平成29年度 視察概要

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ページID1029870  更新日 令和6年3月8日

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平成29年度 視察概要

視察の様子(厚生)
視察の様子(大牟田市)

1 視察日  平成29年7月18日、19日、20日
2 視察先  山口県山口市  やまぐち式協働のまちづくりについて
        福岡県大牟田市 地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みについて
                                        空き家を活用した居住支援について
                  宮崎県宮崎市   ぐるみん宮崎について
                                        産前から産後の切れ目ない相談支援について
3 参加者  金子武蔵、角田充由、福田智恵、半貫光芳、高橋美幸、
                   福田久美子、細谷美夫、渡辺道仁、中山勝二

厚生常任委員会委員長 金子 武蔵

 本委員会においては、「やまぐち式協働のまちづくり」「地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組み」「空き家を活用した居住支援」「ぐるみん宮崎」「産前から産後の切れ目ない相談支援」について、先進都市の事例を学び、本市の参考とするため、行政視察を行った。

1 やまぐち式協働のまちづくりについて(山口県山口市)
 山口市では、平成17年以降の近隣5町との合併をきっかけとして、まちづくりの主役は市民であるという考えのもと、市民との協働により、山口市協働のまちづくり条例を制定した。また、具体的な施策内容や実施時期を示した山口市協働推進プランを策定し、活動主体のさらなる充実・活性化のための地域づくり協議会の組織化と地域担当職員の配置や地域づくり交付金制度の創設、地域交流センターの設置などの各種施策を推進している。特に、地域づくり協議会では本市と同様に担い手不足、自治会とのすみわけなどの諸課題が生じているほか、地域づくり交付金については各地域において使い切ることが目標となってしまい、市民が主体となった課題解決型のまちづくりにつながっていない状況も見受けられる。
 こうした状況について、支援する行政側の市民協働の認識の押しつけなども要因の一つとして捉えて、以前、各地域に配置していた社会教育主事の再配置を検討するなど、現状と課題に対して真摯に向き合い、市民協働のまちづくりを推進する姿勢は、本市においても、大いに参考となるものである。

2 地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みについて(福岡県大牟田市)
 大牟田市では、介護サービス事業者の資質の向上と事業者間のネットワーク化を図り、本人の意思と能力を発揮しうるような人生を最後まで支え続ける介護環境を確立するため、認知症の人が一人の個人として尊重され、その人らしく地域で暮らせるよう、認知症に重点を置いた介護サービスの充実が進められている。特に、認知症コーディネーター養成研修により、介護現場や地域で認知症の人の尊厳を支え、本人や家族を中心にした地域づくりの推進が図られているほか、認知症でも安心して外出できるようにと発足した「高齢者等SOSネットワーク」は、徘徊高齢者の模擬訓練をきっかけに機能し始め、今では行政区を越えて運用されるなど、きめ細やかな認知症サポート事業を通じて、安心して外出できるまちづくりへと発展している。
 認知症に関する取り組みを通して、まちづくりへの意識醸成を図り、市民コミュニティの構築までつなげている大牟田市の取り組みは、今後、認知症高齢者の増加が見込まれる本市においても、大いに参考になるものである。

3 空き家を活用した居住支援について(福岡県大牟田市)
 大牟田市では、高齢者、障がい者、低所得者等の生活困窮者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者への入居支援及び空き家の有効活用を推進することを目的に、平成25年、大牟田市居住支援協議会(大牟田住みよかネット)を設立し、民間の空き家を利用した住宅セーフティネットの構築や、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めている。特に、流通していない空き家に着目し、空き家活用に当たって、家賃は家の維持管理費程度(敷金・礼金なし)としている点などの特徴があり、協議会の事務局を市社会福祉協議会が担うことで、相談内容によっては、社会福祉協議会の他のサービスにつなぐこともできるほか、入居後の生活相談のフォローも可能となっている。
 「居住支援の目的は、暮らしの基盤を整えること」を主眼に、住宅に関する所管課が社会福祉協議会とのパートナーシップにより、組織横断的に空き家の活用、居住支援、生活支援を行う取り組みは、本市において、高齢者の拠点整備や空き家の利活用を進めていく上で、大いに参考になるものである。

4 ぐるみん宮崎について(宮崎県宮崎市)
 宮崎市では、すべての地区(22地区)で地域ケア会議を実施し、グループワークにより市民ニーズや課題の抽出を行った上で、結果の集約・分析を行い、平成27年3月に、宮崎市地域包括ケアシステム構築方針を策定した。また、平成29年には、グループワーク時の意見を参考に、地区ごとの人口推計など、身近な行政データなども掲載したA4オールカラー、152ページにも及ぶ地域包括ケア情報誌「ぐるみん宮崎」を発行し、60歳以上の高齢者のいる全世帯に配布したところであり、市民周知に大いに寄与している。現在、それぞれの地区において、医師や警察・消防、地元小売店関係者等も含めた100名規模の地域ケア会議が開催され、地域における人材育成や新たな人材の掘り起こしにも寄与しており、今後は、国が定める住まい、介護予防、生活支援、介護、医療の5分野に加え、認知症、医療介護連携に関する認識の共有化を図り、実行力を高めていくこととしている。
 市民自らが危機感を持って行動しなければ、市民主体によるサービスはなし得ないものであり、地域ケア会議を中心に地域が主体となって推進する取り組みは、今後、本市が地域包括ケアシステムの構築を目指す上でも、大いに参考となるものである。

5 産前から産後の切れ目ない相談支援について(宮崎県宮崎市)
 宮崎市では、平成26年度から国のモデル事業として、市内6カ所に配置された母子保健コーディネーターが妊産婦の状況に応じた支援計画の作成と支援事業との連携を包括的に担う「母子保健相談支援事業」、育児に不安や悩みを抱えている妊産婦が円滑に育児できるように支援する「産前・産後サポート事業」、心身の体調不良または育児不安等がある産婦、家族等から充分な援助が受けられない産婦の日帰り型デイケアを実施する「産後ケア事業」の3つの事業を実施しており、親子健康手帳の交付時に行うアンケートによって抽出された妊産婦に対して、パッケージ化された一体的な支援が行われており、平成29年4月からは、出産後の母親が育児への不安や重圧によって精神的に不安定になる「産後うつ」を予防するため、健診を受ける際の費用を助成する国の制度も取り入れている。
 妊産婦への支援を専門とする保健師により、妊婦期から要支援者をスクリーニングし、早期にきめ細やかな支援を行うことが児童虐待防止や貧困対策につながるものと期待されるものであり、本市においても、大いに参考になるものである。

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