平成31年度施政方針

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ページID1018869  更新日 令和6年3月8日

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 平成31年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第19号から第35号までの平成31年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算につきましての大綱を御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。 
 
 本年5月に改元を迎えるに当たり、平成を振り返りますと、我が国では、東日本大震災などの大きな自然災害が相次ぎました。 
 しかし、そのような中にありましても、我々日本人は、人と人との絆を大切にし、力を合わせて助け合いながら、逆境を乗り越えてまいりました。 
 また、安定した経済成長を続ける中、地球環境や自然に配慮した行動の広がりを始め、男女共同参画社会の進展や外国人住民との多文化共生の理解の深まりなど、多様な価値観を認め合う社会の成熟化が進んだ時代と認識しております。 
 一方で、我が国の地方自治に目を向けますと、中央集権から地方分権へ、また、東京圏への一極集中型から多極分散型へと、各地域が主役となる国づくりに大きく転換した時代でもありました。 
 
 こうした中、本市におきましては、平成の幕開けに3大学が同時に開校し、文教都市として大きく飛躍するとともに、全国に先駆けて「中核市」に移行し、さらには、旧上河内町・河内町との合併を契機に北関東初の人口50万人に到達するなど、風格と存在感を高めてまいりました。
 また、今後の人口減少や人口構造の変化を見据え、我が国における目指すべき都市構造のモデルとなる「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成にいち早く取り組むとともに、地球温暖化などの環境問題を捉えた「もったいない運動」の全国への波及、子育て環境の充実や学力向上等の次代を担う「人づくり」など、時代潮流の変化に的確に対応した政策に積極的に取り組み、民間調査においても「住みよさ」や「子育てのしやすさ」に関する高い評価を受けるなど、全国から注目を集める都市として着実な発展を続けてまいりました。 
 
 このような中、今年度には、LRT事業の着工や宇都宮駅東口地区整備事業の推進、「大谷石文化」の日本遺産認定など、新たな時代につながる大きな一歩を踏み出したところであり、迎える新年度は、国の地方創生などの動向を踏まえつつ、本格的な人口減少局面におきましても、本市の活力を高め、更に飛躍できるよう、「第6次総合計画」に掲げる将来のうつのみや像である「輝く人の和 つながるまちの環 魅力と夢の輪 うつのみや」の実現を目指してまいります。 
 
 具体的には、質の高い生活を享受でき、環境にやさしく持続的に発展する都市の礎となる「ネットワーク型コンパクトシティの形成に資する都市基盤整備」を始め、特色ある地域資源等の「ブランド力を生かした移住・定住につながるまちづくり」など、将来の繁栄に重要な取組を推進してまいります。 
 さらには、今後の暮らしや学び、働き方など、社会全般の在り方に大きな変化をもたらす「人生100年時代の到来」と、超スマート社会(Society5.0)の鍵となる「情報通信技術の飛躍的な進化」といった、特に大きな2つの時代潮流を的確に捉え、まちづくりの原動力となる「人づくり」と、未来を切り開くツールとなる「ICTの活用」を一体的に進め、誰もが世代や多様な文化の垣根を越えて、共に支え助け合い、幸せに生活することができる「スマートな共生社会の創出」に資する取組を進めてまいります。
 こうした取組に当たりましては、市民、団体、事業者などとの協働のまちづくりをこれまで以上に積極的に推進し、オール宇都宮により、「第6次総合計画」に掲げる6つの「未来都市」の実現に取り組んでまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。 
 
 本市におきまして、自主財源の根幹である市税収入は、雇用・所得環境の改善などにより安定的に推移しており、新年度におきましても引き続き900億円台を確保できる見込みでありますことから、地域経済の好循環の更なる加速に向けて取り組んでいく必要があります。 
 また、今後の社会環境や人口構造の変化に的確に対応し、持続的に発展できるまちづくりを推進していくためには、人や企業から選ばれる高い都市力を備え、将来にわたる成長力を確保できるよう、「未来への投資」を着実に実行していくことが重要であります。 
 このため、新年度の予算編成に当たりましては、「第6次総合計画」に掲げる6つの「未来都市」の実現を推進し、「まちづくりの好循環」につながる施策・事業に優先化・重点化を図るとともに、「持続可能な財政構造」の確立に向けて、財源確保の徹底や中長期を見据えた行財政改革に取り組むことといたしました。 
 
 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額2,218億円に対しまして、53億円の減となる2,165億円を計上したところであります。 
 また、13の特別会計の予算額1,116億円余と3つの企業会計の予算額424億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額3,723億円余に対しまして、17億円余の減となる3,706億円余を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第6次総合計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。 
 
 第1は、「子育て・教育の未来都市」についてであります。 
 まず、「全ての子ども・若者を健やかに育成する」につきましては、男性への不妊治療費助成を拡充するほか、新生児聴覚検査への助成を新たに実施するなど、安心して妊娠・出産できる環境の充実に取り組んでまいります。 
 また、本年10月から実施予定の幼児教育の無償化に適切に対応するとともに、継続的な待機児童ゼロの実現に向けて、教育・保育施設の整備促進や保育士等の確保・育成に努めるなど、子育て支援の充実に取り組んでまいります。 
 さらに、児童虐待防止対策を推進するため、「子ども家庭総合支援拠点」を設置するほか、生活困窮世帯の子どもに対する学習支援や、就学援助の拡充に取り組むなど、健全な養育環境づくりを推進してまいります。 
 
