令和5年度施政方針

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページID1032062  更新日 令和6年3月8日

印刷 大きな文字で印刷

 令和5年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第15号から第29号までの令和5年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算の大綱につきまして御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 我が国におきましては、成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」の下、物価高騰対策やグリーン・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーションに取り組むとともに、ポストコロナへの移行やデジタル田園都市国家構想の推進、さらには、最重要政策として、次元の異なる「こども・子育て政策」を位置付け、こどもファーストの社会を創り上げることとしております。
 また、G7広島サミットに合わせ、本年6月には栃木県で「男女共同参画・女性活躍担当大臣会合」が開催され、世界における男女共同参画社会の形成に向けて、閣僚級のハイレベルな協議が行われる予定であります。

 このような中、新年度は、本市のまちづくりの羅針盤となる「第6次宇都宮市総合計画改定基本計画」がスタートを迎え、計画に掲げる本市が目指すまちの姿である「子どもから高齢者まで、誰もが豊かで便利に安心して暮らすことができ、夢や希望がかなうまち『スーパースマートシティ』の実現」を加速化させるための重要な年であります。
 スーパースマートシティの実現に向けましては、「NCC」をまちづくりの基盤とし、あらゆる分野における「デジタル」の活用と、「人」づくりに取り組みながら、「地域共生社会」、「地域経済循環社会」、「脱炭素社会」の3つの社会をいち早く構築し、SDGsの達成にも貢献してまいります。

 このような決意の下、新年度におきましては、社会経済の根幹に関わる「少子化を始めとする人口減少への対策の推進」として、まず、市民、地域、事業者、行政のオール宇都宮で「子どもを守る社会」を創り上げていくことを誓う宣言を市民協働で取りまとめ、本年中に表明してまいります。
 そして、市民の結婚や妊娠、子育て、学びの希望をかなえるため、若者や子育て家庭に寄り添った、切れ目のない支援の充実に取り組んでまいります。
 さらに、次の世代を担う若者や全ての女性が輝き、活躍できる環境を整え、「宇都宮に住んでみたい、住み続けたい」と実感できるまちを実現するとともに、全国に誇れる本市のまちの魅力を幅広く発信することで、本市への定住と移住をなお一層、促進してまいります。

 次に、市民の生命や暮らしを守る「安全・安心の確保」として、物価高騰による市民生活や事業活動への影響などを十分注視し、適切に対応するとともに、ポストコロナを見据えた社会経済活動の活性化、近年、激甚化・頻発化している自然災害に備えるための総合的な治水・雨水対策などを推進してまいります。
 また、住み慣れた地域で安心して暮らせる「NCC」につきましては、多くの皆様から大きな期待が寄せられているLRTが本年8月、いよいよ開業いたします。LRT開業を契機に、NCCの形成を加速化させるため、LRT沿線における地域特性を生かしたまちづくりを始め、都心部におけるウォーカブルなまちづくり、各地域拠点における日常生活の利便性の向上などに取り組んでまいります。
 そして、これらの拠点間を便利で快適に移動できるよう、LRTの開業に合わせたJR宇都宮駅東側におけるバス路線の再編や乗継割引の拡充による更なる運賃負担の軽減、多様な端末交通の導入など、総合的な公共交通ネットワークの充実を図るとともに、公共交通の利用を積極的に促進してまいります。

 次に、地域の絆を深め、共に支え合う「地域共生社会」の構築として、子ども、高齢者、障がい者など、世代や分野を越えた市民の困りごとを丸ごと受け止める相談体制の整備を始め、ひきこもりやヤングケアラーなど、顕在化する社会問題への対応、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会のための身近な地域でのデジタル人材の育成、さらには、若い世代のボランティア活動への参加促進などにより、思いやりがあふれ、地域で支え合い、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。

