平成29年度施政方針

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ページID1013628  更新日 令和6年3月8日

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 平成29年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第16号から第32号までの平成29年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算につきましての大綱を御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 我が国の経済情勢につきましては、政府の最重要課題として経済対策に取り組んでまいりました結果、雇用や所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続いてきておりますが、個人消費などにつきましては、力強さを欠いており、「経済の好循環」の流れを確かなものとするための取組が求められているところであります。 
 こうした中、国におきましては、少子・超高齢化、人口減少社会に立ち向かっていくため、国民の誰もがその能力を存分に発揮でき、充実した生活を送ることができる「一億総活躍社会」の実現を目指し、子育て・介護支援の拡充、多様なライフスタイルと仕事の両立に向けた働き方改革などに取り組むとともに、地方創生、女性の活躍推進など、あらゆる政策を総動員していくこととしております。

 本市におきましては、子育て支援策の充実などにより、合計特殊出生率は、緩やかに上昇してきているものの、今後、本市の総人口は、減少に転じ、人口構造につきましては、高齢化が更に進行していくと見込んでおります。
 さらに、社会動態におきましては、現在、東京圏に対しまして、20代の若い世代を中心に年間約1千人の転出超過となっており、人口の自然増や社会増の促進に向けた取組が、なお一層重要になるものと考えております。
 こうした中、平成29年度は、第5次総合計画後期基本計画の最終年次を迎えますことから、その総仕上げに着実に取り組むとともに、今後の時代潮流の変化に伴う課題や社会のニーズに的確に対応できるよう、新たなまちづくりの指針となる第6次総合計画の策定などに取り組む、重要な1年であると認識しております。

 具体的な取組といたしましては、持続可能なまちづくりをけん引する人材や、担い手となる人材など、将来の宇都宮を担う人材をあらゆる分野で育成する「人づくり」や、市民の結婚、出産、子育て、教育を切れ目なく支援し、人口減少に歯止めをかけるとともに、全ての市民が、住み慣れた地域で心身ともに豊かな生活を送るための「子育て・健康づくり」に取り組んでまいります。
 また、災害に強く、住み心地の良い、誰もが、安全・安心で快適に暮らせるまちづくりを始め、都市の個性や魅力を生かしたにぎわいを創出する「魅力ある地域づくり」や、地域経済を担う中小企業の振興や安定した雇用を創出する高度な産業力の強化など、本市の活力の源であります各種産業の持続的な発展に向けた「経済の活性化」をなお一層、推進してまいります。
 さらに、本市の目指す都市の姿であります「ネットワーク型コンパクトシティ」の実現に向けて、医療・福祉、子育て支援、商業などの施設の誘導により、市民が生活に身近なサービスを便利に利用することができる地域拠点や、風格と魅力を有し、市域全体の成長をけん引する、高次な機能を備えた都市拠点など、「拠点形成の促進」に向けた具体的な都市機能の誘導に取り組んでまいります。
 また、「総合的な交通ネットワーク」の基軸となりますLRTの整備を始めとして、鉄道・バス・地域内交通・自転車などの多様な交通手段を組み合わせることで、階層性と利便性を備えた、環境にやさしく、誰もが安全で快適に移動できる、「力強いまち うつのみや」の骨格づくりに取り組んでまいります。

 こうした取組を通しまして、今を生きる市民の皆様と、将来を担う子どもたちのために、未来への投資を勇気を持って実行し、市内外から選ばれる高い都市力を備えた、世界から注目され、日本をリードする「未来都市 うつのみや」を目指してまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。

 本市におきましては、自主財源の根幹である市税収入は増加基調にあり、新年度におきましても、緩やかな景気回復に伴い、市税収入の増加が見込まれ、この好機を逃すことなく、地域経済の回復をしっかりと支えていく必要があります。
 また、今後の人口構造や社会環境の変化に的確に対応し、目指すべきまちを着実に実現していくためには、「持続可能な財政構造」の確立に努めていくことが重要であります。
 このため、新年度の予算編成に当たりましては、地域経済の活性化や、人や企業の多様な活動や交流が活発化する「まちづくりの好循環」を創出できる施策・事業に優先化・重点化を図るとともに、財源確保の徹底や、中長期を見据えた行財政改革に取り組むことといたしました。

