第2次健康うつのみや21計画 中間評価
1 中間評価の目的
第2次健康うつのみや21計画の策定後、国において、地域包括ケアシステムの推進や産後ケアの充実が位置付けられたことや、年々増加傾向にある糖尿病患者の発症予防・重症化予防に向けた糖尿病性腎症重症化予防プログラムが策定され、栃木県でも栃木県糖尿病重症化予防プログラムが策定されるなど、健康づくりを取り巻く環境は大きく変化しています。
本市においては、第2次健康うつのみや21計画の基本目標である「健康寿命の延伸(平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加)」に向け、さまざまな取組を行っているところですが、「本計画の推進によって、市民の健康度がどのくらい向上したのか」を、計画期間(2013[平成25]年度から2022年度)の中間年度(2017[平成29]年度)において評価することとしています。
今年度(2017[平成29]年度)、計画の中間年度を迎えることから、計画をより着実に推進するために、取組事業の進捗状況及び市民健康等意識調査や事業所アンケートの結果、既存統計資料から、目標値の進捗状況を把握し、本市の課題を整理するとともに、後期期間(2018[平成30]年度から2022年度)における取組事業及び評価指標の見直しも行いました。
2 中間評価の方法
2013(平成25)年度から2017(平成29)年度までの前期期間における取組事業の進捗状況(アウトプット)及び目標値の進捗状況(アウトカム)について、評価を行いました。
3 中間評価時の本市の状況
(1)健康寿命と平均寿命
男性の健康寿命は0.11歳、平均寿命は0.07歳延伸した。日常生活に制限のある期間は0.04歳短縮した。
(平成25年健康寿命・平均寿命:介護認定ベースで栃木県が算定)
女性の健康寿命は0.01歳延伸し、平均寿命は0.02歳短縮した。日常生活に制限のある期間は0.03歳短縮した。
(平成25年健康寿命・平均寿命:介護認定ベースで栃木県が算定)
(2) 人口構成
65歳以上の割合は平成22年と比較し、3.3ポイント増加しており、本市は超高齢社会となっている。
(平成27年総人口:国勢調査より)
(3) 要介護認定率
要介護認定率は、平成22年と比較し、0.7ポイント増加している。
(平成27年度要介護認定率:人口動態統計より)
(4) 総死亡数における死因別割合
総死亡数における死因別割合は、3大死因が約6割を占めており、国・県と同様の傾向を示している。
(平成27年総死亡数:人口動態統計より)
(5) 3大死因別年齢調整死亡率
男性における3大死因別年齢調整死亡率は、「がん」は国・県よりも低いが、「心疾患」「脳血管疾患」は国よりも高かった。
(平成27年:人口動態統計より)
女性における3大死因別年齢調整死亡率は、「がん」は国・県よりも低いが、「心疾患」は国・県よりも高く、「脳血管疾患」は国よりも高かった。
(平成27年:人口動態統計より)
(注意) 年齢調整死亡率とは、年齢構成の異なる地域間の差を比較するため、基準人口
(昭和60年)を用い、年齢構成を調整した死亡率のことです。
(単位:人口 10万人あたりの人数)
3 中間評価時の市民の健康に関する状況
(1) 健康であるために重視すること
健康であるために重視する項目は「病気がないこと」「美味しく飲食できること」が半数を超えている。
(2)健康への関心と健康づくりへの取組
健康への関心の有無に関わらず、健康づくりの取組を行っている人の割合は 45.2%、健康づくりの取組を行っていない人の割合は52.6%であった。
(3) 栄養・食生活「野菜の摂取状況」
毎食、野菜を「食べている」成人の割合は17.3%であり、計画策定時の 26.6%を下回った。
(4) 身体活動・運動「運動習慣の定着化の状況」
「息が少し弾む程度(30分以上)の運動を週2回以上していない人」の割合は、61.8%であり、計画策定時の57.1%から悪化した。
「最近、1か月の1日の平均歩数の状況」
成人における1日の平均歩数は「3,000歩以上6,000歩未満」が最も多く、 27.3%であった。
(5) 肥満の状況
肥満と指摘された男性の割合は27.4%、女性は14.2%であり、計画策定時の男性36.1%、女性は20.8%を下回った。