 また、誰もが活躍し、様々な人・モノ・情報が交流する「地域経済循環社会」の構築として、新たな成長産業の育成や集積を目指した企業立地・定着の促進、本市の産業を支える中小企業の生産性向上を目指したデジタル化の推進、「ライトキューブ宇都宮」を始めとした市内全域へのMICE誘致の強化、自転車や3x3、大谷など本市の魅力を生かした交流人口の拡大により、地域経済の好循環を創出し、持続的な発展を目指してまいります。

 そして、二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「脱炭素社会」の構築として、LRT沿線における「脱炭素先行地域」での取組を推進し、それらを市内全域に速やかに波及させるとともに、事業者における脱炭素に向けた設備投資や市民一人一人の環境配慮行動の促進など、カーボンニュートラルの達成に取り組んでまいります。
 特に、本市が世界の脱炭素化をリードしていくため、LRTやバス、地域内交通など、市内の各拠点を結ぶ公共交通を電動化させ、これらを市内で発電した再生可能エネルギーで運行する「グリーン公共交通モデル都市」の構築を目指してまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。

 本市における自主財源の根幹である市税収入は、令和4年度当初予算から23億円を超える増収となり、930億円台となる見込みであり、歳出においては、社会保障関係経費が引き続き高い水準で推移するものと見込んでおります。

 このような中、新年度の予算編成に当たりましては、「第6次総合計画改定基本計画」の初年度となることを踏まえ、本市が目指すまちの姿「スーパースマートシティ」の実現を加速化させるため、まちづくりの基本方向である「6つの未来都市」の具現化に向けた施策・事業に取り組むことといたしました。

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、JR宇都宮駅東口の整備やLRTの整備、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会開催に要した費用が減となることなどから、前年度当初予算額に対しまして、2.5パーセント減となり、2、189億8、000万円を計上したところであります。
 また、11の特別会計の予算額1、190億円余と3つの企業会計の予算額500億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額に対しまして、0.7パーセント減の3、880億円余を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第6次総合計画改定基本計画」の施策体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 はじめに、総合計画施策体系の第1といたしまして、「子育て・教育の未来都市」についてであります。

 まず、「全ての子どもが安心して健やかに成長できる社会の実現」につきましては、「(仮称)子どもを守る都市宣言」の制定に取り組むほか、妊産婦や子育て世帯などを包括的に支援するこども家庭センターの設置や, 妊娠8か月を迎える妊婦への全数面接を実施し、本市独自の3万円の助成金「もうすぐ38(みや)っ子応援金」の支給を行ってまいります。
 また、20歳未満の子どもを対象に、心身障がい者福祉手当と難病患者福祉手当の所得制限を廃止するとともに、医療的ケア児等を対象にした所得制限のない福祉手当を新設してまいります。
 さらには、専門コーディネーターの配置や家事支援などのヤングケアラー対策とともに、児童相談所の設置に向けた検討に取り組むなど、子どもを守り育てる支援の充実を図ってまいります。

 次に、「誰もが夢や希望を持ち必要な教育を享受できる社会の実現」につきましては、デジタルを活用した不登校支援を特色とした「適応支援教室」を開設するほか、学校施設の長寿命化改修などによる教育環境の充実に取り組んでまいります。

 次に、「誰もが生涯を通じてスポーツを楽しむ社会の実現」につきましては、宇都宮清原球場の大規模改修に向けた検討を進めていくほか、北西部地域体育施設の整備などに取り組んでまいります。

 第2は、「健康・福祉の未来都市」についてであります。
 まず、「誰もが心身ともに健康に生活できる社会の実現」につきましては、歯科健診の対象年齢の拡大や、感染症対策の強化に向けた「夜間休日救急診療所」の改修などに取り組んでまいります。

