平成28年度 視察概要

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ページID1029897  更新日 令和6年3月8日

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平成28年度 視察概要

視察の様子(建設)
視察の様子(神戸市)

1 視察日  平成28年8月2日、3日、4日
2 視察先  石川県金沢市 金沢方式無電柱化の推進について
               金沢市における駐車場によるまちづくりについて
        広島県広島市 LRTによるまちづくりについて
        兵庫県神戸市 神戸市耐震改修促進計画(すまいの耐震化促進事業)について
               まちなか防災空地整備事業について
3 参加者  山崎昌子、金子武蔵、郷間康久、櫻井啓一、五月女伸夫、
        綱河秀二、南木清一、金子和義

建設常任委員会委員長 山崎 昌子

 本委員会においては、「災害に強い都市基盤整備のあり方」「LRT整備事業(快適で安心な交通結節点の充実)」について、先進都市の事例を学び、本市の参考とするため、行政視察を行った。

1 金沢方式無電柱化の推進について
 金沢市は、400年間戦禍や大災害に見舞われていない非戦災都市であり、歴史的建造物が数多く残存する。このようなまちなみを保存するために重要伝統的建造物群保存地区が指定されており、このような地域を中心に無電柱化を進める具体的なエリアが特定されていた。
事業の推進にあたっては、「金沢方式」として、従来の電線共同溝のみならず、浅層埋設やソフト地中化、軒下配線など様々な手法を組み合わせた複合型無電柱化に取り組むとともに、住民合意を得るためのワークショップを繰り返し回開催するなど、行政の工夫と住民との高度な連携が、政策の実現に大きく寄与していた。
一方で、無電柱化の課題として、多額の費用を要すること、また、通過交通の速度上昇による交通安全上の問題、災害時の復旧作業の困難さなどへの対応が必要なことも理解することができた。
本市において無電柱化を推進するためには、金沢市のようなエリアの指定、路線や地域の実情に応じた様々な手法の導入、住民合意の手法は非常に参考になる取り組みであり、災害に強いまちづくりに寄与するものと考える。

2 金沢市における駐車場によるまちづくりについて
 金沢市では、バブル崩壊後の不動産流通の停滞により、建物の除去に伴う駐車場化が進展し、都心部では無秩序に駐車場が整備され、コミュニティーの崩壊や商業空間の魅力の喪失、生活環境の悪化が進行した。これらを背景に、いたずらな駐車場化の抑制と適正配置の推進、適切な現状把握に基づく施策展開を目的とした金沢市駐車場適正配置条例が制定された。
この条例の制定により、民間主導の駐車場整備から、官民相互協力の計画的な取り組みへと転換が図られ、質の高い都市基盤整備と駐車場施策の展開が推進できるようになった。また、民間施設は、建物の解体や暫定的な駐車場整備なども含めて行政指導が効きにくいところがあるが、この条例において届け出制度などの一定の枠組みを設定したことの効果は大きいものと考える。
本市においても、まちなかに低未利用地が散在するとともに、無秩序な駐車場化が進んでいる現状を鑑みると、金沢市のような条例の制定は一定の効果があるものと考えられ、参考となる取り組みであった。

3 LRTによるまちづくりについて
 広島市では、大正元年に広島電鉄が開業し、第二次世界大戦における被爆地として様々な苦難を乗り越えながら、104年間にわたり路面電車を運行し、行政と民間企業が一体となって市民の足を守ってきた。
近年では、国内初の完全超低床車両やロケーションシステムなどの導入による乗り継ぎ利便性の向上に取り組むとともに、JR横川駅においては駅前広場への路面電車の乗り入れを可能とする交通結節点改善事業の実施、更に、JR広島駅南口広場の再整備における駅前大橋ルートの整備構想など、官民一体となって地域住民の利便性向上のための環境整備に努めている。
また、貸し切り列車である「ビール電車」の運行など、都市交通システムをレジャーに用いるなど無駄のない配車の工夫がなされており、市民に身近な公共交通として、現代に合った活用がなされていた。
本市においても、まちに溶け込んだ公共交通を実現するためには、市民から「支えていこう」と思ってもらえるようなLRTにしていくことが必要であり、広島市における取り組みは非常に参考となるものであった。

4 神戸市耐震改修促進計画(すまいの耐震化促進事業)について
 神戸市では、平成28年3月に神戸市耐震改修促進計画を改定するとともに、住宅・建築物の耐震化のための手厚い補助制度を充実させ、すまいの耐震化促進を図っている。
前計画策定時に84%であった耐震化率は、計画終了時点で91%となっており、現計画においては目標を平成32年度までに95%と設定している。これは高水準の実績と目標設定であり、阪神・淡路大震災からの復興を遂げた神戸市ならではの力強さと意欲を感じさせるものであった。
今後、更に住宅・建築物の耐震化を進めるにあたっての課題は「市民意識の改革」とのことで、具体的には、小中学校における建物の仕組みや地震対策の授業の実施、工業高校における耐震診断実習の実施などの子どもへの教育、耐震キャラクター(ゆるキャラ)による周知・発信などに取り組んでいる。
本市においても、今年度、耐震改修促進計画が改定されるが、先進地である神戸市の実績と目標設定には注目すべきであり、今後の計画の策定・推進にあたっては、非常に参考になるものである。

5 まちなか防災空地整備事業について
 神戸市では、古い木造住宅が密集し、道路が狭く、公園等の空地が不足している防災上課題のある地域を「密集市街地再生優先地区」と位置づけ、防災とともに、住環境の改善などを目的とした様々な対策に取り組んでいる。
特に、「密集市街地建物除去事業」では、対象エリアを絞り込むことで従来の建物除去の補助率を引き上げ、老朽建物の解体を加速させるとともに、「まちなか防災空地整備事業」では、土地所有者とまちづくり協議会、行政の三者協定に基づき、土地所有者は空き地を行政に無償貸与することで非課税措置を受けるとともに、行政がまちづくり協議会と管理協定を結ぶことで空き地の適正な整備・管理を行うなど、有効な仕組みづくりが実現していた。
また、身近な防災環境改善の取り組みとして、細街路の行き止まり部において民家の石塀にドアを整備する緊急避難サポ―ト事業などは、大震災を経験した神戸市ならではのアイディアである。
本市においても、行政として市民にインセンティブを与えることで、災害に強いまちづくりを積極的に進めていくことが重要であり、神戸市のような充実した制度は、参考となるものであった。

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