(6) 糖尿病の状況「糖尿病を指摘された人の割合」
「糖尿病を指摘された人のうち、取組をしていない人の割合」
糖尿病と指摘された人の割合は13.8%であり、計画策定時の10.1%を上回った。また、糖尿病を指摘された人の内、取組をしていない人の割合は27.8%であり、計画策定時の10.6%を大きく上回った。
(7) 次世代の健康「幼児・小学生の運動・外遊びの状況」
週に2回以上、運動・外遊びをしている幼児の割合は90.3%と計画策定時の 86.9%を上回ったが、小学生の割合は80.3%と計画策定時の81.8%を下回った。
(8) 高齢者の健康「高齢者の低栄養の状況」
65歳以上の高齢者における低栄養傾向の割合は17.1%であり、計画策定時の16.4%を上回った。
(9) 地域のつながり・支えあい「健康づくり推進組織の活動への市民の参加状況」
健康づくり推進組織の活動に参加した市民は35、506人であり、計画策定時の27、991人を上回った。
(10) 企業・団体等の積極参加の推進「働いている人の健康観」
働いている人のうち、自分の生活習慣をよく思っている人の割合は47.7%であり、計画策定時の44.8%を上回った。
「事業所における健康づくりの取組状況」
健康づくりの取組を行っている事業所の割合は83.4%であり、計画策定時の 23.9%を上回った。
参考)取組事業の実際(複数回答)
・ たばこ対策 [61.9%]
・ がん検診 [43.3%]
・ 健康相談 [36.4%]
・ ラジオ体操やストレッチ(就業前・休憩時間) [32.5%]
・ パンフレット配布や事業所内報による啓発 [27.0%]
・ スポーツ大会などの実施 [20.7%]
・ メンタルヘルス [23.2%]
4 中間評価の結果
(1) 全体評価
【現状】
健康寿命は「男性0.11歳増・女性0.01歳増」、平均寿命は「男性0.07歳増・女性0.02歳減」であったため、健康寿命の増加分が平均寿命の増加分を男女ともに上回ったため、順調に推移している。
(注意)国は、平成22年、平成25年、平成28年の3時点での値に基づき評価実施予定。
【評価】
健康を意識した食生活や運動など、生活習慣の改善に向けた市民の関心が高まっていることや成人の肥満も改善傾向にあること、地域における健康づくり活動への参加者の増加など、4つの基本方向については概ね順調に進捗しており、健康寿命の延伸に向け、計画全体は順調に推進されていると考えられる。
しかしながら、特に青壮年期における「身体活動・運動」分野や「糖尿病」分野においては、改善に向けた更なる強化が必要であることから、後期期間においては、青壮年期における運動習慣や望ましい食生活の定着化、糖尿病対策などの取組を強化し、健康寿命の延伸に繋げていく。
(2) 基本方向別・分野別評価
● 基本方向1「生活習慣の改善」
栄養・食生活
|
身体活動・運動 |
休養・ こころの健康 |
歯・ 口腔の健康 |
たばこ | アルコール | |
---|---|---|---|---|---|---|
評価 |
B 目標に向け改善傾向 |
C 策定時の状況から変化がみられない |
B 目標に向け改善傾向 |
B 目標に向け改善傾向 |
B 目標に向け改善傾向 |
B 目標に向け改善傾向 |
【評価】
「身体活動・運動」においては、健康を意識して身体を動かす人の割合は増加しているなど、全体的に生活習慣は改善の方向にあるが、特に青壮年期においては、継続して運動している人の割合は減少しており、運動習慣の定着に向けた取組を強化する必要がある。
【課題】
・ 青壮年期における望ましい食生活や運動習慣の定着化が改善されていない状況にあることから、青壮年期の「栄養・食生活」「身体活動・運動」への取組を強化する必要がある。
・ 産後期は、母子の愛着形成に大切な時期であるが、産後期の母親は精神的に不安定になりやすく、産後うつの発症リスクが高まるため、母親の心身の安定や、子どもの健やかな育ちを支援する必要がある。
・ 歯周病は成人期以降の歯の喪失の原因となるほか、糖尿病との関連性も考えられるため、成人期の歯周病についてより一層の対策が必要であることから、定期的な歯科健診の受診や歯科口腔保健に関する知識の普及に取り組む必要がある。