 次に、「あらゆる市民が安心し、自立して生活できる社会の実現」につきましては、認知症事故救済制度の創設を始め、地域包括支援センターなど30か所への「共生型の相談窓口」の設置やアウトリーチによるひきこもり等の潜在的な相談者への支援、成年後見制度の利用促進を図るための中核機関の設置、市民後見人を養成するための研修会の実施など、重層的な支援体制の構築に取り組んでまいります。
 また、障がい者生活支援センターの増設や、重度障がい者が自家用車で移動する際の燃料費への助成の実施など、障がいのある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境づくりを推進してまいります。
 さらに、デジタルデバイド対策として、身近な地域でスマートフォンの使い方などを高齢者等に教えることができる「宮デジサポーター」の養成など、誰もがデジタルの恩恵を享受できる環境づくりに取り組んでまいります。

 第3は、「安全・安心の未来都市」についてであります。
 まず、「誰もが安全・安心に日常生活を送ることができる社会の実現」につきましては、豪雨や台風の襲来に備え、河川や公共下水道雨水幹線の整備、田んぼダムの普及促進など総合的な治水・雨水対策に引き続き取り組むほか、住宅地等の防災・減災対策として、大規模盛土造成地の滑動崩落防止工事などに取り組んでまいります。

 次に、「市民が互いに尊重し、支え合う社会の実現」につきましては、魅力ある自治会づくりに向けた在り方の検討や活動の活性化に向けたシンポジウムを開催するなど、市民協働によるまちづくりを推進してまいります。
 また、女性のデジタルスキルの習得と就労を支援し、女性デジタル人材の育成に取り組むほか、G7の「男女共同参画・女性活躍担当大臣会合」の本県開催による機運の高まりを絶やさぬよう、男女共同参画フォーラムを開催するなど女性の活躍推進に取り組んでまいります。

 第4は、「魅力創造・交流の未来都市」についてであります。
 まず、「地域資源を守り、活用した賑わいと活力ある社会の実現」につきましては、「ジャパンカップサイクルロードレース」の第30回記念大会の開催を始め、「FIBA3x3 ワールドツアー うつのみやオープナー2023」の開催や、本市の小学生代表チームをFIBA本部のあるスイスに派遣し、交流試合を行うなど、「3x3のまち」を推進していくほか、新たな交流やにぎわいの創出が期待できるMICEの開催支援や県外自治体等と連携した商談会への参画などに取り組んでまいります。
 また、大谷地域におきまして、本年11月の供用開始に向けた大谷観光周遊拠点施設の整備や周遊ルートの美観づくりなどに取り組むほか、地域の活性化に向けたエリアマネジメントの検討など、大谷地域の振興を図ってまいります。
 さらに、「文化財保存活用地域計画」の策定に取り組むなど、本市の歴史や文化を守り、市民が宇都宮に誇りを持つことができるよう取り組んでまいります。

 次に、「着実な定住の促進や移住・関係人口の増加による持続可能な地域社会の実現」につきましては、市内から東京圏への通勤・通学に係る交通費や、市内企業が実施する新卒採用者等への奨学金の返還に対して助成を行うほか、東京圏向けのプロモーションを戦略的に展開するなど、市内外の人や企業から選ばれる都市を実現してまいります。

 第5は、「産業・環境の未来都市」についてであります。
 まず、「各種産業の強みを生かした持続的に発展する社会の実現」につきましては、新たな産業団地の確保に向けた調査や、企業立地等支援補助金の重点分野に「半導体関連産業」などを新たに加えるほか、市内取引の強化や異業種間マッチングの場を創出するための「宇都宮市リーディング企業」等による企業交流会の実施などに取り組んでまいります。
 また、農業分野におきましては、新規就農者への支援や省エネ設備の導入支援による低コスト化の推進など、生産体制の強化に取り組むとともに、インターネットによる宇都宮産農産物のPR及び販路拡大への支援に取り組んでまいります。

