令和6年度施政方針

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ページID1034176  更新日 令和6年3月8日

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 令和6年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第17号から第31号までの令和6年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算の大綱につきまして御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 まず、本年1月の「令和6年能登半島地震」によりお亡くなりになりました方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました皆様に心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧に向け、最大限の支援をしてまいります。 
 本市におきましても、いつ起こるか分からない災害に、平時から十分に備え、強固な基盤を整備することが必要不可欠であると、より強く認識したところであります。 
 また、誰もが豊かで安心して暮らせるよう、長引く物価高騰などによる市民生活や事業活動への影響を最小限に抑えていくとともに、少子化・人口減少が急速に進行する中にありましても、結婚や子育てなどの希望が叶い、未来を生きる子どもたちが健やかに成長することができる社会を築き、まちづくりのバトンを、次の世代へつないでいくことが、今の時代を担う私たちの責任であると考えております。 
 あわせて、本市におきましては、昨年8月のライトライン開業を契機として、民間投資の活発化や新たな交流など、都市の魅力や市民のシビックプライドが高まる中、今後は、さらにスポーツ・文化とまちづくりの様々な分野が連携・融合することによる、健康増進や地域の活力向上などの多面的な価値の創造、 2050年のカーボンニュートラル実現の先導など、未来への投資を積極的に進めながら、都市としての存在感をなお一層高め、市民にとって住み続けたい、市外の人からは憧れを持って、本市に訪れたい、住んでみたいと思っていただけるまちを築き上げることが重要であると考えております。  
 私の任期4年間の集大成となる本年は、市民の生命や安全・安心な暮らしを守るとともに、人口減少というまちづくりの難題に正面から向き合い、本市が目指すまちの姿である「スーパースマートシティ」の実現に向け、「人」と「デジタル」をまちづくりの原動力に、「NCC」を土台とした「地域共生社会」、「地域経済循環社会」、「脱炭素社会」の3つの社会の構築を加速化できるよう、強い使命感を持って取り組んでまいる所存であります。 
 
 このような決意の下、新年度におきましては、まずは、安全・安心なまちづくりとして、災害に備え、その被害を最小限に抑えられるよう、消防・防災体制の充実や総合的な治水・雨水対策、住宅・ライフライン等の耐震化に着実に取り組むとともに、長引く物価高騰への対策やにぎわいが回復しているオリオン通りなどの商店街を安心して利用いただける環境づくりに取り組んでまいります。 
 
 次に、まちづくりの原動力となる「人」づくりとして、市民の結婚から子育てまでの希望を叶える、切れ目のない支援の充実に向け、第2子の保育料無償化をはじめとする経済的負担の軽減や相談支援体制を強化するとともに、地域と連携した教育環境の充実に取り組んでまいります。 
 また、今月取りまとめた「宮っこを守り・育てる都市宣言」を踏まえ、多様なニーズを抱える子育て世帯に、必要な支援を確実に届けることができるよう、児童相談所の設置に向けた取組を進めてまいります。  
 また、新たな価値を創出する「デジタル」の活用として、市民サービスの向上や行政事務の効率化を図る行政DXを推進するとともに、デジタルデバイドを解消し、市民の誰もがデジタルを安心して利用できるよう、市民サポーターの養成に加え、行政窓口における市民に寄り添った支援体制を構築してまいります。 

 次に、まちの土台となる「NCC」の形成として、ライトラインによる新たな交流を定着させ、更に発展できるよう、停留場を中心とした沿線のまちづくりを強化するとともに、JR宇都宮駅西口における風格と魅力の創出に向けた取組や、都心部の居心地が良く、歩きたくなる空間形成に、官民が連携して取り組んでまいります。 
 さらに、誰もが自分の力で自由に移動できる環境づくりに向け、バスからバスへの乗継利便性の向上に取り組むとともに、子どもの頃から公共交通に慣れ親しむことができるよう、利用促進に取り組んでまいります。 
 