・ 40・50歳代はアルコールを日課として摂取している割合が半数以上であることから、職域(注意)と連携するなど、壮年期への適正飲酒に関する正しい知識の普及啓発やアルコールの害についての理解促進など、職域と連携した取組が必要である。
● 基本方向2「生活習慣病の発症予防・重症化予防」
NCD (非感染性 疾患) |
循環器疾患 |
糖尿病 |
がん |
COPD (慢性閉塞性 肺疾患) |
CKD (慢性 腎臓病) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
評価 |
B 目標に向け改善傾向 |
B 目標に向け改善傾向 |
D 策定時の状況を下回っている |
B 目標に向け改善傾向 |
A 目標を達成している |
A 目標を達成している |
【評価】
成人の肥満の割合は減少し、特定健康診査受診率や特定保健指導実施率は年々増加傾向にあるが、糖尿病や糖尿病を発症する恐れのある人の割合は増加し、糖尿病を改善するための取組や治療をしていない人の割合も増えていることから、引き続き糖尿病の発症予防・重症化予防に取り組んでいく必要がある。
【課題】
・ 生活習慣病の発症リスクが高い人を適切に抽出するため、引き続き特定健康診査受診率の向上を図るとともに、生活習慣病の発症や重症化を予防するため、肥満やメタボ該当者及び予備群と判定された人に対し、職域と連携した特定保健指導の利用勧奨を強化する必要がある。
・ がんによる死亡率を減少させるために、部位別のがん死亡状況などを考慮した普及啓発や受診勧奨を強化するとともに、精密検査受診率の向上を強化する必要がある。
・ 糖尿病対策においては、国や県において重症化予防プログラムを策定するなど発症・重症化予防への取組が推進されていることや、本市においても特定健康診査の結果、血糖検査において「要医療」「要指導」割合が増加していることから、糖尿病の重症化を予防するため、各保険者等と連携した効果的な取組を検討する必要がある。
● 基本方向3「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」
次世代の健康 | 高齢者の健康 | |
---|---|---|
評価 |
B 目標に向け改善傾向 |
B 目標に向け改善傾向 |
【評価】
朝ごはんを毎日食べる幼児・小中学生の割合は、9 割以上を維持できているなど、次世代における食生活や身体活動の状況については改善されており、高齢者についても、低栄養状態の増加抑制はできているが、今後、高齢化が進行する中では、ロコモティブシンドロームやフレイル予防など、健康のために身体を動かすことや口腔機能の維持・向上の取組を強化する必要がある。
【課題】
・ 今後、高齢化が進行する中で、肺炎での死亡者の8割以上を75歳以上が占めており、その多くが誤嚥性肺炎であるといわれていることから、高齢期における咀嚼能力の低下を防ぎ、口腔衛生を保つことは、肺炎予防や介護予防の視点からも重要であるため、取組を強化する必要がある。
・ 要介護認定率が増加しており、介護状態にならないためには、高齢者のロコモティブシンドロームやフレイルを予防することが重要であるため、高齢者が意識して継続して身体を動かすことや低栄養を予防する食生活に取り組めるよう対応する必要がある。
● 基本方向4「地域のつながり・支え合い」
地域のつながり・支え合い |
企業・ 団体等の積極参加の推進 |
|
---|---|---|
評価 |
A 目標を達成している |
B 目標に向け改善傾向 |
【評価】
地域における健康づくりや事業所における健康づくりの取組は増加しており、地域や事業所における健康づくりは推進されているが、青壮年期における運動習慣の定着化や糖尿病の発症予防・重症化予防に取り組むなど、働く世代の健康づくりをより一層促進するため、企業や団体等が連携した健康づくりの取組を強化するための環境整備が必要である。
【課題】
・ 更なる市民の健康づくり活動の参加を促すため、学校やまちづくり組織、企業等の地域社会全体で取組を強化する必要がある。
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