでリピーターが育たないということがあってはならないと思いますので、今後は、駐車場整備や車の導線の在り方を含め、観光バスなどと一般車両とのすみ分けなども検討するとともに、無人で自動運転するカートなどで大量輸送ができるような仕組みなども検討していきたいと思います。
記者 今後、路線バス網を整備するのではなく、駐車場整備や自家用車などを円滑に誘導する仕組みを検討するということか。
市長 はい。昨年のデスティネーションキャンペーン時には、試行的に路線バスを活用し、ろまんちっく村と大谷を周遊する循環バスを運行し、良い効果が生まれましたことから、これらも含めて検討していきたいと思います。
宇都宮駅東口地区整備事業について(平成31年の主な取組)
記者 優先交渉権者との契約締結、工事着工や竣工の時期などのイメージについて伺う。
市長 希望ではありますが、1月中に事業契約を締結できればと思っています。工事については、本年中に着工し、本県で開催される国体前の2022年8月には、「まちびらき」ができるようになればと思っています。
路線バスへの交通ICカードの導入について(平成31年の主な取組)
記者 以前、JRでは地域独自のサービスとSuica(スイカ)を組み合わせた地域連携ICカードを作ると発表し、宇都宮のバス事業者はその導入を検討していると聞いたが、それ以外の宇都宮独自の交通ICカードを導入するのか。
市長 交通ICカードの導入については、現在、Suicaとの連携も含めて調整しているところです。交通ICカードの導入は、利便性が向上するとともに、公共交通の利用が促進されることになりますので、利用者にとって利便性が高いカードとなるよう、関係者との協議を進めているところです。
中小企業支援について(平成31年の主な取組)
記者 ICT利活用の促進について、卸売業やサービス業に対するICTの補助を行っていると思うが、今後は製造業を含め、あらゆる業種に対し支援していくのか。それとも、特別な枠組みを検討しているのか伺う。
市長 中小企業支援については、国の支援メニューが示されてから考えていかなければならないと思いますが、肝要なところは、中小企業は、前回の消費税増税時にも大きなダメージを受けましたので、今回の消費税増税に伴う消費の買い控えによってダメージを受けないよう、行政としてできる限りの支援を考えていくことだと思います。
10回目の節目を迎えるジャパンカップクリテリウムについて(平成31年の主な取組)
記者 10回目の節目にふさわしい有名選手の招へいについて、選手のレベルや人数はどの程度になるのかを伺う。
都市魅力創造課長 例年、クリテリウムにはスペシャルライダーズという特別なチームを編成していますが、その中で有力な選手を招へいしていきたいと考えています。しかし、選手や人数については、今後の交渉や調整の中で決定していくことになりますので、現時点では未定ですが、今回のクリテリウムでも、ワールドチームに所属するような有名選手を招へいできればと思っています。
市長 これまでのクリテリウムでは、カンチェラーラなど、世界的にも有名な選手を招へいしてきましたし、そのクラスの選手を招へいできればと思い、昨年から国際自転車連合(UCI)ともお話をさせていただいています。今回は10回目の記念大会となりますので、有名選手の招へいを強く意識して進めていきたいと思います。
出入国管理法・難民認定法改正について(平成31年の主な取組)
記者 4月から外国人労働者が増加することが見込まれるが、それに対応する対策について伺う。
市長 さまざまな外国人が日本で生活する上での案内やルールの周知を、継続していくことが重要だと思います。例えばごみ収集については、6カ国語の言語に対応してきましたので、これらを強化していかなければなりませんし、外国人が日本語を話すことができないことによる、生活しづらさやトラブルを解消するための対策を練っていかなければならないと考えています。
PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。
このページに関するお問い合わせ
総合政策部 広報広聴課 広報グループ(市役所3階)
電話番号:028-632-2028 ファクス:028-637-5151
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。