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額2,053億円に対しまして、1.9パーセント減の2、015億円を計上したところであります。
 また、13の特別会計の予算額1、170億円余と3つの企業会計の予算額 391億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額 3、604億円余に対しまして、0.8パーセント減の3、576億円余を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第5次宇都宮市総合計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 第1は、『市民の安全で健康な笑顔あふれる暮らしを支える』についてであります。
 まず、「子育て支援の充実」につきましては、平成29年度末の待機児童ゼロの実現に向けて、受入児童数を拡大する保育所等への助成制度を創設するとともに、保育施設の整備促進や保育士等の処遇改善による人材確保に努めてまいります。
 また、新たに教育・保育施設等への巡回指導を実施し、保育の質の向上を図るとともに、子どもの家や保育施設等を利用する生活困窮世帯の保護者負担を軽減するなど、子育て環境の充実に取り組んでまいります。
 次に、「保健・医療の充実」といたしましては、日常生活の中で気軽に取り組める運動や健康診査の受診などを対象とする「健康ポイント」の実証事業に取り組んでまいります。
 また、新たに、全ての産婦に産後うつ検査を実施し、産後うつの疑いのある産婦へ訪問、通所、宿泊による支援を行うなど、「産後ケア体制」の充実を図り、育児不安の軽減・解消に取り組んでまいります。
 次に、「高齢者の生活の質の向上」につきましては、高齢者の状況に応じた多様な生活支援・介護予防サービスを提供する「介護予防・日常生活支援総合事業」に取り組むとともに、地域包括支援センターを始めとする支援体制を拡充し、高齢者が住み慣れた地域で、安心して暮らすことができる「地域包括ケアシステム」を構築してまいります。
 次に、「安全で安心な暮らしの確保」につきましては、新たに、空き家の除却や活用への助成制度を創設し、空き家等の適正管理を促進するなど、日常生活の安全・安心の確保を図ってまいります。

 第2は、『学ぶ意欲と豊かなこころを育む』についてであります。
 「信頼される学校教育の推進」につきましては、小学1・2年生に加えて小学3年生にも35人学級を導入するとともに、平成32年度に英語が小学校の教科になりますことから、いち早く、外国語指導助手を増員し、英語教育の強化を図るなど、学校教育の充実を図ってまいります。
 また、人口が急増するテクノポリスセンター地区への新設小学校の開校に向けて、基本設計や実施設計を実施し、準備を進めるなど、教育環境の充実に取り組み、次代を担う人材の育成に努めてまいります。

 第3は、『快適な暮らしを支える』についてであります。
 まず、「環境にやさしい社会の形成」につきましては、食品の食べ切り・使い切りを推奨する「もったいない残しま10!」運動を拡充するなど、ごみの減量化・資源化に取り組むとともに、引き続き、新たな最終処分場や中間処理施設などの整備を計画的に進め、効果的・効率的なごみ処理体制を構築してまいります。
 次に、「上下水道サービスの質を高める」につきましては、水質管理体制の充実により、なお一層安全な水道水を供給するほか、施設の耐震化や改築・更新などによる災害に備えた強靭なライフラインを構築するとともに、雨水幹線の整備による浸水被害の解消などに取り組んでまいります。

 第4は、『豊かな暮らしを支える活気と活力のある社会を築く』についてであります。
 まず、「地域産業の創造性・発展性の向上」につきましては、本市に本社機能を移転する企業への助成制度や市税の優遇制度を創設し、企業立地を促進するなど、産業基盤の強化に取り組んでまいります。
 また、東京圏からの移住・定住を促進し、本市への流入人口の増加を図るため、ホームページなどを活用した情報発信や都内でのセミナーの開催などに取り組むほか、インターンシップに取り組む中小企業への助成制度を創設するなど、本市での就職促進を強化してまいります。
 次に、「商工業の振興」につきましては、オリオン通りにおける「オープンカフェ」事業を支援するとともに、釜川周辺地区のライトアップに取り組み、中心市街地の活性化を推進してまいります。
 次に、「農林業の振興」につきましては、宇都宮大学で育成された新品種の米「ゆうだい21」などの生産拡大を支援し、収益性の向上を図るとともに、本市農産物ブランドの統一マーク作成による情報発信などにより、販路の拡大に取り組み、「農業王国うつのみや」を推進してまいります。
 また、鳥獣被害対策実施部隊におきまして、イノシシの捕獲数を拡大するとともに、捕獲対象にシカを追加するなど、農業被害の軽減を図ってまいります。
 次に、「魅力ある観光と交流の創出」につきましては、平成28年度に引き続き、3人制バスケットボールの世界大会「FIBA3×3ワールドツアー宇都宮マスターズ」を開催するほか、シクロクロスの国際レースを初めて開催するなど、スポーツの国際イベントによるブランド力の向上に取り組んでまいります。
 また、デスティネーションキャンペーンのプレキャンペーンを本年4月から6月まで実施し、官民一体となって「おもてなし」に取り組み、本市の魅力を国内外に発信してまいります。
 さらに、大谷地域におきまして、大谷石採取場跡地の冷熱エネルギーを活用した「夏秋いちご」の生産への支援や、地下空間、景観などの新たな活用可能性の調査、大谷観光案内所への公衆無線LANの整備、周遊バスの運行などに取り組み、産業や観光、歴史文化など地域が持つ豊富な資源を最大限に活用し、魅力創出に向けた大谷地域の振興を図ってまいります。