 次に、「脱炭素で循環型、自然共生社会の実現」につきましては、SDGs未来都市の推進に向けた普及啓発に取り組むとともに、カーボンニュートラルの実現に向けた、脱炭素先行地域における取組の推進や、市内事業者の温室効果ガス排出量の削減目標設定等に対する支援、市有施設のLED化の推進などに取り組むほか、宇都宮ライトパワー株式会社と連携した再生可能エネルギーの地産地消の促進に取り組んでまいります。
 また、「グリーン公共交通モデル都市」の実現に向けて、路線バス・タクシー等の公共交通の電動化を進めてまいります。

 第6は、「交通の未来都市」についてであります。
 まず、「魅力的で持続可能な都市空間の形成」につきましては、JR宇都宮駅西口周辺地区における整備基本計画の策定などに取り組むほか、大通り沿線における優良建築物等整備事業に対する補助制度の創設や清原工業団地トランジットセンター周辺における社会実験の実施、Park-PFIを活用した東部総合公園の整備など、都心部やLRT沿線のまちづくりを推進してまいります。
 また、安心で快適な住環境を整備するため、住宅取得補助制度や住宅耐震診断等を拡充するほか、マンション管理の適正化を図るため、専門家による支援などに取り組んでまいります。
 さらに、上下水道サービスにおきましては、安全で安心な水道水の安定供給や下水の適正処理を推進するほか、老朽管の改築・更新や基幹施設の耐震化などを進め、強靭なライフラインの構築に取り組んでまいります。

 次に、「誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークの実現」につきましては、JR宇都宮駅東側における本年8月のLRT開業に向けて、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社と一体となって準備を進めるとともに、駅西側における事業化を着実に推進してまいります。
 また、LRT開業と合わせてJR宇都宮駅東側のバス路線を再編するほか、地域内交通とバスで実施している「街ナカ」までの運賃を500円以内とする乗継割引制度をLRTの利用にも拡大するなど、公共交通の利便性向上と利用促進に取り組んでまいります。

 最後に、「各政策の柱を支える行政経営基盤」についてであります。
「持続可能な公共的サービスの提供体制の確立」につきましては、電子申請共通システムの拡充や書かない窓口システムの導入、全地域行政機関における窓口混雑状況の配信サービスの開始など、行政デジタル・トランスフォーメーションの推進による市民サービスの向上に取り組んでまいります。
 また、デジタル社会基盤の強化として、LRT沿線や観光拠点などにおける多機能型デジタルサイネージの設置を促進してまいります。
 さらに、デジタル施策の最高責任者をサポートする「CIO補佐官」の任命や専門家を活用したDX推進部門の職員の育成などによる全庁的なデジタル・トランスフォーメーションの実現のほか、データの利活用に長けた人材の育成などに取り組み、限りある資源の力や価値を最大限に発揮し、社会や暮らしの変化に対応した持続可能な公共的サービスの提供に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。

 ただ今申し上げた「スーパースマートシティ」の実現に向けた様々な施策を着実に推進する執行体制の整備といたしまして、少子化対策を始めとする子ども・子育て支援の強化に向け、子ども部に「子ども政策課」及び「子ども支援課」を設置するとともに、地域共生社会の構築に向け、保健福祉総務課に「地域共生推進室」、脱炭素社会の構築に向け、環境部に「環境創造課」及び課内室の「カーボンニュートラル推進室」、都心部における官民協働のまちづくりに向け、NCC推進課に「都心部まちづくり推進室」、地域社会全体のデジタル化の実現に向け、総合政策部に「デジタル政策課」を設置するほか、データを利活用して政策立案を下支えするEBPMの推進に向け、政策審議室に課内室の「市政研究センター」を設置するなど、柔軟で機動的な執行体制を整備してまいります。

結び

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、令和5年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。
 私は、これらの施策を着実に推進し、今を生きる市民と未来を生きる子どもたちが豊かで便利に安心して暮らすことができ、夢や希望がかなうまち「スーパースマートシティうつのみや」を全力で創り上げてまいりますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

このページに関するお問い合わせ

総合政策部 政策審議室
電話番号:028-632-2118 ファクス:028-632-5422
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。