 次に、絆を深め、共に支え合う「地域共生社会」の構築として、子どもや高齢者、障がい者など、世代や分野を越えて、保健や福祉に関する様々な困りごとを丸ごと支える「エールUネット」の体制の充実に加え、支援が必要な方やその家族が自分らしく生き生きと暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。 
 また、女性が働きやすい職場環境や相談しやすい環境づくりに取り組むとともに、市民に最も身近な自治会の活動を全市的に支援し、これまで以上に、互いに思いやりを持ち、安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。 

 次に、人・モノ・情報が交流する「地域経済循環社会」の構築として、本市が持つ多様な魅力を最大限に生かせるよう、世界に誇れる「石の里 大谷」をはじめとする観光振興や、MICE誘致の強化などにより、更なる交流を創出するとともに、市内産業の更なる発展に向け、新たな産業団地の整備やイノベーションの創出になお一層取り組んでまいります。 
 さらに、国際的なスポーツイベントの開催など、本市の豊富なスポーツ資源を有効活用し、地域の特色や文化を捉えながら、スポーツ施設や研究機関などの様々な分野と連携・融合する「東部スポーツウェルネスライン」の取組の強化など、多面的な価値を創造してまいります。 
 
 次に、CO2排出量を実質ゼロとする「脱炭素社会」の構築として、今月、策定した「地球温暖化対策実行計画」に基づき、2030年度までの排出量50パーセント削減に向け、「脱炭素先行地域」を核とした官民連携の取組を更に充実させ、市内全域へと波及させてまいります。 
 また、市民一人一人の環境配慮行動の推進や、事業者による脱炭素化の促進、CO2排出量の多い運輸部門の排出削減に向けた支援、市有施設の脱炭素化など、省エネ・創エネ・蓄エネに積極的に取り組んでまいります。 
 
 そして、これらの取組を進めるに当たりましては、様々な資源や技術、ノウハウなどを有する民間事業者や大学・他の自治体との「共創」をなお一層推進してまいります。 

予算編成の基本方針

このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。 
 
 本市における自主財源の根幹である市税収入は、国の定額減税の影響があるものの、令和5年度当初予算と同水準の930億円台となる見込みであり、歳出においては、社会保障関係経費が引き続き高い水準で推移するほか、物価高騰や賃金上昇の影響により物件費等が増加するものと見込んでおります。 
 
 このような中、新年度の予算編成に当たりましては、少子化や人口構造の変化、急速な物価高騰に対応しながら、 ライトライン開業を契機に都市の魅力や市民のシビックプライドが高まっているこの好機を逃さず、これまで築き上げてきたまちづくりの成果を発展させ、「第6次総合計画後期基本計画」に掲げた「スーパ
ースマートシティ」の実現を加速化させるため、まちづくりの基本方向である「6つの未来都市」の具現化に向けた施策・事業に取り組んでいくことといたしました。 
 
 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額に対しまして、4.9パーセント増の2、296億5、000万円を計上したところであります。 


 また、11の特別会計の予算額1、240億円余と3つの企業会計の予算額 511億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額に対しまして、4.3パーセント増の4、048億円余を計上したところでありま
す。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第6次総合計画後期基本計画」の施策体系に基づき、その概要を御説明いたします。 
 
 はじめに、総合計画の施策体系の第1といたしまして、「子育て・教育の未来都市」についてであります。 
 
 まず、「全ての子どもが安心して健やかに成長できる社会の実現」につきましては、世帯年収や第1子の年齢を問わず第2子にかかる保育料を無償化するほか、1か月児を対象とした健康診査の実施や、おたふくかぜ予防接種費用を助成してまいります。 
 また、児童手当・児童扶養手当の支給対象や支給額などを拡充するとともに、低所得世帯の子どもを対象とした大学等の受験料や模擬試験受験料を助成してまいります。 
 さらには、支援が必要な家庭に家事や育児のサポートをする子育て世帯訪問支援事業の実施や、児童相談所の設置に向けた基本計画の策定に取り組むなど、子どもを守り育てる支援の充実を図ってまいります。 
 
 次に、「誰もが夢や希望を持ち必要な教育を享受できる社会の実現」につきましては、部活動の地域移行を推進するためのコーディネーターを配置するほか、学校施設の長寿命化改修の実施などによる教育環境の充実に取り組んでまいります。 
 