 第5は、『都市基盤の機能と質を高める』についてであります。
 はじめに、「円滑で利便性の高い総合的な交通体系の確立」につきましては、LRT・バス・自動車・自転車など、各交通手段の特性を組み合わせた総合的な交通ネットワークを整備するとともに、それらにより、人や企業、コミュニティなどの活動や交流が活性化される「交通未来都市うつのみや」の実現を市民や民間の方々と一体となって取り組んでまいります。
 まず、LRTにつきましては、JR宇都宮駅東側の整備に取り組むとともに、駅西側の導入に係る調査を進めてまいります。
 また、地域内交通の運行地区を拡大するとともに、新たに、路線バスと地域内交通との乗り継ぎポイントの利用環境を整備するなど、公共交通の利用を更に促進してまいります。
 さらに、(仮称)大谷スマートインターチェンジの整備など、道路ネットワークの充実を図るとともに、自転車走行空間の整備など、「自転車のまちうつのみや」を推進してまいります。
 次に、「魅力ある都市空間の形成」につきましては、大手地区などの市街地再開発事業を促進し、都市拠点の高度化を図るとともに、「JR岡本駅周辺地区」におきまして、東口駅前広場の再整備に取り組むなど、地域拠点の充実を図ってまいります。
 また、本年3月に策定予定の立地適正化計画を踏まえ、「都市機能誘導区域」への医療・福祉・商業施設などの立地を促進するための助成制度を創設し、拠点形成を進めてまいります。

 第6は、『都市の自治基盤の確立』についてであります。
 「市民が主役のまちづくりの推進」につきましては、市民活動や地域づくり活動などを対象とする「地域貢献活動ポイント事業」の構築に向けた検討を行うなど、市民協働のまちづくりを進めてまいります。

行政改革

 次に、「行政改革について」でありますが、「第5次宇都宮市総合計画」の総仕上げに向けて、新年度におきましても、「第5次行政改革大綱」と「行革プラン」に基づき、引き続き、徹底した行政改革に取り組んでまいります。

 具体的には、新たに学校用務業務の一部を外部委託するほか、専門事業者を活用した収納対策の強化を図るなど、民間活力の活用に、なお一層取り組むことを始め、「公共施設等総合管理計画」に基づく公共施設等の適正管理や、社会経済環境の変化等に対応した事務事業の再編・統廃合などに積極的に取り組み、大綱の基本目標に掲げております「将来を見据えた最適な行政サービスの確立」に努めてまいります。

市政運営の執行体制

 最後に、「執行体制について」でありますが、ただ今申し上げました様々な取組を効果的に推進するため、柔軟で活力ある執行体制を整備してまいります。

 まず、「組織機構」についてでありますが、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を推進するため、高齢福祉課内に新たに「地域包括ケア推進室」を設置してまいります。
 また、都市の魅力や活力の創造に向けたスポーツ関連事業等の個性ある観光資源の更なる活用を推進するため、観光交流課内の「都市魅力創造室」を改組し、「都市魅力創造課」を設置してまいります。併せて、大谷の振興を図り、観光拠点としての魅力を高めるため、都市魅力創造課内に新たに「大谷振興室」を設置してまいります。
 さらに、「交通未来都市うつのみや」の実現に向け、総合的な公共交通ネットワークの基軸となるLRTにつきまして、より多くの市民に分かりやすく情報を伝えるとともに、市民や企業等との協働による意見交換や広報活動などの取組を進めるため、LRT整備室内に新たに「協働広報室」を設置してまいります。
 また、平成34年度開催予定の国民体育大会の準備を円滑に進めるため、スポーツ振興課内に新たに「国体準備室」を設置してまいります。

 続きまして、「人員体制・人材活用」についてでありますが、保育園における給食調理業務や浄水場施設管理業務の外部委託を進めるなど、事務事業の見直しに取り組むことにより、職員数の適正化に努めてまいりますとともに、全ての職員が持てる能力を十分に発揮できる環境づくりの取組を推進してまいります。

むすび

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、平成29年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。

 私は、4期目の市政運営に当たりまして、これまで、先人たちが築き上げてきた本市の都市基盤や伝統・文化などを継承し、市民一人一人が輝く、活力あふれる「未来都市 うつのみや」の創造を改めて強く決意したところであり、市民・事業者の皆様と一体となって、着実に取り組んでまいります。

 議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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