 次に、「確かな自信と志を育む学校教育を推進する」につきましては、小学校4年生までの35人学級を5年生までに拡大するほか、2020年度から小学校で必修化となるプログラミング教育の円滑な実施に向けた準備を着実に進めるなど、未来を生き抜く力の育成に努めてまいります。 
 また、2021年の開校に向けて、テクノポリスセンター地区への新設小学校の建設を進めるとともに、学校施設の老朽化対策を計画的に推進するための長寿命化計画を策定するなど、教育環境の充実に取り組むほか、いじめ・不登校対策の充実を図るため、メンタルサポーターを中学校全校に配置してまいります。 
 
 第2は、「健康・福祉の未来都市」についてであります。 
 まず、「健康づくりと地域医療を充実する」につきましては、市民の健康状態に関する地域別の特性や課題を把握し、効果の高い施策・事業を展開するため、「地域別データ分析プロジェクト」を実施するとともに、健康ポイント事業のポイント交換を開始するなど、更なる健康寿命の延伸に向けて取り組んでまいります。 
 
 次に、「高齢期の生活を充実する」につきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るため、医療・介護従事者向け相談窓口の運営や、多様な関係主体間の情報共有及び資源開発などを行う第2層協議体の設置促進のほか、「認知症初期集中支援チーム」による支援など、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう取り組んでまいります。 
 
 次に、「障がいのある人の生活を充実する」につきましては、障がい者の就労を支援するため、福祉的就労業務の開拓やマッチング事業を実施するとともに、サン・アビリティーズ体育館に空調設備を設置するなど、障がい者が社会的に自立し、いきいきと生活することができる環境づくりを推進してまいります。  
 
 第3は、「安全・安心の未来都市」についてであります。 
 まず、「危機への備え・対応力を高める」につきましては、市民が災害時に避難経路を検討しやすいよう「わが家の防災マニュアル」を改訂するとともに、携帯電話による災害情報の入手が困難な市民を対象に、自動起動ラジオの購入を支援するなど、地域防災体制の充実に取り組んでまいります。 
 また、道路舗装修繕計画に基づく予防保全事業や、鬼怒橋の大規模修繕事業など、道路施設のアセットマネジメントを推進し、長寿命化と安全性の確保を図ってまいります。 
  
 次に、「市民が主役のまちづくりを推進する」につきましては、まちづくり活動に参加するきっかけとなる情報発信や活動に参加した人にポイント付与を行う「まちづくり活動応援事業」を実施するなど、市民協働によるまちづくりを推進してまいります。 
 
 第4は、「魅力創造・交流の未来都市」についてであります。 
 まず、「都市ブランドの確立と更なる魅力を創出する」につきましては、東京圏からの移住就業者・起業者に対する支援を実施するとともに、住宅取得及び家賃補助の対象区域を都市機能誘導区域から居住誘導区域まで拡大するなど、移住・定住の促進に取り組んでまいります。 
 また、大谷地域におきましては、増加する観光客の受入態勢を強化するため、交通環境向上策の検討及び社会実験を実施するほか、体験型コンテンツの開発・事業化に対する支援や、冷熱エネルギーを活用した夏秋いちご産地化の推進、日本遺産を通じた大谷石文化の魅力発信などに取り組み、地域が持つ豊富な資源を幅広く活用しながら、大谷地域の振興を図ってまいります。 
 
 次に、「個性豊かな観光と交流を創出する」につきましては、「ジャパンカップサイクルロードレース」におきまして、クリテリウム10回記念イベントを実施するほか、3人制バスケットボールのクラブ世界一を決定する「FIBA3x3ワールドツアーうつのみやファイナル2019」を開催するなど、世界レベルのスポーツに触れる機会を創出し、交流人口の増加による地域活性化に取り組んでまいります。 
 
 第5は、「産業・環境の未来都市」についてであります。 
 まず、「地域産業の創造性・発展性を高める」につきましては、本市への産業集積を図るため、本社機能の移転やオフィス系企業の立地に対する支援に取り組むほか、将来の地元就職を促進するための高校生向け啓発事業や、市内大学と連携した地元就職に関する調査を実施するなど、雇用支援の充実に努めてまいります。 
 
 次に、「商工・サービス業の活力を高める」につきましては、オリオン市民広場の機能向上を図るため、全面を覆う屋根の整備を含む大規模改修を実施するなど、中心市街地の賑わいづくりに取り組んでまいります。 
 また、消費税率の改正や軽減税率の導入に備えるため、小規模事業者のICT機器導入の促進に向けた支援を拡充するとともに、プレミアム付商品券事業を実施するなど、中小企業振興の推進に取り組んでまいります。