 次に、「誰もが生涯を通じてスポーツを楽しむ社会の実現」につきましては、北西部地域体育施設の整備や、河内体育館等への空調設備の設置などに取り組んでまいります。 

 第2は、「健康・福祉の未来都市」についてであります。 
 まず、「誰もが心身ともに健康に生活できる社会の実現」につきましては、生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを推進するため、節目年齢の歯科健診を自己負担500円で受診できる「ワンコイン歯科健診」を実施してまいります。 
 
 次に、「あらゆる市民が安心し支え合いながら、自立して生活できる社会の実現」につきましては、認知症サロンの設置箇所を拡充するほか、社会とのつながりを創出する居場所づくりに取り組む団体等への助成や、地域支え合い協議体の取組支援など、包括的支援体制の構築に取り組んでまいります。 
 また、障がい者や介護者が、障がい特性やニーズに合わせたサービス等の情報を取得できる、障がい者支援アプリの導入や、日中一時支援事業における送迎加算を拡充するなど、障がいのある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境づくりを推進してまいります。 
 
 第3は、「安全・安心の未来都市」についてであります。 
 まず、「誰もが安全・安心に日常生活を送ることができる社会の実現」につきましては、河川や公共下水道雨水幹線、道路の排水施設の整備など、総合的な治水・雨水対策に引き続き取り組むほか、地域の防災力の向上を図るため、自主防災会活動事業補助金の拡充や、防災ハザードマップの全戸配布、また、消防・救急体制の充実に向けて、南消防署の整備などに取り組んでまいります。 
 さらに、日常生活の安心感の向上を図るため、商店街における防犯カメラの設置や警備員の配置に対する助成を実施してまいります。 
 
 次に、「市民が互いに尊重し、支え合う社会の実現」につきましては、魅力ある自治会づくりに向けて、運営や活動に対する支援を充実させるほか、自治会に関する条例制定に向けた検討を進めるなど、市民協働によるまちづくりを推進してまいります。 
 また、女性のデジタルスキルの習得と就労支援に引き続き取り組むほか、女性活躍に係る行動計画を策定した企業の取組に対して支援を行うなど、女性の活躍推進に取り組んでまいります。 
 
 第4は、「魅力創造・交流の未来都市」についてであります。 
 まず、「地域資源を守り、活用した賑わいと活力ある社会の実現」につきましては、新たな交流やにぎわいの創出が期待できるMICEの推進をはじめ、 「FIBA3x3 ワールドツアー うつのみやオープナー2024」と、「パリ・オリンピック予選大会」の2大会を、ゴールデンウィークに「3x3ウィーク」として開催するほか、国内トップ選手によるデモンストレーションや体験型イベントを実施する、アーバンスポーツフェスティバルの開催など、スポーツを通じた都市の魅力向上と地域活性化に取り組んでまいります。 
 また、森林公園や大谷公園の再整備に取り組むほか、官民連携による観光振興の取組への支援を行うことにより、北西部エリアの魅力向上を図ってまいります。 
 さらに、30回の節目を迎える「うつのみや百人一首市民大会」の開催など、本市の歴史文化資源を生かし、市民が宇都宮に誇りを持つことができるよう取り組んでまいります。 
 
 次に、「着実な定住の促進や移住・関係人口の増加による持続可能な地域社会の実現」につきましては、移住定住相談窓口の運営や、東京圏への通勤・通学に係る費用への助成を行うほか、新たなCM動画を制作し、宇都宮ブランドプロモーションに活用するなど、市内外の人や企業から選ばれる都市を実現してまいります。 
 
 第5は、「産業・環境の未来都市」についてであります。

  まず、「各種産業の強みを生かした持続的に発展する社会の実現」につきましては、新たな産業団地の整備に向けた取組を推進するほか、「宇都宮市リーディング企業」等の市内取引の強化や異業種間マッチングの場を創出するための企業交流会の実施、企業版ふるさと納税を活用した宇宙関連企業の資金調達支援など
に取り組んでまいります。 
 また、農業分野におきましては、農業者の経営能力向上のための研修の実施や、農業参入企業の誘致に取り組むとともに、グリーン農業の普及、市内農産物の消費拡大に向けたマルシェの開催などに取り組んでまいります。 
 
