令和元年度　視察概要

令和元年度　視察概要

1　視察日　　令和元年10月9日、10日、11日
2　視察先　　愛知県東海市　　　ひきこもり支援について
　　　　　　  山口県宇部市　　　ひきこもり支援について
　　　　　　  福岡県久留米市　　結婚支援について
3　参加者　　今井政範、久保井永三、茂木祐佳里、天谷美恵子、柴田賢司、
　　　　　　  金崎芙美子、今井恭男、渡辺通子
4　視察結果
　本委員会においては、「ひきこもり支援について」「ひきこもり支援について」「結婚支援について」について、先進都市の事例を学び、本市の参考とするため、行政視察を行った。

厚生常任委員会委員長　今井　政範

1　ひきこもり支援について（愛知県東海市）
　東海市では、従来、ひきこもり支援が業務として位置づけられていなかったが、支援体制を構築するため、平成19年度に学識経験者や関係団体などで構成するひきこもり支援検討委員会を設置し、委員会がまとめた報告書をもとに、支援の課題や支援体制の方向性を明文化したひきこもり施策基本指針を策定し、積極的な支援に取り組んできた。
支援に当たっては、教育、保健・福祉、就労の関係部局・機関、さらには地域の民生委員、児童委員などで構成される「東海市ひきこもり支援ネットワーク」を設置するとともに、状況に応じ近隣の自治体と連携するなど、幅広い関係機関と横断的な支援体制を構築している。
　また、常設の相談場所と居場所づくりのため、平成21年度に、ひきこもり支援拠点「ほっとプラザ」を設置し、幅広い年齢層の多様なひきこもりに対応するため、相談やカウンセリング、自立支援相談員の訪問活動、家族会の開催など、多彩な支援を継続的に行うことにより成果を上げている。
　総合的な相談・支援のネットワークを構築するとともに、ひきこもりやその家族にとって相談・利用しやすい環境を整備し、安心感を与える東海市の取り組みは、大いに参考になるものであった。

2　ひきこもり支援について（山口県宇部市）
　宇部市では、従来、基幹相談支援センターや障がい者相談支援事業所などが連携して、ひきこもりの支援を行ってきたが、より専門性の高い相談機関とするため、平成27年度からNPO法人ふらっとコミュニティに相談支援充実事業を委託し、支援体制の充実に取り組んでいる。
特に、支援の中心となる山口大学医学部山根教授のもと、相談窓口や居場所の設置、家族支援、訪問支援、就労準備支援、精神医学のスーパーバイズなど、専門性の高い支援を行い、平成30年度には13人の復職・復学と着実な効果を上げている。
　また、全世代型相談体制・共生型福祉の構築のため、地域や福祉施設、医療機関等との連携を強化するとともに、ひきこもりはもとより、高齢者や障がい者、子ども、生活困窮者など、全世代を対象とした、福祉なんでも相談窓口を市内全域に設置し、市民にとって、いつでも気軽に相談しやすい環境を整えている。
官・民・地域が連携してアンテナを高くし、身近な地域に窓口を設けて相談の垣根を低くする体制や、専門性の高い法人とともに、本人やその家族に寄り添い、信頼関係を構築し、それぞれの家族にあった支援を行う宇部市の取り組みは、大いに参考になるものであった。

3　結婚支援について（福岡県久留米市）
　久留米市では、平成27年度に実施した意識調査において、職場や仕事の関係で交際相手と知り合ったとの回答が多かったことから、企業・団体等と連携した結婚支援としてキラリくるめ婚活部を展開している。
婚活部は、登録した市内企業の従業員を対象に、結婚に関する啓発やスキルアップセミナー、学んだことを実践するための交流会などを企画・開催するもので、令和元年10月現在で、121社の企業・団体、338人の部員が登録されており、参加者からは、市事業であることによる安心感や低額な参加料などから、高い満足度を得ている。さらに登録企業には、結婚支援のあり方やワークライフバランスなどについてのセミナーを開催し、結婚・妊娠・出産などへの理解向上にも努めている。
　また、まちづくり活動を活用し、ボランティアとしての共同作業により親睦を深められる出会いの場を提供し、複数のカップルが成立している。
市内の企業・団体を巻き込み、婚活イベントとワークライフバランスの理解向上を同時に推し進めていく姿勢や、職場やまちづくり活動などを通じて自然な出会いを演出する久留米市の取り組みは、大いに参考になるものであった。