 次に、「農林業の生産力・販売力・地域力を高める」につきましては、夏秋いちごの収益性向上を図るための調査や、新里ねぎの生産作業の省力化に適した作業用機械の開発を支援するなど、農産物の生産体制の強化に取り組んでまいります。 
 
 次に、「環境への負荷を低減する」につきましては、地域新電力を活用した再生可能エネルギーの地産地消に向けた仕組みづくりを進めるなど、低炭素なまちづくりに取り組んでまいります。 
 また、2020年の供用開始に向けて、新最終処分場や新中間処理施設の整備を計画的に進めるなど、効果的・効率的なごみ処理体制を構築してまいります。 
 
 第6は、「交通の未来都市」についてであります。 
 まず、「暮らしやすく魅力のある都市空間を形成する」につきましては、宇都宮駅東口地区整備におきまして、自転車駐車場を整備するとともに、交流広場の実施設計に着手するほか、コンベンション施設への誘致活動に取り組むなど、都市拠点の形成を推進してまいります。 
 また、LRTのトランジットセンターゾーンにおきまして、新たな交通結節拠点の形成に向けた民間活力の導入可能性調査を実施するほか、市街化調整区域の地域拠点におきましては、生活利便施設の立地促進を図るとともに、地域のコミュニティを維持するため、地区計画制度を検討する地域への支援などに取り組んでまいります。 
 さらに、本市の観光拠点である大谷地域の個性的な景観を保全するため、景観形成重点地区の指定に向けた取組を進めるとともに、LRT沿線における景観形成に関する方針の検討を行うなど、地域特性を生かした景観づくりを推進してまいります。 
 
 次に、「誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークを構築する」につきましては、LRTにおきまして、2022年3月の開業に向けたJR宇都宮駅東側の整備を着実に進めるとともに、駅西側におけるLRTの事業化調査を進めるほか、常設のオープンハウスを中心にあらゆる機会を捉え、市民理解の促進に努めてまいります。 
 また、LRTや地域内交通と連携した利便性の高いバスネットワークの構築に向けて、バス路線の再編に係る調査を実施するとともに、バス事業者の交通ICカードの導入や、市街地部への生活交通導入に対する支援を実施するなど、公共交通の充実と利用促進に取り組んでまいります。 
 
 次に、「質の高い上下水道サービスを提供する」につきましては、安全でおいしい水道水を安定供給するとともに、水再生センターや汚水管渠の整備などによる生活環境の改善を図るほか、基幹施設の耐震化や老朽施設及び老朽管の改築・更新、雨水幹線の整備により、災害などのリスクに備えた強じんなライフラインの構築に取り組んでまいります。

行政改革

 次に、「行政改革について」でありますが、本市におきましては、行政改革大綱に基づき、全庁を挙げた行政改革に取り組んできたところであり、少子・超高齢化を始め、本市を取り巻く環境が大きく変化している中、顕在化する様々な公共的課題に対応し、これからの社会や暮らしに合った行政サービスへの見直しを継続的に行っていくためには、今後、市民・企業の活力や技術など、あらゆる力や資源を結集して取り組んでいくことが、より一層重要になるものと認識しております。 
 こうしたことから、社会環境や市民ニーズの変化に対応した行政サービスを提供していくため、引き続き、既存事業の見直しに取り組むとともに、AIやタブレット端末の利活用など、ICT・IoTを活用した市民生活の利便性や行政の効率性の向上に取り組んでまいります。 
 さらには、民間の力を取り入れた公民連携のより一層の推進を図るため、事業者等からの様々な提案をまちづくりに生かす仕組みや環境づくりなどに取り組んでまいります。 
 また、新年度には、現在の大綱が最終年度を迎えますことから、これらの視点も取り入れながら、今後の行政経営の指針となる新たな大綱の策定を進め、限りある経営資源を効果的・効率的に活用した行財政運営に取り組んでまいります。

市政運営の執行体制

 最後に、「執行体制について」でありますが、様々な取組を効果的に推進するため、柔軟で活力ある執行体制を整備してまいります。 
 まず、「組織機構」についてでありますが、都市ブランド力の向上につながる良好で魅力ある都市空間の形成に向け、豊かな地域資源を活用し、緑化行政とも連携しながら、都市景観を保全・創出する取組を効果的に推進するため、「都市計画課都市景観グループ」及び「緑のまちづくり課」を再編し、「景観みどり課」を設置してまいります。 
 また、土地区画整理事業につきまして、事業の進捗に応じて効果的・効率的に推進するため、東部区画整理事業課に「簗瀬グループ」を設置するとともに、「西部区画整理事業課」及び「北部区画整理事業課」を再編し、「西部・北部区画整理事業課」を設置してまいります。 
 
 次に、「人員体制・人材活用」についてでありますが、徹底した行政改革に取り組みながらも、複雑化・多様化する行政ニーズや、時限的に多くの職員を必要とする国民体育大会の準備などに的確に対応できる人員体制を整備するとともに、引き続き、全ての職員が持てる能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。

結び

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、平成31年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。 
 私は、本市が100年先の時代まで持続的に発展し、誰もが幸せに暮らせるよう、市民・事業者の皆様とオール宇都宮で、協働によるまちづくりを着実に進めてまいりますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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