 次に、「脱炭素で循環型、自然共生社会の実現」につきましては、カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素先行地域における取組の推進のほか、市内事業の温室効果ガス排出量の削減目標設定やバス・地域内交通・タクシーのEV化等に対する助成の実施、市有施設のLED化の推進や公用車のEV化などに取り組んでまいります。 
 また、食品ロス削減を図るため、フードシェアリングサービス活用促進への支援や、自治会、子ども会などが家庭から出る資源物を回収する資源物集団回収の報償金単価の引上げなど、ごみの減量化・資源化に向けた取組を推進してまいります。

  
 第6は、「交通の未来都市」についてであります。 
 まず、「魅力的で持続可能な都市空間の形成」につきましては、JR宇都宮駅西口周辺地区整備に向けた取組をはじめ、駅西口地区の市街地再開発事業への支援を行うほか、民間活力を活用した八幡山公園の魅力向上や東部総合公園の整備など、都心部やライトライン沿線のまちづくりを推進してまいります。 
 また、上下水道サービスにおきましては、安全・安心でおいしい水道水の安定供給や、下水の適正処理を推進するほか、基幹施設の耐震化や老朽管等の改築・更新などを進め、強じんなライフラインの構築に取り組んでまいります。 
 
 次に、「誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークの実現」につきましては、ライトラインのJR宇都宮駅西側の事業化に向けた取組を推進するとともに、更なる利用促進を図るため、サイクルトレイン等の実施に向けた実証実験に取り組んでまいります。 
 また、ライトラインとバス、地域内交通間での乗継割引において、バスからバスへの乗継割引制度の導入や、「ライトライン・バス連絡通学定期券」の購入者への支援、小学生へのtotra配付事業の実施など、公共交通の利便性向上と利用促進に取り組むほか、シェアリングモビリティの運営に対する助成の実施など、日常生活を支える身近な移動手段の確保を図り、誰もが自分の力で自由に移動できる環境を整備してまいります。 
 
 最後に、「各政策の柱を支える行政経営基盤」についてであります。 「持続可能な公共的サービスの提供体制の確立」につきましては、PPP/ PFI地域プラットフォームを活用した、民間事業者等のノウハウを生かした提案の促進や、事業者や団体など、まちづくりの主体等の交流の機会を創出していくとともに、新たな価値の創造につながる事業の実証実験を実施するなど、共創のまちづくりに向けた環境整備に取り組んでまいります。 
 また、行政DXの実現に向けて、本市との取引事業者を対象とした電子請求書システムの導入など、行政手続のデジタル化による市民サービスの向上や、スマートワークの実現に向けた本庁舎の執務室環境の向上に引き続き取り組むほか、地域デジタル化に向けた取組として、ライトラインやデジタルサイネージ等を活用し市政情報を発信するとともに、本庁及び地域行政機関にデジタル活用支援員を配置してまいります。 
 さらに、市職員におけるDX人材の育成・確保や、職員がやりがいを持って生き生きと働くことができる職場環境づくりなどに取り組み、限りある資源の力や価値を最大限に発揮し、社会や暮らしの変化に対応した持続可能な公共的サービスの提供に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。 
 
 ただ今申し上げた「スーパースマートシティ」の実現に向けた様々な施策を着実に推進する執行体制の整備といたしまして、人の活力や都市の魅力向上に向け、スポーツ・文化行政を市長事務部局に移管し、「魅力創造部」を設置するほか、共創のまちづくりの推進に向け、政策審議室に「地域振興・共創推進室」、児童相談所の設置に向け、子ども政策課に「児童相談所設置準備室」、用地取得業務の推進に向け、建設部に「事業用地課」、下水道関連施設の効果的な維持管理に向け、上下水道局に「下水道施設管理センター」を設置するなど、柔軟で機動的な執行体制を整備してまいります。 

むすび

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、令和6年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。 
私は、今を生きる市民と、未来を生きる子どもたちの誰もが、豊かで便利に安心して暮らすことができ、「50年先、100年先も発展し続ける都市 うつのみや」を実現するため、市民や事業者、行政が一体となり、柔軟な発想により新たな価値の創造を目指す「共創のまちづくり」を推進し、市政運営に全力で取り組んでまいりますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。 

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